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異世界に召喚されたが異端扱いされた俺、祈らず戦っていたら八柱目にされていた件  作者: じゃむ


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第3話 祝福という名の檻

第3話です。

今回はバトルよりも、

この世界がどれほど“神依存”で歪んでいるかを描く回になります。


主人公の異端性が、

少しずつ「恐怖」に変わっていきます。

その日は、神殿の一室に隔離された。


牢屋ではない。

だが自由でもない。


豪奢な椅子、厚い絨毯、磨き上げられた窓。

外見だけ見れば客室だが、扉の外には常に聖騎士が二人立っている。


(監禁、だな)


俺は窓の外を眺めながら、指を鳴らした。


「……は?」


何も起きない。


(まあ、そうだよな)


魔力が溢れる感覚も、術式が組み上がる手応えもない。

そもそも俺は、魔法の使い方を知らない。


それでも不思議と、焦りはなかった。


——戦えない状況が怖いわけじゃない。

——戦う意味がない状況が、つまらないだけだ。


扉がノックされた。


入ってきたのは、白銀の髪の男。

宮廷魔導士——オルフェウス・クライドだ。


「拘束中に失礼する」


「どうぞ」


俺は椅子に座ったまま答えた。


男は杖も持たず、書類も持たず、ただ俺を観察するように立っている。

片眼の義眼が、淡く光っていた。


「君は、祝福を拒否しているわけではない」


「そうか?」


「拒否する“回路”自体が、存在しない」


……なるほど。


「人間は、生まれながらに七神と接続するための回路を持つ」

オルフェウスは淡々と続ける。

「祈りとは、接続要求だ。祝福とは、神側からの応答」


「で、俺にはそれがない」


「正確には、“認識されていない”」


俺は鼻で笑った。


「神に無視されてるってことか」


「そうとも言える」


男は否定しなかった。


「だが問題はそこではない。

祝福なしで、あれだけの戦闘結果を出した点だ」


オルフェウスは、昨日倒れた聖騎士たちの名前をいくつか挙げた。

全員、祝福を受けた精鋭。


「彼らは神の支援を受けている。

君は受けていない。

にもかかわらず、結果は一方的だった」


「戦い方の問題だ」


「違う」


即答だった。


「彼らは“神に任せている”。

君は“自分で背負っている”」


その言葉は、妙に腑に落ちた。


「祝福は便利だ。

怪我は軽減され、判断は補助され、恐怖は鈍化する」


オルフェウスは、窓の外に目を向ける。


「だが代償もある。

人は自分で考えなくなる。

失敗しても、神のせいにできる」


「……それで?」


「それで、人は弱くなる」


静かな断言だった。


俺は少しだけ、こいつを見直した。


「じゃあ、あんたは神を信じてないのか?」


「信じている」


オルフェウスは即答した。


「だが、神は万能ではない。

万能でないから、管理が必要なのだ」


扉の向こうで、足音がした。

重く、規則正しい。


皇太子だ。


「……異世界の者よ」


皇太子は部屋に入るなり、俺を真っ直ぐに見た。


「貴様は、世界の秩序を乱す存在だ」


「昨日も聞いた」


「祝福を否定する力は、民を惑わせる」


「否定してない」


俺は椅子から立ち上がった。


「俺は使ってないだけだ」


皇太子の眉が歪む。


「それが異端だと言っている!」


「違うな」


俺は、一歩だけ近づいた。


「異端なのは、この世界だ」


空気が張り詰める。


「神に頼らなきゃ戦えない。

神がいなきゃ生きられない。

そんな世界で、よく“誇り”なんて言えるな」


皇太子の手が、剣の柄を握る。


だが抜かない。


「……父上が、判断を下す」


そう言い残し、皇太子は去った。


扉が閉まる。


俺は、ため息をついた。


(なるほどな)


この世界は、神という便利な支柱に寄りかかっている。

それを壊す存在は、危険だ。


——だから、排除される。


だが同時に、確信もあった。


(この世界、絶対どこかで壊れる)


神がいなくなった瞬間、立てなくなる。


なら——


(壊れる前に、試してみるか)


どこまで戦える世界なのかを。

第3話、ありがとうございました。


ここでは


祝福の正体


神と人の関係


主人公が“異端”とされる本当の理由


を明確にしています。


主人公は、

神を憎んでいるわけでも、

世界を壊したいわけでもありません。


ただ、

神に依存する強さが嫌いなだけです。


次話では、

この歪んだ仕組みの中で切り捨てられている

他種族の現実が描かれていきます。


次話も、よろしくお願いします。

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