表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に召喚されたが異端扱いされた俺、祈らず戦っていたら八柱目にされていた件  作者: じゃむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/8

第2話 神を信じない戦闘狂

第2話です。

今回は、主人公が「なぜ祈らないのか」「なぜ異端なのか」を、

行動と会話でハッキリさせる回になります。


世界の常識と主人公の価値観が、

本格的にズレ始めます。

神殿の空気は、完全に敵意へと切り替わっていた。


聖騎士たちが半円を描くように前に出る。槍、剣、盾。どれも手入れが行き届いている。構えも綺麗だ。無駄がない。


(……弱くはないな)


だが、殺気が薄い。


「異端認定により、この者を拘束する!」


大神官の声が響いた瞬間、聖騎士の一人が踏み込んだ。神聖紋様が足元に灯り、祝福が身体を強化する。


速い。人間としては上出来だ。


俺は一歩も動かず、視線だけで追った。


——近い。


剣が振り下ろされる、その直前。

俺は腕を伸ばし、相手の手首を掴んだ。


「……なっ」


骨の感触が、指に伝わる。

軽く捻るだけで、関節が悲鳴を上げた。


剣が床に落ちる。


「え?」


聖騎士の声が、間の抜けた音で漏れた。


俺はそのまま、肩を押した。

祝福で強化された身体が、簡単に崩れ、床に叩きつけられる。


——一撃も入れていない。


「ば、馬鹿な……祝福が……!」


「だから言っただろ」


俺は手を離し、立ち上がらせることもなく言った。


「祈らないって」


神殿がざわつく。


聖騎士二人目、三人目が同時に動いた。今度は連携。左右から挟み、魔法支援も入る。光の弾が飛び、床が焦げる。


(少しは工夫してる)


俺は前に出た。


一歩。

踏み込み。

肘。

蹴り。


動きは最小限。

祝福で底上げされた身体能力も、技量の差までは埋められない。


三人が、ほぼ同時に倒れた。


静寂。


剣が床を転がる音だけが、やけに大きく響いた。


皇太子が、信じられないものを見る目で俺を睨んでいる。王女は口元を押さえ、声を失っていた。国王は、玉座の肘掛けを強く握っている。


「……貴様は」


皇太子が、歯を食いしばる。


「祝福を、使っていないな」


「使ってない」


俺は頷いた。


「祈りもしてない」


「では、その力はどこから——」


「戦ってきただけだ」


それ以上でも、それ以下でもない。


俺は大神官を見る。

あの男は、まだ笑っていた。だが、その目は確実に俺を“危険物”として捉えている。


「力は、神から与えられるものです」


大神官が、静かに言う。


「祈り、契約し、従うことで、人は祝福を得る」


「逆だ」


俺は即座に否定した。


「力があるから、生き残る。

生き残ったから、次の戦いに行ける。

神がどうとか、後付けだ」


一瞬、大神官の眉が動いた。


宮廷魔導士が、前に出る。あの片眼が、淡く光った。


「……なるほど」


男は、興味深そうに俺を見る。


「魔力反応はほぼゼロ。祝福回路も未接続。それでこの結果か」


俺は肩をすくめた。


「知らないな。

強い相手と戦って、死ななかった。それだけだ」


皇太子が、剣を抜いた。


「これ以上の不敬は許さない。

神を否定する力は、世界を壊す」


「壊れるなら、最初から脆かったんだろ」


その言葉に、神殿が凍りついた。


俺は、床に転がる剣を一瞥し、最後にこう言った。


「なあ。

この世界で一番強いのは誰だ?」


誰も、答えられなかった。


(……やっぱりだ)


俺は、内心で舌打ちした。


この世界は、強さを神に預けている。

自分で掴もうとしない。


——退屈だ。


だが同時に、確信もあった。


(神が相手なら……少しは、楽しめそうだ)

第2話、ありがとうございました。


ここで


主人公が祝福を使っていないこと


祈りを前提にしていないこと


「戦って生き残っただけ」という価値観


をはっきり描いています。


この時点で、

教会・王国側から見れば

主人公は理解不能な危険因子です。


次話では、

「祝福なしで戦う」という異常性が、

さらに具体的に世界の歪みを浮き彫りにしていきます。


よろしければ、

ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。


次話も、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ