第24話 :「技能を徹底解説!美月の隠された実力に言葉を失う」
「じゃあ、まずは俺からな。とはいえ、俺のスキルはだいたい一緒に戦ってる中で分かってると思うけど……基本的には、《皆は我のために、我は皆のために》ってスキルで、俺たち二人の間にパーティーリンクみたいなのを形成してる。それによって、お互いが受けたダメージを一部移動させたりできる。俺に飛んできたダメージは、種類によって精神疲労だったり、実際のダメージだったりに変わるんだ。それと、魔力の転送もできる。」
「なるほど……だから、たまに私の怪我が急に軽くなったりしてたんですね。あれって藤原さんが肩代わりしてくれてたんだ……」
「そう。パーティー全体のダメージを調整するための大事なスキルだよ。そして、その派生スキルが(森羅万象)。これは俺の情報支援系のスキルで、自分の疑問に対して自動的に答えを返してくれたり、鑑定結果を教えてくれたりする。さらに、その情報は今みたいにAR投影っぽく表示できるし、攻撃の補助や動きの補正、戦闘予測の支援なんかもできるんだ。」
「確かに……藤原さんと戦うようになってから、ミスが減ってきた気がします。以前の私は、もっと隙だらけの動きしてましたし……でも今は、猫の動きにも妙に慣れてきて……。あの投影、ほんとにVRゲームみたいな感じですよね?」
「うん、まさにそんな感じ。しかも最初の戦闘で、頭の中にいきなり3D戦術レポートみたいなのが出てきただろ? あれもこのスキルの一部で、戦術の共有を簡単にしてくれる。それに今こうやって、頭の中で会話できてるのも、このスキルの影響だよ。」
「すごい……藤原さんのスキル、めっちゃ多機能ですね。それ、一つのスキルなんですよね?」
「そう、一応一個のスキル。あと、俺が使えるのは(神聖魔法)くらいかな……今のところ、(ヒール)しか使えないけど。戦闘で使えるのは、それくらいだ。」
「私は……なんとなく分かってきた感じです。藤原さんのARみたいなものとは違うけど、私の場合は(ステータス)ってスキルで、自分の能力や情報が確認できるようになってるんです。」
「ほう……そんなスキルあるのか? ステータス……! ……ん? なんも出てこないけど……?」
そう言った瞬間──
《提示:(ステータス)は(森羅万象)に統合されました。単独での使用はできません》
「……なるほど。これが、“ステータス”使えなかった理由か。」
「私の(ステータス)、たぶんさっきの(森羅万象)に統合されちゃったみたいで……だから藤原さんのと少し違う感じかも。」
「そっか……じゃあ、逆に星野の方の能力について教えてもらえる? たとえば……一番強いスキルとかさ。」
「うん、分かった。えっと……基本的にはスキル名が分かってるだけだけど、私の一番強いスキルは……(私たちの揺るぎない不滅の絆)っていうんだ。」
「……名前、めっちゃロマンチックだな……」
「このスキルはね、仲間のそばにいるときにだけ発動できるんだよ。まずは(感情共鳴)っていう効果で、相手の感情が少し分かるようになって、それによってお互いの絆の深さが表示されるようになるの。」
「絆の深さ……?」
「うん、絆の数値が高くなるほど、発動できる効果も増えていくの。ほとんどが防御系や支援系のスキルで、戦闘を重ねるほど強くなるよ。」
「それって、俺にも効果あるのか?」
「……もちろん、あるよ……藤原さん、いっぱい助けてくれたから……えっと、今の絆レベルはCランクだよ。もしもっと……私のこと、好きになってくれたら……Sランクにもなれると思う……」
一部分の声が小さくて、正直あまり聞き取れなかったが、なんとなく意味は分かった。
「Cランクだと、同じパーティにいるだけで私の基礎能力が20%上昇するの。あと、私たちへ精神攻撃の耐性が50%UPになるし、一緒に戦う時間が長くなると“絆ポイント”が蓄積されて、それが最大になると、致命的な一撃を一度だけ無効化できるよ。」
「おお……なんか、すごく強いな……」
「でも藤原さんのスキルと一緒で、仲間がいないとほとんど意味ないスキルなんだよ。あと……これは自分で言うのちょっと恥ずかしいんだけど……もう一つのスキルは(自信が輝く)っていって……」
「自信が……?」
「うん……仲間がそばにいると強くなるスキルで……もっと正確に言うと、藤原さんが傍にいと……戦闘能力が約40%上昇して、自分の魅力値も上がるの。」
……また途中で声が小さくなって、聞こえなかった。でも、自己強化系のバフが2つあるなんて、そりゃ戦闘で強いわけだ。
「なんか……すごいな。仲間がいるだけでどんどん強くなるって感じか。で、二つの強化って、重複するのか?」
「うん、ちゃんと重ねがけできるよ。だから今は、藤原さんと一緒に戦ってるだけで、常時60%能力上昇してるの。」
「……思ったより、星野めちゃくちゃ強いな……」
「えっへん、頼りにしてね……って言いたいけど、藤原さんがいなかったら何もできなかったよ。だから、私たちはチームだよ。支えてくれて、本当にありがとう。」
「……ああ。こちらこそ、ありがとな。じゃあ……少しだけ休憩して、それから──ボスに挑もうか。」
「うんっ!」
星野がぱぁっと笑顔を見せた。それはまるで花が咲いたかのような、ふわっとした笑みで、猫の姿の彼女にぴったりの可愛さだった。
……つい、手が伸びて、俺は星野の頭をなでた。
「……ん、ふふ……」
彼女は嫌がるどころか、気持ちよさそうに目を細めた。よし。これで、お互いの能力も分かった。準備は整った。
──さあ、行こうか。第一層ボス戦へ。
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今回の章では、主に星野の性格紹介や、これまでの主人公と星野のスキルについて触れてみました。そして次回はいよいよ──第一層迷宮のボス戦となります!
明日の更新も、どうぞお楽しみに!