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第23話 :「女神の真意を探る、決戦前夜の戦略会議」

 内容が重すぎたのか、星野の雰囲気はいつになく真剣で……しかも途中、声が小さすぎて聞き取れないところもあったけど、何となく伝わってきた。


 でも……ちょっと待てって。え……なにそれ……女神(ルナリア)様の俺に対する態度と星野への扱い、違いすぎじゃね!?


 俺の時なんか、あの人ギャルっぽいノリで軽〜く話してきただけだったぞ!? もっと軽率で、いい加減で、ほぼバグ発言みたいなもんだったのに、星野にはこんなに荘厳な“お言葉”を!? 何これ格差!?

 

 ……いや、でも今の話の中で気になる単語があった。「仲間たち」って……やっぱり……


「星野、もしかして……女神(ルナリア)様に直接会ってはないよね? もらったのはこの手紙だけ?」


「うん。手紙が一通だけ。それ以外は、頭の中に必要な情報が自然と浮かんできただけ。ヒントとかは特になかったよ。」


「……そうか。じゃあさ、その仲間たちって……もしかして、鷹山さんたちのことを指してるんじゃ……? 」


「その可能性は高いと思う。だからこそ、私は迷宮の中を進もうって決意したの。罠があっても、逃げずに戦った。ときには魔物も倒した。……ゴブリンをたくさん倒したあと、あいつらに誘導されて、行き止まりのような場所に追い詰められて……囲まれた時、やっと君に出会えたの。」


 星野は静かに語り、少しだけ苦笑いを浮かべた。


「私は、迷宮の奥に行きたかった。だって、もう一度、みんなに会いたかったから。今こうして君に会えた今となっては……私の目標は一つだけ。これからも、君の傍にいて、残りの仲間を探したい。日本に帰れないなら……せめて、みんなと一緒にいたい。」


 その寂しげな声に、俺の胸がじわっと熱くなる。


 ──確かに、俺は女神(ルナリア)様に骸骨にされた怒りや、プレイヤーとしてのプライドをへし折られた悔しさから、迷宮を攻略してやろうって思った。


 でもその衝動があったからこそ、こうして星野と再会できたんだ。そして星野も、仲間がどこかにいると信じて、決意を固めて進んできた。


「……たぶん、女神(ルナリア)様が俺たちに残したメッセージって、目的を持たせるためだったんだと思う。最初の試練を、一人で乗り越えて、それから仲間と出会って……そうして次に繋げていくことで、最終的にこの迷宮を攻略するよう仕向けてるんじゃないかな。」


「藤原さん……それってどういうこと?」


「俺の方にも女神様からのメッセージがあってさ。ちょっと見てみなよ。」


 実は戦闘が終わって平時になっても、俺と星野は(森羅万象)のチーム共有視界のままだ。だから、女神様が直接話してきた内容を、文字データに変換して「メール形式」で星野に送信することができた。

 ──送信、完了。


「藤原さん、これ……なんだかメールみたいだ? しかも内容……えっ!? これほんとにルナリア女神からのメッセージなんですかっ!? えっ!? 本当に同じ神様なの!?」


 星野が目を丸くして驚きの声をあげた。そりゃそうだよな……内容の落差がありすぎるもん。


「分かる、めっちゃ分かるよ星野……! 俺だって普段温厚なほうだけど、あんな挑発されたらさすがにキレるよ!? 無理なら尻尾巻いて逃げれば?とか言われてさ……なめんなよ、俺のプレイヤー魂見せてやるって思ったんだよ!」


「そっか……あれは、自分のプレイヤーとしての実力を証明したかったんですね……。でも藤原さん、女神(ルナリア)様、そこまで言ってましたっけ? 確かに言い方は……うーん、少し感じ悪かったけど……」


「いや、言ってたから! スケルトン族がお前にぴったりだとかさ、どう考えても嫌味じゃん!? 俺だって人生満喫する前に死んだっての! 若くして亡くなって、やっと異世界転生したと思ったらこれだよ!? トラップだらけの迷宮でお気楽ライフ? 冗談じゃねぇ!! マジでキレそうだったわ!!」


「藤原さん、落ち着いてください。今さら怒鳴ってもどうにもなりませんよ? それに……私だって、猫になってるんですよ? だから、そんなに落ち込まないで。非人間になったのは、あなただけじゃないですから。」


 俺がわぁぁっと怒鳴り終えたころには、少しだけスッキリしてきた。……たしかに、最初から理不尽なトラップに何度も引っかかって、次々と魔物に囲まれて、挙げ句の果てに宝箱ですらミミックって……


いや、分かってる。これは女神様なりの罰なんだろう。でも……この迷宮、まともな要素一個もないじゃんか!


「……ごめん、星野。今のは、ちょっとだけ吐き出したかっただけだ。見てみろよ、この門。どう考えても中に入ったらまた激戦になる。たぶん、ボス戦の可能性も高いし。だから少しでも冷静にならないと、何かあったときに対応できないからな。」


「そうなんだ……藤原さん。じゃあ、もう気持ちは落ち着いたか?」


「ああ、だいぶ楽になったよ。せっかくだから、今のうちに少し休んで魔力と体力を回復しておこう。それに……お互いの能力について、もう少し話しておいたほうがいいかもしれないな。」


「それが賛成だ。これからもっと難しい戦闘が待ってるかもしれませんから、連携ミスは避けたいよ。」


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