第1章:逆襲の火花
東京から大阪への出張。
大阪の高級ホテルのスイートルーム。
ガラス張りの窓から夜景が輝き、キングサイズのベッドに白いシーツが映える。
シャンパンのボトルがテーブルのアイスバケットに冷やされ、グラスに気泡が弾ける。部屋は豪華だが、詩織と美玲の間に漂う空気は凍てつく。
詩織はソファに座り、黒のタイトなドレスを着ていた。
ショートカットの黒髪が首筋に落ち、鋭いアーモンド型の瞳がタブレットを睨む。
クライアント向けのプレゼン資料を最終確認中だ。彼女のウッディでスパイシーな香水が、部屋の空気に溶ける。汗が額に滲み、ドレスの胸元が肌に張り付く。昼間のプレゼンで、詩織は美玲のデザイン案を横取りし、クライアントの賞賛を独占した。彼女の唇に、微かな勝ち誇った笑みが浮かぶ。
「詩織、クライアントの女、めっちゃ褒めてたね。あんたのプレゼン、完璧だったって。」
美玲の声が、部屋の静寂を切り裂く。彼女はベッドに腰掛け、赤いオフショルダーのミニドレスを着ている。
金髪のロングヘアが緩いウェーブで揺れ、豊満な胸がドレスの薄い生地を押し上げる。
赤いマニキュアの爪が、シャンパングラスを握る。甘く刺すようなフローラル香水が、詩織の鼻を掠める。グレーグリーンの瞳が、詩織を挑発的に見つめる。
「美玲、またあなたのデザインが遅れたから。ホントに納期を守って仕事しなさい。。」
詩織の声は冷たい。
彼女はタブレットを置き、グラスを手に取る。シャンパンの気泡が、彼女の唇に触れる。美玲はベッドから立ち上がり、詩織に近づく。彼女のヒールがカーペットを踏む音が、部屋に響く。
「感謝? あんた、私の案をパクってドヤ顔してただけじゃん。詩織、また私のもの奪う気?」
美玲の言葉に、詩織の瞳が鋭くなる。かつての恋人。
大学時代の甘いキス、汗と吐息の夜。詩織の独占欲と美玲の嫉妬が愛を壊した。資料室での勝利で、詩織は美玲を支配したが、美玲の屈辱は彼女の心に火をつけた。詩織の胸に、優越感と執着が渦巻く。
「奪う? 誰も欲しがらないわ。」
詩織が立ち上がり、美玲の顎を指で持ち上げる。細い指が柔らかな肌に食い込む。美玲は詩織の手を払い、声を低くする。
「じゃあ、証明してよ。詩織、今度は私があんたを潰す!」
美玲の笑みは剣のように鋭い。詩織の胸に、嫉妬と挑戦が爆発する。
二人の視線が火花を散らし、部屋の空気が熱を帯びる。美玲はシャンパンボトルを手に取り、詩織のドレスに振りかける。冷たい液体が詩織の胸元を濡らし、肌に張り付く。
「美玲…! 何!?」
詩織の声が震える。美玲は笑い、ボトルを床に投げる。ガラスがカーペットに転がり、シャンパンが泡立つ。
「詩織、 今夜は私が勝つ!」
詩織は美玲のドレスを掴み、ベッドに押し付ける。
シーツが乱れ、シャンパンの匂いが漂う。美玲は詩織の髪を掴み、引き寄せる。
ヒールがカーペットを擦り、部屋に熱がこもる。
二人の汗が混ざり、香水の匂いが絡む。
ホテルのスイートルームが、キャットファイトのリングと化す。