エピローグ
祝日の夕方。
詩織のマンション、ベッドルーム。
白いシーツは、一日中続いた激しいプレイで汗と愛液、潮でぐちゃぐちゃに乱れ夕陽がカーテンを通り抜け部屋をオレンジ色に染めていた。
ベッドの上には二人の疲れ果てた身体が寄り添い、
静かで温かい時間が流れていた。
美怜は詩織の胸に頭を預けていた。
汗で濡れた金髪が詩織の肌に絡まり彼女の瞳には穏やかな笑みが浮かんでいた。
長い一日を終え身体は重く、しかし心は満たされていた。
「詩織、愛してる……。」
その囁きはかすかに震えていた。
詩織は、美怜を優しく抱きしめていた。
これまでサディストとして玲奈を支配してきた彼女が、今、愛に満ちた眼差しで美怜を見つめていた。
「美怜、愛してる……ありがとう……。」
詩織の声は、穏やかで、深い愛情を湛えていた。
二人は、しばらく言葉を交わさず、
ただ互いの温もりを感じていた。
夕陽が二人の肌を柔らかく照らし、
ベッドの軋む音さえも愛の残響に変わっていた。
しかし美怜がふと顔を上げいたずらな笑みを浮かべた。
「ねえ、詩織。今日の罰ゲームはどっち?」
その声には軽い挑発と愛情が混じっていた。
詩織は一瞬目を丸くし、少し考え込むように天井を見上げた。
黒髪がシーツに滑り夕陽にキラリと光った。
彼女の唇に優しい笑みが広がる。
「罰ゲームじゃないよ……。私を愛してくれた美怜にご褒美だね。」
その言葉に美怜の心が温かくなった。
だがその瞬間、美怜の瞳に涙が浮かんだ。
「詩織……もう束縛とか嫉妬しないから…もう一度…。」
彼女の声は、震え、過去の記憶が蘇っていた。
キャットファイト、詩織が他の女性と笑い合う姿に嫉妬し、夜通し玲奈を縛り付けたあの夜。
罰ゲーム、詩織の冷酷なペニバン支配に耐えきれず、涙を流しながらも愛を叫んだ記憶。
あの頃の自分を思い出し涙が頬を伝った。
詩織が美怜の言葉を優しく遮る。
「美怜、待って……。」
彼女の手が玲奈の頬をそっと撫でた。
「たくさん嫉妬して、たくさん束縛して……。
あの夜、あなたが私を独占しようと縛った時、私は初めて美怜の愛の深さを知った。
だから今がある。
だから……もう一度、私を愛してくれる?」
詩織の声は切なく愛と懺悔に満ちていた。
美怜はその言葉に耐えきれず号泣し始めた。
「詩織!
あの時、あなたが他の誰かと笑うのを見て、
心が壊れそうだった…!
でも今は、その嫉妬さえ愛に変わった。
一生、詩織を愛するよ…!」
涙がシーツに落ち金髪が乱れる。
彼女の声は愛と後悔、そして決意で溢れていた。
詩織が美怜を抱き寄せその涙を唇で受け止めた。
「ありがと、美怜。
あの罰ゲームで君を縛った時、
私は美怜の涙を見て怖くなった。
でも今は、その全てを愛に変えて、私の一生を美怜に捧げる。」
彼女の黒髪が、美怜の肩に絡まり、
夕陽に映える二人の姿はまるで愛の彫刻のようだった。
二人は互いの目を見つめ幸せの言葉をささやき合った。
「美怜、愛してる……ずっと一緒だよ。」
「詩織、愛してる……永遠に。」
その声は部屋に響き合い、
嫉妬と束縛の過去を乗り越えた絆を証明した。
夕陽が沈み部屋が薄暗くなる中美怜が詩織の手に自分の手を重ねた。
「詩織、昔はあなたを独占したくて、
嫉妬で狂った。
あの夜、詩織を縛って泣かせた自分を許せなかった。
でも今は、詩織の全てを愛せるよ。」
その言葉に、詩織の目にも涙が浮かんだ。
「昔は美怜を試したくて、
束縛してた。
あの罰ゲームで君が耐えた愛に今は全てを委ねたい。」
二人は涙と笑みを交えながら互いの唇を重ねた。
キスは優しく、そして深く過去の傷を癒し、未来の愛を誓った。
黒髪と金髪が、シーツの上で絡み合い夕陽の最後の光が二人の愛を永遠に刻んだ。
部屋は静寂に包まれ、ただ二人の息遣いだけが響いていた。
嫉妬と束縛の記憶は今や愛の証となり二人の心は完全に一つになった。
「詩織、愛してる……。」
「美怜、愛してる……。」
そのささやきが、
夜の訪れとともに、
永遠の誓いとして残った。
完