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ヒキニート出発する。

「え、ちょっとまって! 聞きたきことが山ほどあるんだが!?とりあえず勇者になるの早すぎるくない!?まだ手紙が来て1ヶ月とかだけど??」


そうなのである。


普通勇者になるためにはライバルたちを実力で蹴散らし努力の成果と才能を発揮した上で様々な試練をクリアしてようやく王様から勇者のスキルを()()られるのだ。


まだあの手紙が来て1ヶ月しか経っていない。

いくらなんでも早すぎるのだ。


「まぁライバルはそんなに強くなかったし試験も簡単だったから早く終わっちゃった!」


「はあ????」


一応勇者試験は国中から集まる勇者志望の強者の中で1人しかなれない試験。


そして3年に1度の頻度なので試験の倍率は平均10000倍を誇る。


それをこいつは簡単って……


俺とは少し違う次元にいることは明確だった。


しかしどうしてそんな奴が僕を誘うんだ?


もっと強い仲間もいるはずだ。

それなのに何故わざわざ僕を選んだ?


「じゃあまぁ受かったのはわかったけどなんでパーティーメンバーが僕なんだよ。もっと強い奴いただろ」


流石に友達と旅に出たかったからとか言わないよな。



言わないと思っていた。



「だって俺夢だっんだよ! グラウジと旅に出るの!

あと、勇者っていうジョブをもらったからスキルとか魔法とか全部初級からになっちゃったから同じレベルから一緒に同じ場所からスタートできるかなって!」


そっか、ジョブをもらったからこいつも全て最初からなのか。


しかし僕はヒキニートである。


言い換えてしまえば今から努力する旅に出ましょうってことだろ?


生粋のヒキニートとして僕は旅に出るわけにはいかない。


だから僕は


「ごめん。僕もう努力をしないって決めたから一緒にいk……」


「行ってきなさい。そろそろニートは引退して自分の道を歩んでもいいんじゃない?」


そう言って声をかけてくれたのは母だ。


これまで家でいくら脛を齧っていても快く許していてくれた母に言われると少しくるものがある。


「じゃあグラウジはこの旅で自分のやりたいことを見つけてきなさい。そうしたら帰ってきていいわよ」


自分のやりたいこと……


夢とかそう言うものに対して何も考えてこようとしなかった人生に母の言葉が刺さる。


ヒキニートとして生きることを決めここまできた。

しかしこのままではどう足掻いても旅に出ることになるだろう。


ならば僕は…


「わかった。一緒行くよ。その代わり、出発のギリギリまで寝るし、あんまり前線は出ない。それでもいいなら」


引き気味のニート略してヒキニートになってやろう。


「全然問題なし!!!!それじゃあいこう!」


そう言ってアンファニーは僕の手を引き駆け出す。


一年ぶりの空は異様な程に眩しくそして輝いていた。

















「何日くらいで帰ってくるのかしらねぇ」


この時母は思いもしなかった。


この旅が人類史上最も険しい旅になることを……







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