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第二話 チュートリアル

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  ~チュートリアルその1~



  まずは【開拓者ギルド】に行って開拓神の使徒として登録しよう!【開拓者ギルド】で登録した後に初期物資を受け取ることができるよ!

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  辺りの街中を観察しようとした瞬間、チュートリアルのウィンドウメッセージが現れ、地面に光る矢印が大通りに向かって指していた。たぶんこの矢印に従っていけば【開拓者ギルド】に着くのだと思う。


  しかし、このまま矢印に従って歩くのはちょっともったいないと思う。システムメニューに地図が見当たらない以上、このなれない街中で迷う可能性がある以上、せっかくの輝く矢印という目立つ目印があるのだから探索しようと思う。


  まずは一番迷いそうな小道から行こうかな。とりあえず矢印から右に九十度ぐらいにあった建物と建物の間にある小路地に向かってみた。


  立っていた広場を見渡しながら歩いていると、種族の説明文に書いてあったように人族が一番多く(七割ぐらい)感じ、エルフが一番少い(二人)。来ている衣装は皆妙にボロボロで、痩せている人も結構多い印象だ。


  いったん小路地に入った途端、暗くて見えなかった部分で座り込んでいた人影が見えた。おそるおそる近づいてみると、物乞いのように器を前に置きながらぶつぶつと何かをつぶやいている。よく見てみるとその物乞いは獣人の様で、おなかが鳴らせながら何かを耐えているように必死につぶやいている。


  まだチュートリアルも始めていないため、今着ている衣装(さっき見かけた人たちと同じような衣装だった)以外なにも持っていないし、万が一死んでも大丈夫と腹を括って物乞いに話しかけてみた。


  「ちょっといいか?」


  「なんだ!?も、もしかして何かくれるのかい?食べ物が欲しいんだ。金でもいい。とにかくなにかくれ!」


  「いや、ちょっとここの町の人と話したいと思ってね。もし何かいい情報をくれたら後でなにか食べ物でもおごってやるよ。」


  「ほ、本当か?信用してもいいのか??いや、そもそも情報と言われてもどんな情報が欲しいのやら…」


  「本当さ、俺は開拓神の使徒としてこの街にやってきたばかりなのさ。この町どころかこの世界もほとんど知らないからどんな情報でも今の俺には価値があるぜ。」


  「そうなのか…いや、そしたらお前は俺になにもくれないという事じゃないか!!!だってお前はここに来たばかりなんだろう、俺になにもくれないんだったら教えることも何もねぇよ」


  「まったくせっかちな奴だな。俺はここに来たばかりと言っただろう。つまりまだ【開拓者ギルド】に登録していないという事だ。聞いたところによると【開拓者ギルド】で登録すれば色々なものをもらえるらしい。そこから情報料としていくらかお前に渡そうと思っていたんだがな…お前には必要ないみたいだな」


  そう言いながら振り返って歩こうとした瞬間、焦ったように物乞いが謝罪してきた。


  「すまん!お前を信用するよ。でもちゃんと約束しろよ?情報料としていくらか渡してくれるって」


  「もちろんだ」


  「よし、じゃあなにから話すべきか…」




  結局30分ほど物乞いから話を聞き続けた。物乞いの名前はガイルで、山猫の獣人だそうだ。しかし、大型肉食の獣人は燃費が悪いらしく、今の食糧難のご時世じゃ結構な獣人が飢え死にしてしまうらしい。なぜ今の世界は食糧難なのか聞いてみたところ、魔獣による街や都市に食料を配給する村への攻撃が激しくなり、畑が維持できなくなった所が多すぎるとの事。防衛として壁を建設しようとしても、十分な防御力を持つ壁を建設できるのは一部の村だけの為、必要最低限を下回る食量しか配給されていないようだ。

  

  ガイルが途中から何を話せばいいのか悩んでいたところで気になることを質問してみた。初期設定の時に聞いたスキルの習得方法やNPCの持つスキルの例などを聞いたところ、習得には熟練度システムが採用されているようで、練習や実践、稽古をつけてもらうなど、熟練度が一定以上まで到達すれば新たにスキルを覚えるらしい。やはりわかりやすいスキルは覚えやすいらしく、〈剣術〉や〈採掘〉、〈石工〉など適正はあるものの大体の人は覚えることができるようだ。


  熟練度システムが採用されているのであれば、覚えたばかりの〈剣術〉と、使い続けて数十年なベテランの〈剣術〉ではどこまで差があるのかも聞いてみたところ、なんとスキルは進化するらしい。その為、大体のベテランでは〈剣術〉は持っていなく、仮に持っていたとしても結構な差がついているらしい。


  ロマンの塊である魔法についても聞いてみた。種族:エルフの魔法適正が高いものの、種族:人間の方が人数が多いため、一般的な魔法使いは種族:人間の方を思い浮かべるらしい。どのようにして魔法を練習できるのかを聞こうとしたものの、先んじて貴族による独占で庶民ではわからないとの答えをもらってしまった。


  いろいろと話しているうちに、開拓団についても話を聞いた。開拓団は国のサポートを受けながら進めるらしいのだが、その団員は決められた人員以外にもスカウトできるらしい。もしスカウトに成功しても追加の物資は貰えないものの、食糧難に陥っている町からさらに人を減らせるスカウトは領主によって大いに歓迎されているらしい。


  この話を聞いた瞬間、あることを思いついた。その為、最後の質問として、この小路地の先になにがあるかを聞いてから、【開拓者ギルド】に向かうことにした。


  ガイルによると、小路地の先にはスラム街が広がっているらしく、俺がこのまま行ったら命や衣服を奪われるという。


  「じゃあ、お前の報酬を取りに行くためにもちょっくら【開拓者ギルド】に向かうわ」


  「おう、こんなにしゃべってやったんだから報酬には期待しているぞ」


  そのまま背をむき、俺はようやく輝く矢印に従って歩き出した。


  どうやら小さい路地を避けているらしく、大通りを右に曲がったり左に曲がったりで微妙に遠回りしているようだ。しかし何とかまだ道を覚えられる距離で輝く矢印が三階建ての建物を指し、どうやら【開拓者ギルド】に着いたようだ。


  【開拓者ギルド】の扉を開けて中に入ったところ、カウンターのようなところに受付と書いており、受付嬢が数人座っていた。カウンターの隣の壁には階段が設置されており、二回にも地下にも行けるようだ。カウンター以外のところはラウンジのようにゆったりくつろげる空間が広がっており、プレイヤーらしき人物がちらほらと座りながら雑談していた。


  とりあえず受付嬢のところに向かった。


  「こんにちは、新しく【開拓者ギルド】への登録ですか?」


  「はい、そうです。」


  「では、こちらの水晶にお触りください。」


  そう、バスケットボールほどの水晶が取り出された。とりあえず、その水晶を触ってみたところ、白く輝き、そのままカードらしきものが空気中にゆっくりと出始め、最終的には受付嬢に回収され、俺に手渡された。


  「そちらのギルドカードは自動的に情報がアップグレードされます。今はまだ登録している最中なので、基本情報の名前とスキルしか表示されていないと思うけど確認できてる?」


  「はい、見たところ、情報はちゃんとあっています。」


  「よかった。じゃあ、次にこの初期物資を渡さなきゃね。」


  そう言われ、受付嬢は水晶をカウンターの後ろに置くと、その隣に置いてあったかばんを一つ手に取ってこちらに渡してきた。


  「中には一万エネル、缶詰十個に開拓用ビーコン四つ入っているはずよ、確認してみて」


  言われるがままにかばんの中を確認すると、千と書かれた金貨が9枚、五百と書かれた銀貨が1枚、そして百と書かれた銅貨が5枚入っており、缶詰らしき金属の塊が十個、そして棒なよう物が四つ入っており、多分言われたものは全て入っている。念のため確認したものをひとつづつ受付嬢と確認しておき、俺の推測が合っていたことを確認した。


  「では次にスキルのチュートリアルです。階段を上って二回に向かってください。」


  そのまま、チュートリアルその1に完了スタンプが押され、次のチュートリアルが現れた。

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