物件を探そう
その後、僕はドラゴニアの視察を終え王宮に帰ってきた。
国王は僕の話を聞いてくれた。
「ふむ……それは由々しき事態だな」
「アリーシャからも話を聞いたが、この世界はまだまだ未発展だ。人間の国もまだそこまで発達していない」
「だが、ナオル殿のおかげでドラゴン国の高齢化問題は解決しそうだな」
「まだ実際に解決策が見つかったわけでないですよ?」
僕の言葉に国王は答えた。
「だが、民の生活をよりよいものにできる可能性があるのだろう?」
確かにその通りだ。僕はこの国でもっとリハビリの知識を広めていきたい。
「ナオル殿はこれからどうするのだ?」
国王は僕に尋ねる。
「まだこの国にお世話になるつもりです」
「では、今のうちに今後のリハビリ計画を立てておきたいと思います」
国王は少し考えてから答えた。
「ナオル殿がこの国を良くしたいという思いはよく伝わった。私も全力でサポートしよう」
「まずは、ドラゴン国の高齢化問題を解決しなければなりません」
「この国をより良いものにしたいです」
すると国王はアリーシャに話しかけた。
「アリーシャ、ナオル殿に協力をしてもらえないか?」
「えっ!私ですか?」
「そうだ、いきなり人間がドラゴニアの政策に関わることを快く思わない貴族も多いからな」
確かに、いきなり来た
謎の人間がよくわからないことを始めようとしている……
反感を買うこと間違いなしだな。
「分かりました、お役に立てるか分かりませんが協力させていただきます」
こうして、アリーシャと協力関係を結ぶことになった。
国王は僕のリハビリのスキルを評価して
ドラゴニアでもリハビリを認めてもらえるように協力してくれると約束してくれた。
「だが、ナオル殿の行いを良しと思わない輩も多いだろう」
「しばらくの間、表向きはアリーシャの指示に従う形にしてくれ」
「分かりました」
アリーシャの指示で僕はデイサービスの候補地を案内してもらうことになった。
候補地は3番街と呼ばれる場所。
戦場で怪我を負ったドラゴンや高齢化で体の自由が効かないドラゴンが生活しているらしい。
「ここなら、怪我人の移動距離も短いし良いのでは?」
「僕もここなら賛成です」
「よし、では移動しましょう」
3番街は王宮から近い場所にあり 徒歩で数分で着く場所にある。
しかし、かなり距離があるのと怪我を負ったドラゴンが暮らす場所なので人通りは少なく、田舎町のような雰囲気がある。
「この辺りにしましょうか」
3番街を進むと開けた場所に出た。
そこは開けた草原だった。
僕は辺りを見渡す。すると、アリーシャが僕に話しかけてきた。
「この場所はドラゴン達のリハビリに適した場所なんです」
アリーシャは話を続ける。
「この国は戦争が多く、怪我を負うドラゴンがたくさんいます」
確かに、先ほどの戦闘でも怪我を負ったドラゴンや体が不自由なドラゴンがいた。
「僕が作るデイサービスではその怪我したドラゴン達を治療するんです」
アリーシャは僕の言葉に驚いた。
「まさか、病院を作ろうとしているんですか?」
「病院とは違いますが、怪我をしているドラゴン達にリハビリを行います」
「リハビリとはなんですか?」
アリーシャはキョトンとした顔で聞いてくる。
この世界には怪我をリハビリする概念がないのだから当然だ。
僕はリハビリについて一から説明した。
「……このようにリハビリとは個人が持っている機能を活かして怪我から立ち直るものなんです」
アリーシャは目を輝かせていた。
「素晴らしい考えです!」
「怪我をした者に新たな未来をつくるのですね!」
アリーシャは目を輝かせている。
「私、怪我人がお荷物というドラゴニアの常識をなんとかしたいと思ってました!」
「……そこまで壮大な者じゃないんだけどな」
どうやら僕が思っていた以上にアリーシャの目標は高いようだ。