アリーシャ
「あの…そちらの方は?」
「我が孫娘のアリーシャだ」
「アリーシャといいます、おじいちゃんを助けていただきありがとうございます。」
なんというか、すごく可愛い人だ
彼女のくりっとした瞳は夜空の星のように輝き、彼女の頬は桜の花のように柔らかく、彼女の存在だけで周囲の空気が明るくなった。
「いえ、こちらこそ。」
日本ではリハビリの仕事でお年寄りばかりと接していたから
綺麗な女性と話すのは緊張する。
「僕はナオルと言います。」
自己紹介をしつつ僕たちは王宮に向かうことになった。
馬車には僕とアリーシャとドラゴンの4人が乗っている。
「まずは、我を救ってくれたこと感謝する」
「いえいえ、困ったときはお互い様ですから」
「ところで、ナオル殿はデイサービスをどのように運営するつもりなのだ?」
「そうですね……」
「……デイサービス?」
アリーシャが不思議そうに僕たちを見ている。
僕はドラゴンに日本の介護施設やデイサービスについて説明をした。
「……というわけなんだけど、いかがでしょうか?」
「素晴らしいです!訓練すれば能力が改善するなんて…龍神歴始まって以来の発見ですよ!」
アリーシャは目を輝かせながら僕を見ている。
やはりこの世界では一度傷ついて低下した能力を改善する常識がないらしい。
「問題はこの国にどうやってデイサービスを広めていくかですね」
「デイサービスが広まればたくさんの怪我や病気で苦しんでいるドラゴンを助けられるな!」
ドラゴンもアリーシャも、僕の案に賛成してくれているようだ。
「まずは、日本のクリニックのような施設を作ったほうがいいかもしれませんね」
その時、馬車が止まった。
王宮に着いたようだ。
「この後は王宮で話を詰めていくとしよう」
僕たちは馬車から降りた。
すると、そこには多くのメイドや執事がいた。
「おかえりなさいませ」
すると、一人の老人が前に出てきた。
「国王様、お元気そうでなりよりです」
「うむ、してこちらは?」
「私はナオルと申します」
「我の命の恩人だ!」
僕は軽く会釈した。
「これはこれは、ありがとうございます。」
お礼に向けられた視線が国王に移ると
「これだからエルフの英雄と単独で戦うのは反対したのですぞ」
どうやらあの傷はエルフの英雄から喰らったものらしい。
ドラゴンを倒すエルフっているんだな。
「お祖父様は悪くないの!私が体調を崩していたから仕方なくお祖父様が出撃されたのだから」
アリーシャは必死に国王を庇っている。
「しかし、国王様がエルフに敗北したと噂が広まっては、ドラゴニア王国の沽券に関わります」
老人は低く唸る。
「まあまあ、お二人とも落ち着いてください」
僕が仲裁に入ると老人は僕を睨みつけた。
「あなたは関係ないでしょう!」
その眼光に僕は一瞬ひるんでしまう。
やはり日本で育った人間とドラゴンでは威厳が違う。
そんな時、国王が口を開いた。
「この方は私の命の恩人だ!」
「なっ……だがしかし!」
「恩人を無下に扱えば、ドラゴニアの威厳に関わる」
すると老人は黙り込んでしまった。
アリーシャの画像を入れときます!