第6章
茶太郎は、すぐに環境に慣れ、ぼくが毎朝エサをやりにケージをのぞきにいくと、いつも大喜びでジャンプし、ぐるぐるケージの中を何周もうれしそうに走り回って、ご機嫌でぼくを出迎えてくれた。
彼がいる16畳の部屋は、コンクリート床の古い木造の家屋の中。
ここは、ぼくが1989年から2004年まで自室として使っていた、二階建ての、1976年の建築家屋である。
そのコンクリート床には、ぼくがボディビルのトレーニング用に買った、安物の器具・・・バーベルやダンベル、ラットマシン、ベンチプレス用のベンチなどがところせましと据え置いてある。
しかし、次第にネズミが出現するようになり、そのフンや尿の影響でぼくの喘息がひどくなったということもあり、母屋の母たちが暮らす家屋に自室を移したという経緯があった。
以前、ハムスターを飼っていたことも、もしかしたら原因のひとつかもしれない。
同じ、げっ歯類だから、ケージからこぼれたエサも連中の好みだったろうからね・・・。
でも、茶太郎のエサは、完全なる「草のカタマリ」。
・・・『スマック』という商品を固定して与えていたが、茶太郎がこの「前のうち」(と私たちは、茶太郎の住まいの家屋を呼んでいた)に住むようになってからというもの、ネズミが顔をのぞかせることはなかった。
さすがに「草のペレット」では、ネズミも食べられまい(苦笑)。
茶太郎のケージは、安い机・・・背の低い机の上に置き、ちょっとした「高床式」にして、粗末な木戸から吹き込んでくる冬のスキマ風や、梅雨時の湿気、夏の高温などを少しでも避ける目的で、コンクリートの地面から、30センチほどかさ上げして飼育することにした。