第5章
・・・彼専用のケージを二つ購入して、エサなど必要最低限の用品をそろえ、自宅へ戻った。
新品のケージは、以前飼っていたロップイヤーのときのものよりも、ひとまわり小さかったが、それでも、この新しい住人には充分な広さだった。
「・・・さぁ、長旅お疲れ様。いま、出してあげるからね。」
なるべく帰りは、路面のデコボコを拾わないようにと、大き目の国道などを使い、彼に余計な震動やショックを与えないように・・・また、急発進や急ハンドル、急ブレーキをしないようにと、気を遣って運転してきた。
まぁ・・・もともとぼくは、安全運転派だけどね♪
専用の箱から出した彼は・・・思いのほか、小さかった。
(えぇ~~、こんなにちっちゃかったんだぁ・・・。)
狭い売り場の飼育スペースから、我が家の16畳の広いコンクリート部屋に移って見たせいか、本当に小さいカラダだった。
『茶色いぬいぐるみ』
ちょうどそんな印象の愛くるしい彼。
前回、初代のロップイヤーを、いきなり初日に無理やり抱き上げて、恐怖心を植えつけてしまった苦い経験から、今回は慎重に、そっとケージに放した。
はじめて見る環境にとまどい、さすがに人なれした彼でも、はじめはケージの片隅で、こちらを見ながらじっと固まっていた。
でも、やがて彼は、優しく声かけして手を差し伸べるぼくに、おそるおそる近づくと・・・
カンセキで見せてくれたような、親しみのあいさつをしてくれ・・・つまりは、ぼくの指をペロペロなめてくれたのだ。
ぼくは彼を、『こーたろう』と名づけることにした。
・・・なぜ、そう思いついたのかはわからない。
どういうわけか、『こーたろうちゃん』だったのだ。
その後、彼を見に来たうちの母にそのことを告げると・・・
「んー、なんかそれじゃあ、人間の男の名前みたいで気持ち悪いね。この子、オスなんでしょう? だったら・・・茶色いうさぎでオスだから、オスの『太郎』・・・『茶太郎』の方がよくない??」
・・・是非もなし。
『茶太郎』に決定した♪