第3章:出会い
・・・井頭公園で、ひとりさびしく過ごしたぼくは、仲良く手をつないだり、腕を組んで歩くカップルを横目に見ながら、彼らが楽しそうに談笑する様子を視界の外に追いやって・・・
車を南へ走らせ、やがて、『カンセキ真岡店』へ。
そして、館内に設けられたペットコーナー、『ペットアクアリウム』に。
水槽で元気よく泳ぐ、グッピーやらネオンテトラ、あるいは金魚やメダカといった魚を眺め・・・ワンちゃんやネコちゃん用のエサ、グッズなどを見て、やがて、奥の小動物コーナーへ・・・。
ガラス戸を開けると、ハムスターや小鳥、亀・・・そして、うさぎが何羽か。
正面入って、やや左下のケージに、『彼』はいた。
ミニウサギ・・・2010年5月ごろ生まれ、日付けは不明・・・オス、2980円(税ぬき)・・・とあった。
そしてまた、そばに貼られた紹介文言は、こう書かれていた。
『よく馴れてます!』
それを読んだぼくは、初代に飼っていた、あの『ロップイヤーどん』・・・2004年に、不潔な環境が原因で死なせてしまい、庭に眠っている茶色のホーランドロップのことを、そっと思い出していた。
いま、ぼくの目の前にいるのは、彼と同じ茶色の・・・耳が垂れ下がっていない、普通の耳のうさぎだ。
小さめの耳を立て、床の金網に伏せりながら、じっとぼくを見ている。
ケージの中・・・天井部分の中央部分の金網あたりからは、なぜか1枚のタオルがぶらさがっていた。
ぼくはしゃがんで・・・彼に向かって、そっと右手を伸ばした。
・・・すると彼は、すすっと寄ってきて、ケージに少し差し込んだ、ぼくの指に、甘えるようにぴったりとカラダを寄せてきたのだ・・・!
ぼくには、その光景が信じられなかった。
初代の『ロップイヤーどん』は、どんなに愛情かけても、けっしてぼくにカラダを触らせようとはしなかったからだ。
4年も可愛がっていたというのに。
そのうちに、このミニウサギの彼は、ぼくの人さし指を、ぺろぺろとなめだした。
(・・・うっわ、かわいい!!)
ぼくは、この彼がたまらなくいとおしくなってしまい・・・
(この子を・・・初対面なのに、最初からこんなになついてくれる、こんな可愛い子を、ほかの誰にも渡したくはないっ・・・!)
そう思い、ぼくはその場でこの子を買って帰ることに決めたんだ。
☆ ☆ ☆
・・・またあとで書きますね♪