第17章:短かったが、壮絶だった『倉庫暮らし』の日々(2)
・・・その倉庫は、かなり広いものだったが、
ガラクタばかり、あふれかえっていて、ゴチャゴチャした、ホコリだらけの廃倉庫。
その奥の一室に、テーブルを置き、その上に茶太郎のケージを載せて、日中は除染の仕事に行っていた。
帰ってくると、まず茶太郎の小屋の清掃をし、近くの公民館の水道を拝借して、きれいに洗い流した。
それが、12月の最後の週の頭あたりだったと思う。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・「ソレ」が始まったのは、その倉庫で茶太郎と暮らし始めてから、2、3日たってからのこと。
夜中に、どこからともなく、
「カサコソカサコソ」という物音がする。
明け方になり、その正体が判明した。
「な・・・なんだ?? ゲッ、ネ・・・ネズミだっ!!」
寝ているぼくの右手の先に、小さなネズミがいたのだ・・・!
その夜から、倉庫は、
「ネズミの天国」と化した。
常に、天井や壁のあたり、
そして、ひどいときには、頭のあたりとか耳元で、ネズミの気配がするのだ。
カサコソカサコソ・・・
バタン! ガサガサガサガサ・・・・チュー!!
しまいには、連中の鳴き声もはっきりと耳に届くようになる。
ぼくは、偶然持参していた、「ネズミよけスプレー」を倉庫内にまいてみた。
すると、いっときだけではあったが効果があり、ネズミの気配が消えた。
・・・が、ヤツラは、苦手なはずのハッカのにおいのする、そのスプレーにすぐに慣れてしまい、
まだ騒がしくなってきた。
幸いにして、
ぼくも茶太郎も無事だった。
どこも噛まれてはいなかった。