第15章:仕事がない・・・居場所もない・・・。
・・・いったい、どうすりゃいいんだよ??
ソレが、その時期のホンネである。
いまさら、こんなことは書きたくないし、
あとで書くエッセイでもあらためてまた触れることになるが、避けては通れぬエピソードなので、あえてここでも記す。
ぼくは、那須塩原市にいまもある『●●シーリング』という悪の巣窟で、4年ほど勤めたのちに、
そこをある理由で退職に追い込まれた。
その後は、職を転々とし、福島県や栃木県北部の「除染作業」に関わることとなった。
例の、東日本大震災に伴う原発事故の後始末的仕事である。
・・・しかしながら、
その仕事は、道路の舗装工事同様、
雨が降ると中止となり、仕事がなければ、当然、収入も無くなる。
自室で待機せざるをえなかったぼくは、
たびたび、弟と母になじられるようになる。
「働かないんなら、ここを出て行け!」と責められる日も。
家に居づらくなったぼくは、
井頭公園や道場宿緑地公園、それに、道の駅などの駐車場に車を泊めて、何時間も無意味に時間をつぶすという、悪しき、つらい習慣が身についてしまうことに。
だが、
自宅には茶太郎ちゃんが待っている。
夜には、餌をあげに帰宅しなければならない。
・・・こうして彼は、
知らず知らずのうちに、ぼくを自宅に引き止め、「自暴自棄のヤケクソ通り魔凶悪犯罪」などから守ってくれていたのだった。
おそろしいことに、その時期に茶太郎ちゃんがいてくれなかったら、
実際、そうなっていた可能性が高い。
「ああ、そうだよ。どうせ俺は、ポコチン見せて捕まって、新聞に名前も載った恥ずかしい性犯罪者だよ。・・・わかったよ。おめえらがそう来るんなら、この俺様にも『考え』ってもんがあらぁな。おのれ、今に見ておれ・・・」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
彼がいた時分、ぼくは・・・
『四国巡礼の旅』
つまり、「お遍路さん」として、
美しい自然に触れて四国を1周して歩きながら、いずれどこか、途中の山中あたりで、この忌まわしい運命・命を絶ってやるか、と考えたこともあった。
・・・が、それら、永久にまちがった判断を選択させなかった「最後の砦」「救い」が、実は茶太郎ちゃんだったのである。
m(_ _)m