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第10章
茶太郎の居住空間は・・・
同時に、ぼくの、ボディビルをやるためのトレーニング・ルームも兼ねている。
うさぎは、非常に臆病な生き物だ。
飼い主とはいえ、いつもと違った動きをしたり、いつもと変わった音を出そうものなら、個体差はあるものの、ビックリして、バタバタと暴れることも。
だからぼくは、エクササイズには、非常に気を遣った。
・・・そう。
人間以上に、気遣いをしたんだ。
彼は、はじめてぼくがトレーニングを「披露」したときには、ケージのすみで固まって、こっちをじーっと不安そうに見ていたが、すぐにバーベルの動きや音にも慣れ、ぼくが練習を終えて、体を触りに来るのを待っていた。
もちろんぼくは、汗でべっとりの手で、彼を触るような、そんな無神経なことはしなかった。
「・・・茶太郎ちゃん。ちょっと待っててね。シャワー浴びてきちゃうからね。」
そんなふうに優しく声かけをし、人間の子供のように接した。
動物だって、そのように気遣いして接してあげれば、必ず、こちらの気持ちをわかってくれるものだ。
愛情・・・なによりも、愛情と気遣いが大切なのだ。