閉鎖
更新が遅くなりました。すみません。
私のようなものが書いた文章を読んで下さる人がいることに、驚きと感謝です。
ありがとうございます。
ダンジョンを閉鎖すると言っても、俺たちは、ここから出て他のところになんて行けない。
ダンジョンから出られない奴らだってたくさんいるんだから。
だから、ダンジョンの入口を閉鎖することにした。
ほんの隙間位しかないウォンバットの通用口以外を大岩でがっちり塞いで、大きく『ダンジョン閉鎖』と血のような赤い染料で書いた。
これは雨でも落ちないから安心。
街道からダンジョンへ向かう道にも『ダンジョン閉鎖。魔物死滅。毒充満。近寄るナ』という看板を立てて、更に大岩で道を塞いだ。
本当は、裏道から入れるけど、勇者たちはそんなこと知らないから、これで大丈夫だろ。
会議でも、みんなの頭は、どうやってギアの心の傷を癒すかだった。
ギアは、家の中にこもってしまっている。
食事も、前の1/10程度しか食べていない。
みんな心配で、むしろ他のみんなの方がやつれている。
「ギア?」
ギアの家のドアから、そっと声をかける。
返事はない。
俺の家とドアが繋がっているけど、そこから入るのは、違うと思って、外から声をかけ続けている。
「みんな、お前のことを心配してる。昼ごはんも、1人前しか食べなかったってな。体は大丈夫か?どっか悪いとこないか?欲しいものあったら、何でも用意するから、言ってみろ」
後ろでは、最下層にいるはずのキマイラのマイティまで、俺たちの会話に耳を澄ませている。
気が付いたら、ここに、このダンジョン村の奴らが全員揃っていた。
こいつら、働け!と内心思うものの、俺も、ギアが閉じこもってからは、何も手につかない。
ギアの笑顔がないと、俺たちは息が出来ないのかもしれない。
そんなことを考えていると、何日かぶりにドアが開いた。
ギアが、俯きながらだが、ドアから出てきた。
「ギア!!!」
後ろの奴らも、涙を流して、手を取り合って喜んでる。
「何でも、、、叶えてくれるの?」
久しぶりに聞くギアの声は、小川のせせらぎよりきれいだな。
「うん?ああ、望みがあれば、ギアの願いなら、何だって叶えてやる!」
ドンと胸を叩いて、俺は答える。
当たり前だ!ギアの願いなら、なんだって。
「僕を強くして」
キッと俺を見上げたギアの目は、以前のような朗らかな天使ではなかった。
「は?」
俺は魂が抜けたような声しか出なかった。
「僕、強くなって、また勇者たちが来た時に、みんなを守るんだ!!!」
ギアは、手を高く掲げて、打倒勇者を誓っている。
あ、ジョルア泣いてる。ジョーイも泣いてる。
つーか、みんな泣いてんのかよ。
俺のは汗だから。
ちなみに、またまだ続きます。