水路
ギア、男の子です。
あれからまた1ヶ月、ようやく水路と風呂が完成した。
周りからは遅いと文句言われたが、俺だって忙しいんだぞ。
それでも、みんなも手伝ってくれたから、予想以上に良いものが出来た。
水路は、螺旋状に穴を降りてくるから、各階でも水を使えるし、特に15階は、水路から枝分かれさせて、いつでも新鮮な水が届くようにした。
更に風呂。
水路から流れてくる水を、オーガ2人が入れる大きさの良い香りのする木材で作った浴槽に貯めれるようになっている。
これを、ドラゴンのサーヤが、いい感じに火を吹いて、温めてくれる。
セイラが街から買ってきた最高級?らしい石鹸でギアを洗ってやる。
風邪ひくといけねぇから、サーヤが、体を洗う間ずっと小出しに火を吹いてくれるから、めちゃくちゃあったかい。
ギアも気持ち良さそうに、俺に洗われてる。
なんか、こういうの、いいな。
俺も、鼻歌を歌いながら、優しくギアを洗い、ちょうどいい湯加減のお湯をかけてやる。
ギアの色が変わった。
全体が真っ黒だったギアが、白っぽい銀髪と、白い肌の、人形みたいになった。
このお湯、変身の作用あった?
いや、そんな訳ない。
ただの川の水を、あっためただけだ。
ギアは、もう浴槽に入って、嬉しそうに体を伸ばしている。
あ、男ね。
サーヤも驚いて
「天使」
とつぶやいてる。
ダンジョンに天使はいねーだろ、さすがに。
過保護な魔物たち。