連作短歌『桜』
『春のあいさつ』
空に手を かざすよに伸びる 枝先に
春の挨拶 出逢いの桜
(空に手をかざすように伸びる枝先に、
春は訪れ、桜の花と出逢わせるのを見ると、
自分にも新たな出逢いを予感させます。)
『年に一度の約束』
川沿いに 年に一度の 約束が
漸く顔を 見せ始めたり
(川沿いの並木に、年に一度の約束を果たすように
桜の花はようやく顔を見せ始めました。)
『盃のひとひら』
盃に 浮かぶひとひら 夜桜の
口に含むは 艶やかなりし
(夜桜を見ながらお酒を飲んでいると、
盃に入った花びらを浮かべたまま
貴方が口に含む姿は艶やかでした。)
『指先』
枝先に 指が触れては 鮮やかに
桜の色は 想いを染めて
(枝先を、貴方の手指に見立て、
指先で触れてみると、
鮮やかな桜色に想いは染まるようです。)
『吉野の里、千本桜』
霞立つ 吉野の里は 夢うつつ
君と見歩く 千本桜
(雨上がり、吉野を訪れて
霞立つ中で貴方と見歩く千本桜は
とても幻想的でした。)
吉野山…奈良県吉野郡の観光地。
下、中、上、奥千本に分かれている。
『さくらいくとせ』
年を越え あの日が私に 会いに来る
桜はいつも 私を見ている
(毎年桜を見るたびに昔を思い出し、
あの日が私に会いに来るようで、桜の木もまた、
昔からいつも私を見てきたのだろうなあ
という気持ちになります。)
『雪と桜は川に混じりて』
舞い降りて 流れる川に 混じり合う
雪のひとひら 桜のひとひら
(舞い降りる雪のひとひら、桜の花びらが
流れる川に混じり合い、
区別がつかなくなるようで幻想的です。)
『八重桜』
咲き誇る ものの見事な 八重桜
十重に二十重に 想い重ねて
(咲き誇る見事な八重桜のように、
十重に二十重に
想いを重ねてゆきたいと思いました。)
『白く光りて』
三月の 暮れ立ち込める 曇り空
桜は尚も 白く光りて
(三月の終わり、夕暮れ時に立ち込める
曇り空の下でも、桜の花は白く光っていました。)
『雪見桜』
寒風や 川の悲鳴を 受けて尚
耐え咲き誇る 雪見桜
(川が悲鳴を上げ、
決壊してしまったことがあっても、
雪や寒風にさらされても、
河川敷の桜は耐え、咲き誇っていました。)
『桜の枝は傘となり』
雪原に 桜の枝は 傘となり
春の野花を 守りたりけり
(辺りが白く染まる中、
桜の枝は傘となり、足元に咲く野花を
雪から守っていました。)
『春の園』
春の園 君の訪れ 待つ桜
巡り来る四季 五感彩り
(春の園、桜は貴方の訪れを待っています。
巡り来る四季の色は、五感を彩るようです。)
『春連れ来たり』
足を止め 心奪うは 桜の樹
待ちて佇み 春連れ来たり
(桜が咲き、ひととき私の足を止め心を奪いますが、
桜の樹はじっとここに佇み、待ち続けては
花びらとともに春を連れてきたのです。)
『桜の雨に傘は出逢いし』
卯月の香 よいに誘う 三日月夜
桜の雨に 傘は出逢いし
よい(宵、酔い)
(卯月の香り、三日の月夜に誘われて
花見酒をしていたら、雨は降り始め、
桜の花びらとともに傘の上に落ちてきました。)
『初恋』
初恋は 盛る桜の ひとひらで
咲き乱れても 埋もることなく
(たくさんの人の中から初恋を見つけることは
満開の桜の木から一片の花びらを
見つけるようなものですが、
私はもう見失いません。)
『桜の小径』
舞い散れば 流る桜の 花道を
今まで何度 歩いただろう
(舞い散れば、道に流れを作る桜の中を
今まで何度歩いたでしょう。)
『花と月夜の着合わせに』
夜桜よ 花と月夜の 着合わせに
艶やかな君 酔う幸せに
(夜桜が、花と月夜の
美しい着合わせを見せている中、
艶やかな貴方を見つめ、私は幸せに酔うのです。)
『純潔の君』
待ち人に 今は逢えずも 気高きは
咲き誇る花 純潔の君
(待ち人に今は逢えずにいても、
桜のように気高く咲き誇る、清らかな貴方よ。)
花言葉 : 精神美、優雅な女性、純潔
『常夜の夢』
月は差し 常夜の夢は 桜の波
まぼろしの袖 行くなと掴む
(月が差し、桜の枝の波打つ夢のような光景の中、
夢よ覚めないで、夜よ明けないで、と
必死に袖を掴むのです。)
『葉桜』
風に揺れ 哭くは葉桜 ひととせの
別れの前に 我を呼び止め
(風に揺れる葉桜は、また一年の別れの前に、
哭いて私を呼び止めているようです。)
『桜染め』
春の日に 遅れ気づくは 桜染め
幾夜も寝かし 想い色づく
(春の訪れや、恋には遅れて気づくものですが、
桜染めのように、幾夜も寝かし
ようやく想いは色づくのでしょう。)
『桜日和』
空色に 包まれ揺れる 優美さよ
桜日和を 忘れぬように
(空色に包まれ揺れる、花の優美さ。
よく晴れた日の満開の桜、
桜日和を忘れぬように。)
『夢桜』
夢桜 流れる時の 川岸に
幾よ咲き続く 君は美し
(流れる時は川となり、
その川岸に咲き続ける夢桜。
御姿は幾夜、幾代、幾世が過ぎても
変わらず美しいですね。)
以上、二十三首でした!
今年の三月から、
twitterで知り合った方々の影響で始めたのですが、
見てくださった方々、返歌をくださった方々、
本当にありがとうございました…!(*^^*)
返歌させていただいたものを載せるのは
良いのか悪いのかわからないのですが(^-^;
何かございましたらご教授いただけますと幸いです。