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某日
今日、会社の男に『ダイエットをしているうちに骨だけになってしまい退職した女』の話を聞いた。
私はおもてに出さなかったが、密かに欲情した。
がりがりに痩せた女が大好物! 大興奮! 大幸福! まっしぐら!
と言う気持ちになった。
女は退職後の住所をとある駅のロッカーに指定していたらしいと言う。狂っていたのか。
私は、人格のない妻に『今日は遅くなります』とラインし、(妻には前頭葉がないので、いつでも既読がつくばかりで返信はない)
夜、その駅を訪ねみたのである。
夜の駅、緑がかった照明なんかにいろどられた駅、それはノスタルジアだ。
私は冒険気分でロッカーを探し当てた。
コインロッカーである。以上でも以下でもない。
ひとつひとつチンマリした鉄扉を開いていくと、やがて、髪を伸ばしっぱなしで3メートルぐらいはあろうという、そうして骨皮筋右衛門な、フリークス的色気を発散する女が収まっているのにあたる。
年の頃は三十代前半とみて良かろう。
身を折り畳んでいるので、全身は見えないが赤い花柄のワンピースを纏っている様だ。
私は雀躍を隠しもせず、折り鶴を膨らませ広げた。
女もそれを薬師如来様のごとく受け入れたのである。
緑色した、優しい、ヒリヒリした、良い夜でござあした。
これって浮気なの?
ロッカーの女とロッカーの中で寝ても。
先生、バナナはオヤツに入りますか。
なんつったりして。笑。