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冒険の果てに

そして、その後は何事も無かった様に二人はたわいもない話をして

その夜を過ごしました。


次の日、ジャックが気付いた時、もうそこにククルの姿はありませんでした。

飛び魚仲間はみんなでククルを探しましたが一向にククルが見つかる

気配はありません。


ジャックはハッと気付きました。

ククルがその謎の雲を探しに行ったと言う事を。


太平洋の波は今日も穏やかに輝いていました。

その中を泳ぐ一匹の飛び魚の姿があります。

やはりそれはククルでした。

ククルはその雲を探して広い海をさ迷っていたのです。


ある時はマグロに話を聞いて、ある時はカツオに情報を求める。

雲を探しての旅は一筋縄では行きませんでした。


岩にぶつかりそうになったり、漁船の網にかかりそうになったり

大きな魚に食べられそうになったり、大嵐で進めなくなったり。


それでも情報を求め、海を泳ぎ続けます。

まだ見ぬ大空の向こうを見る為に。

果てしない夢を叶える為に。


ククルが雲を探す旅に出てどれ位経ったでしょう?

精悍な体は衰え、昔はあれほど得意だった波越えもかなり辛くなって

来ていました。

それでもまだ大空への情熱は覚めていません。

そう、未だに有効な情報が集まっていないにも関わらず彼は勢力的に

活動していたのです。


太平洋に伝説の雲があると行けば飛んで行き、大西洋に昔飛んだ者を

見た事があると聞けば飛んで行く。

もうククルが泳いだ事のない海域は無いと言っていい位地球中の海を

泳ぎ廻ったのです。


それでも結局ククルの欲しい情報は得られないままでした。

ククルはもうこのまま一生探し続ける旅で終わってもいいとさえ思って

しまっていました。


そんなある日の事、ククルが空を眺めながら泳いでいると、突然の

竜巻に巻き込まれてしまいました。


普段だったら危険を避けて竜巻には近づかない様にしているのに今回は

思う様に体を動かせなかったのです。


竜巻はククルを高く高く舞い上げて行きます。

高く、高く、自分が感じた事の無い感覚がククルを包み込みます。


突風に流されながらククルはこれこそが自分が求めていたものだと

確信するのでした。


自分が求めていたものは自分が一番敬遠していたものの中にあったんだ

なぁとその時ククルは思いました。


そしてククルは薄れ行く意識の中でこの感覚を思う存分楽しむのでした。

だってククルの夢は今叶ったのですから!



南米のとある町で竜巻に巻き上げられた魚が空から降って来ました。


その中にはあのククルの姿もありました。


地上に打ちつけられて絶命していたその顔を見ると、とても満足そうな

笑顔をしていたと言う話です。



(おしまい)

竜巻によって海の魚が陸に舞い落ちてくるという話を聞いて思いついたものです。

命をかけた願いが叶ったならその先に死が待っていても満足出来るのかなーと。

人生それぞれですしね。

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