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ふたをとらずに
「一休、ふたを取らんとこの味噌汁がのめるか?」
と、村人は言いましたが、頓知勝負は始まりません。
「はぁ? なに? お前出来んの?」
「うーん。無理だろうな」
「しゃ~ね~な」
一休さんはそう言うとお椀側面に穴を開けました。
「ほれ、ド馬鹿。出来だぞ? これで飲めるか?」
それはもう見下しています。
「あー、そうなっちゃいます?」
「だからテメー出来んのかって!!」
「あっ、できませんでした。死ねばいいですか?」
なんだか一休さんはイライラしていますね。
「何をおっしゃいますか、いいのですよ? そのまま生きておられたのなら、仏様が救ってくださます」
と、我に返った一休さんは、慌てて言いました。
「あっ、うん。なんか怖い」
こうして一休さんは荒んでいくのでした。
恐らくですが、村人の呼び捨てが一休『さん』の逆鱗に触れたのだと作者は思います。
調子こいてるんですよ、こいつってやつはね。