『地獄の黙示録』:映画
もう何か、途中で見飽きた。見飽きたから、本当はレビューしたくなかったけど、見飽きたのも一つの感想なので嫌々レビューしよう。
まず上映時間が長い! 二時間半~三時間。しかもどうでもいいような場面が多く、見ていて「はよ次イケや!」と何度も思った。場面を盛り上げるというより、ただ単に“タメ”が長くて鬱陶しいだけ。いちいち仰々しいよ。
戦争の悲惨さなら『プライベート・ライアン』が教えてくれた。戦争の狂気は『フルメタル・ジャケット』が教えてくれた。僕たちはこれらの映画を見て、決して火炎放射兵にはならないこと(だって背中のタンク撃たれたら一撃で火だるまなんだもん)、海兵隊養成所はアホ勇者専用だということを学んだはずだ。
この映画から学べることはナニ一つとしてなかった。戦闘シーンはダルクて退屈だし、サーフィンはしない。ていうか枯葉剤ばら撒かないの? なんで自分たちのやったことは描写しないの? これプロパガンダ映画? ねえ、何なの?
一応、途中でアメリカ本土から呼んできたであろうポルノスターが電撃ライブを行って兵士を慰問したりしてた。なんだ、米軍も慰安婦使ってんじゃん。でもお触りは禁止らしく、興奮した兵士が近寄ってくるとすぐに逃げた。逃げる売春婦は訓練されてない売春婦だ。訓練が足りんようんだな、アカのおフ〇ラ豚め!
んでまあ、この映画は一応原作がある。コンラッドの『闇の奥』である。この作品、かの有名な残虐キチ〇イ叙事詩的小説『ブラッド・メリディアン』も参考にしたのではないかと思われる小説なのだ。
『闇の奥』の舞台は19世紀の植民地時代。ベルギー植民地のコンゴ奥地に、クルツ大佐と呼ばれる人物が、現地民を勝手に支配しているから、それの調査をしてこい、というのが大まかなあらすじ。これはコンラッドの実際の経験を基にしており、植民地時代の狂気と矛盾を描いた作品として名高い。興味ある人は読んでみよう。私はメンドクサイので嫌です。読んだら適当に要約して面白いレビューしてね。10点入れてあげるからさ~。
んでまあ、この『闇の奥』の何が怖いかっていうと(読んでねーけど)、各国が争って植民地を作っていた時代に、個人が私的植民地を作っていた、ということだろう。まさに戦国時代である。正式な官位も何もない人間が、武力とかカリスマとか知略だけで自分の領土を作ってしまうのである。そういうところの矛盾とかを描いたからこその作品なのである。
要するに、この『闇の奥』をベトナム戦争に移し替えたのがこの『地獄の黙示録』なのだ。でもさぁ、移し替える対象間違えてるだろ? ベトナム戦争は植民地戦争というより東西冷戦の代理戦争であって、ベトナムがどちらの陣営につくかを決める戦争だ。植民地とかもうあまり興味ないと思うぞ。それより親米政権作りたいだけだ。ちなみにここに出てくるカーツ大佐というのは「クルツ」を英語読みしたもの。でもさぁ……なんか違うんだよな! ちなみに、この『闇の奥』は漫画にもなっており、どうやら東南アジア占領した日本軍に舞台を置き換えてるらしい。東南アジアとか一時期占領しただけでほとんど日本軍はすぐに敗退していったと思うが……なんだかあまりにもリアリティを欠く内容っぽくて萎えるな。こういうしょうもない作品群が植民地時代の誤解を加速させてゆくのだろう。植民地時代って言っても、大航海時代から数えたら400年近くあり、歴史と伝統ある統治方法なんだぞ。一回、世界の植民地支配をまとめ上げろよ、歴史家は。
まあ、それは置いておくとして、とにかく植民地時代の史実を元にしているくせに、植民地時代が終わった戦争にその構図を当てはめるという、一体何考えこれ作ったんだ? まだアメリカのインディアン虐殺時代に舞台を移した方がマシだぞ。まあ、そうやったら枯葉剤がメープルシロップに思えるくらいの残虐場面連発な上、アメリカの暗黒面を描かなくてはならなかっただろう。でも、結局のところ一番描かなければいけないのは、そういう暗黒面なんじゃなかろうか。そこをぼやかして仰々しい映像表現で誤魔化しても無駄だ。
結局のところ、この映画にあるのは戦争の悲惨さでも人間の業の深さでもなく、ただ映像の形式があるだけだと思う。戦争映画に見せておいて、ただのエンターテイメント映画と同じだし、それもエンタメに徹しきれておらず高尚ぶって気取ってるから微妙っていうね……まあ、要するに、悪い子はこれ見るくらいなら『プライベート・ライアン』と『フルメタル・ジャケット』見ましょうね。良い子は『地獄の黙示録』でも見てるといいよ。性描写も残虐描写もそんなにないし、小学生にもピッタリだよ。




