『魔界戦記ディスガイア4~~フーカ&デスコ編はじめました~~』(でもフーカ&デスコ編はやってません編)――(ゲーム)
ついにこのゲームをレビューする日がやってきたようだ。なぜなら、本編をクリアしてキャラ界に何度も潜っている間に超絶飽きてきたからだ。もはや拠点の無駄に熱い音楽を聴くことすら苦痛に感じたので、電源を落して疲れた目を閉じた。
買ったキッカケは先述『魔女と百騎兵』を買ったときに一緒に買ったからだ。ひとつの大して長くもない文章の中に三回も「買った」という単語が出てくるのはどうかと思うが、お許しいただきたい。しばらくは魔女と百騎兵に集中していたため、始めるのが遅くなった。しかしいったん始めるとこっちもかなり面白く、ずいぶんと睡眠時間を削ってくれた。日本一ソフト、やるな……である。
内容はいい意味で昔のRPGっぽい感じ。もちろん、ただの古臭いJRPGというわけではない。今さらのドット絵だが、超高精細のため、もはやイラストが動いているかのように見える。ドット絵の表現力というのを再認識させられた。絵自体も萌えと言えばそれまでだが、あまりいやらしい感じではなく、むしろ可愛らしい感じ。モンスターも一見精悍そうにみえるが、どことなく愛嬌もあっていい。
そしてディスガイアと言えば(この4しかやってないけど)、やはりパロディ要素だろう。会話から武器の説明まで、全ての場面にちりばめられたパロディネタの数々。どれがどのパロディか当てるのもけっこう楽しかった。中にはエルシャダイネタも入っているが、そんな古いネタのパロディで大丈夫か? しかし大丈夫だ。勢いで誤魔化すから。
一番笑ったのは、拳武器ラストリベリオンの説明文が「好評発売中!」だったことだ。
一応説明しておくと、『ラストリベリオン』とはディスガイアと同じ日本一ソフトウェアから発売されたゲームで通称『スベリオン』と呼ばれている。詳しい内容はクソゲー・オブ・ザ・イヤーを見ていただくのが一番早い。早いが簡単に説明すると、壮大そうな割に人口数人程度の謎な世界観、謎の英語音声、ぶっ壊れたゲームバランスなどが各地で物議を醸したかもしれない巻きグソゲーだ。ゲームバランスは「レベルを上げて物理で殴ればおk」という強烈なフレーズが(一部では)有名だ。普通なら自ら生み出してしまったクソゲーのことなど、怖くて触れることすらできないのではなかろうか。一応、制作は別の会社らしいが、何にせよ自社がとんでもないクソゲーを発売してしまったという事実は変わらない。そんな自らの黒歴史すらパロディーにしてしまう、その心意気はまさしく日本一の名に恥じないだろう。
話は変わるが、この日本一ソフトは岐阜県に会社があるらしい。岐阜と言えば信長がかつて稲葉山を岐阜に改名した故事が有名だ。その岐阜から腐った日本を改革するために天下布武を掲げて、上洛してゆくことになる。もしかして日本一という会社名はそれからとったのだろうか。
信長の心意気を胸に、腐ったゲーム業界を改革してゆく――最後の抵抗――そういう意味も込められているに違いない。ちなみに今作のテーマは政治に焦点が当てられている。と言っても、そんな重い話でも真面目な話でもない。ぶっちゃけ中身はパロディーまみれの、ときどきシリアスで熱いイワシ物語になっている。
おそらく、このゲームをやればイワシがどれほど人類にとって大切な栄養源か、再認識できるだろう。おかげで最近、イワシの天ぷらを食べた。濃厚なプリン体の味がしておいしかったです。
主人公のヴァルバトーゼは、かつては暴君と呼ばれ魔界と人間界を恐怖に陥れた吸血鬼の王だ。そんな彼も今では地獄(魔界の刑務所という設定)でプリニー教育係に成り下がり、イワシをむさぼる変人になっちゃった。でもそんな変人に健気に、ていうかもはや崇拝してついていくのが執事のフェンリッヒ。魔女百のアルレッキーノとはまた違ったキャラだが、執事の割に腹黒い。主のヴァルバトーゼの代わりに汚い仕事を引き受けている感じ。さらに自分が死んだことを受け入れられず、全てを夢だと思っている少女フーカに、ラスボス目指す女の子デスコと、このゲームのキャラはかなり強烈なインパクトを持っている。基本的にキャラゲーなのでキャラに個性があることはいいことだ。メインだけではない。自由に制作可能な汎用キャラもかなりの個性的。しかし、このあたりは前作までをやっている人たちにはインパクトは薄いかも。前作からの使いまわしが多いからだ。私は4が初プレイなので、かなりのインパクトがあった。どの汎用キャラも愛嬌と毒があって面白い。選挙管理委員会で配置したキャラに話しかけることができるが、そのときの会話も複数パターンがあったりして面白い。あと、今「選挙」と書いたが、魔界では「戦挙」である。どういう制度かはよく分からないが、投票した後、両陣営に分かれて南北戦争するようだ。この民主的な制度によって平和に大統領が選ばれているようだ。ちなみに魔界政府も「政府」ではなく「政腐」と書く。最初から腐ってるから、「腐っても鯛」じゃなくてただの「腐ってる鯛」だ。腐っている鯛を食うくらいなら、当然イワシを食うだろう。これではもはやヴァルバトーゼの新党イワシに投票するしかないではないか。魔界を地獄と化し、再教育する――しかしそれはもはや今の日本にも言えることなのかもしれない。
声優の演技もどれも良かった。声がイメージ通りだったし、演技に非常に熱がこもっていた。この会社の声優のチョイスは中々イカスと思う。個人的にラスボスの声優が中々良かった。狂気をはらみつつ、憎たらしい礼儀正しいものの言い方で、いかにも悪役っぽい。ただ、ラスボスの癖に最後はあまりラスボスっぽくなくなってしまったのが惜しい。
このシリーズは、究極のキャラゲーと言える。というか究極のキャラゲーだ。これほどキャラ育成に焦点を当てた作品もないだろう。まずディスガイアのレベル上限はシリーズ伝統の9999。しかも転生システムつき。転生すると一部の能力を引き継いだり、ステータスにボーナスがついてまたレベル1からやり直せる。このレベル9999での転生を繰り返していくことで最強のユニットを作り上げていくのが、ディスガイアのやり込みの一つだ。
また、冒頭でも言った通り、キャラ界というのがあって、そこでは普通は強化できないような移動力、投げ距離、装備適性などの項目が強化できるようになっている。ランダムダンジョンの形式を取っており、キャラを強化するには何回もこのキャラ界に潜っていくことになる。ちなみにこれも潜れる回数は最大三回まで。転生すると回数はリセットされるため、結局何回も転生して、ということが必要になってくる。
ランダムダンジョンと言えばアイテム界。ディスガイアと言えばアイテム界である。これはアイテムの中の世界に潜っていくことで、アイテムを強化していくというもの。最初は面白く、何回も潜っていたのだが……結局のところ、すぐに飽きて止めてしまった。一度やめるとなかなかアイテム界にいくことはなくなった。どう考えてもレベル上げした方が効率的だからである。アイテム界の敵も、レベルの高いアイテムほど高くなる。結局、レベルを十分上げてから行かないと、すぐにやられてしまう。レベルを上げてシナリオを進めていくうちに、どんどん次の強い装備なんかが出てくるため、意味がなくなる。また、地上げ屋を使えばいくらでも効率的にイノセント集めができる(要するに効率的にアイテムを強化できる)ことが判明してからは、下手にアイテム界に潜ることはなくなった。結局のところ、アイテムを強くするためにアイテム界に潜る時間があるなら、少なくとも本編では最初から経験値を稼いで強くした方がはるかに効率がいい。装備の強化は本編クリア後のやり込み要素の類に入ると思う。また、このアイテム界というのがランダム要素が多くて少しそこら辺は不満に思った。まずレアリティによって潜れる深さに限界がある。途中でアイテム議会というのが開けるのだが、これも出てくるかどうかはランダム。そこでの可決もランダム。まあ、議会の可決は十分な強ささえあれば力づくでも可能なのだが、めんどくさい。結局はギブロ(ギブアップ&ロード)地獄と化す。特にアイテムレベルをマックスの300まで上げようと思うと、かなりの運と根気が必要になる。私はそこまでいかなかった。というより、行く気になれなかった。そこまでしてやるのは、もはや作業ですらないと思うからだ。
あと、気を引いたのは選挙管理委員会。これは選挙区にキャラやシンボルを配置して、相乗効果を狙っていくもの。色々プレイヤーが工夫していく余地があるため、これを考えるのはかなり楽しかった。ただ、考えるのに時間を取られるということと、シンボルとキャラが増えてくるとかなりゴチャゴチャしてくるのが少し欠点か。
戦闘システムでは、モンスターの扱いが独特で面白い。怒ッキングは、モンスターを二体合体させる、というもの。体がでかくなる分、範囲攻撃などの脅威にさらされたり、細い通路を通れなくなったりするが、でかい分強くなれる。また、技の効果範囲も広くなる。魔チェンジはモンスターが武器に変形して、人型ユニットと合体する、というもの。これも魔チェンジ時専用の技が用意されている。通常の武器は主に攻撃力しかアップしないが、魔チェンジ武器は全パラメーターがアップするため、一気にユニットが強くなる。また、経験値も魔チェンジ側、人側両方に入るため、レベルの低い魔物を育てるのにも有効だ。どちらも制限があるため、ずっとドッキングや魔チェンジをしていられるわけではないが、だいたい一回の戦闘が数ターンで決着のつくディスガイアにおいてはそれでも十分。
まあ、いくらでも書きたいことはあるのだが、あまりそれを書き連ねても字数が増えるだけで結局よく分からないと思うので、興味のある人は買った方が早い。ただし、受験生の人は買わない方がいい。これをやるといくらでも勉強時間が削られていく。受験生にやらせてはいけないゲーム堂々のNO1だろう。二位は無双系で。
メインのストーリーだけでも相当の長さがある上、クリア後には後日談まで収録。やりごたえ抜群なので、是非とも挑んでほしい。
あまり大ヒットはしてないようだが、こういうゲームこそそれなりに売れて欲しいと思う。それなりにね。
あと、珍しくDLCで追加キャラを購入した。中古で買ったのだが、かなりの気合いの入った職人芸的ゲームだったので、半分寄付するつもりで何体か購入した。このお金を元に、日本一ソフトにはモリモリ良ゲーを生み出していって欲しい。




