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『黒娘 アウトサイダー・フィーメール』~~春の牧野修祭り・第三弾~~:小説

 ついに春の牧野祭りも第三弾である。今回はこの『黒娘』。こちらも『死んだ女は歩かない』同様、強い女が男どもを片っ端からぶち殺してゆく、ただそれだけの話。

 それだけの話なのに、こちらはすごく面白くて一気に読み終えてしまった。だって主人公のひとりであるウランたん(もちろん女)が、いきなり立ションしているところから始まるんだぞ? しかしこれは男よりむしろ女性読者にこそ読んでもらいたい作品になっている。悪い男たちを超絶バイオレンスで皆殺しにしていく様は、水戸黄門の助さん角さんが最後に悪人をバッサバッサとなぎ倒していくかのような快感がある。超絶残虐なグロシーンも、もはやここまでくれば笑いの領域に差しかかっているぞ。しかしそれをギャグではなく、ユーモア感覚を見せながらもシリアスなアクションとして描き切った。

 あとはここに牧野氏特有のオカルトや腐敗した宗教、裏歴史などを捻じ込めば世にも残虐な牧野小説が完成。

 主人公二人も十分個性的だが、敵も考えがハッキリしていて、ある意味スカッとする。この秘密結社は男根至上主義を掲げて女どもを拉致してレイプしたり殺したりして痛めつける集団なのだが、どことなく男の本音を代弁していると思う。確かに異常な団体ではあるが、「女って調子乗ってるよな」という、男性なら一回は感じたことがある感情をうまくすくい上げているように感じた。

 一見スカッとする王道物語で、事実その通りなのだが、男女の違い、男女の微妙な力関係などを内包しつつも、それを表面でがなり立てずにうまくエンターテイメントに仕立て上げた。ラストも納得いかない部分もあるにはあるが、おおむね満足できる仕上がりだったと思う。作者もあとがきで「自分でも傑作だと思う」と告白しているが、本当に傑作に入ると思う。少なくとも牧野小説の中ではダントツでお勧めできる。「仮に傑作でなくとも間違いなくスッキリはできますから」と後書きに書いてある通りだ。

 表紙絵は古屋兎丸が担当。珍しく本文中にも挿絵があって、それも担当している。本文の絵は、デフォルメされた抽象的なイラストだが、古屋氏独特のユーモアがある絵で面白い。やはり牧野小説にはこういう絵師を使うべきだろう。

 日常的に鬱憤がたまっている人。田〇陽子がムカついてしょうがない人。そんな人たちはぜひ手に取って読んでほしい。


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