『死んだ女は歩かない』~~春の牧野修祭り第二弾~~:小説
一体何段まで続くのか全くもって不明だが、もう一冊読んだのでレビューしたい。
この小説は単純明快。ミラジョボっぽい強い女がゾンビを片っ端からバッサバッサとなぎ倒していく、というもの。
人類の臓器に擬態するメディカル・ワーム(医療虫)という画期的な発明によってあらゆる病気は根絶されたが、例によって医療虫が暴走、死んだ男はゾンビ(というか何か強い不死者)に、女は特殊能力(科学法則とかは無視。超能力的なの)を身に着けた、という設定。医療虫というもの自体は『楽園の知恵』の中の一編、『或る芸人の記憶』で出てきている。
今までの牧野作品にありがちな人を選ぶアクの強さもなく、マイルドで読みやすい。ストーリーも「これ本当に牧野?」と疑って表紙の作者を確認して「やっぱり間違ってないなぁ」と思うくらい王道だ。一昔前のライトノベルに近いような気がする。マルドゥック・スクランブルとか。トリニティ・ブラッドとか。
続刊も出ているようだが、続刊は買う気にはなれなかった。というのも、人物名が分かりにくく、かなり特殊な読み方をするため、すんなりと頭に入ってこない。
二つ目はもっとゾンビをなぎ倒す、ゾンビ無双のような状況を想像していた。それこそ、死の終末的世界で、超能力をもった女たちが戦う話だと思っていたのだが、千屍区というこじんまりした場所でのお話で、話自体が綺麗にまとまりすぎている。もっと牧野節炸裂のトンデモストーリーを期待していただけに、残念だ。
あとは能力バトル。主人公と仲間二人がいるのだが、その能力が微妙……主人公の能力は腹部にブラックホールみたいな闇が現れ、そこから武器やアイテムを召喚できるというもの。これから発展のしようはあると思うが、なにぶん武器を取り出したらあとは普通に物理で殴るだけなので、能力モノにする醍醐味がイマイチ感じられなかった。あとの二人も微妙……敵の方がよほどいい能力を持っているぞ。ここら辺の純粋な能力バトルなら『戦う司書』シリーズの方が上だった。
読んでいて面白くないことはないが、牧野節を期待して買うと肩透かしな感じ。内容自体はそこそこにはよく書けているので、逆に初・牧野という人には入門書としてお勧めかも。




