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パシフィック・リム:(映画)

 たまたまソフマップでウロウロしていたら流れていたのでボーっと見ていたら、すごく面白そうだったので、早速ツタヤで借りて見てきた。

 怪獣映画である。

 ちなみにこれから書くことは全て内容を知っていること前提で書くが、これを読んだからと言って映画の楽しみがそがれることはないと思っていいだろう。というのも映像の凄さ、そこが見どころの映画だからであって、ストーリーはあくまでそれを引き立てる役に過ぎないからだ。そんな大それたどんでん返しや精緻なプロット進行があるわけではないのだから、頭を空っぽにして楽しんでもらいたい。見ていて「ああ、次はこうなるだろうな」と予想が出来てしまう程度だ。

 さて、この映画は日本のサブカルにカブレ過ぎである。怪獣もそうだが、怪獣を倒すのは米軍や特殊部隊ではなく、ガンダムのような人型ロボット。しかも「機械と神経をシンクロさせて~~」など、ここら辺の設定はエヴァから引っ張ってきている模様。ただし、脳に負担がかかるために二人のパイロットが乗り込むことになっている。でも途中で根性発揮して一人で操作してたりしてた。ようするにロックバンドと同じで、大事なのはノリなのだ。ハートを動かせるのはハートだけなのだ。最初のキョンっぽいナレーションでも「パイロットはロックスター並みの人気を得た」というようなこと言ってたから、あながち間違いでもあるまい。

 まあ、とりあえず異次元宇宙っぽい場所から怪獣はやってきているようだ。ぶっちゃけ怪獣のやってくる場所、理由などどうでもいい。とにかく、でかいモンスターが登場し、世界を破壊して人類を絶望に叩き落とす、これが怪獣ものの醍醐味だろう。さらに今作、怪獣のデザインが独特でカッコいい。適度なキモさも兼ね備えつつ、生物としてリアルに描かれている。そして特殊能力も備わっている。

 最初はやられ役の怪獣だが、そのうち段々と筋トレでもして強くなったのか、はたまた送り込んできた宇宙人っていうか異次元人? 異宇宙人? 何て言えばいいのか分からないが、とにかく侵略者どもが改良したのかもしれない。こちらも強いガンダムを作ったら、対抗して向うも強い怪獣を生み出す。これが自由競争の原理である。

 とりあえず、この映画は考えたら負けだ。最初の方で、主人公が壁の建設現場に5年もいたのに、なぜいきなりイェーガーに乗ってちゃんと操縦できたのか、仕事でもなんでも、ブランクが5年もあったら大変だろう。だがそんなことは関係ない。主人公の心の中には死んだ兄がいるのだから。きっとそうだ。

 この映画、CGもすごいが、それ以上に凄いのはイェーガー内部などのセット類だろう。汚れ具合なども再現されており、かなりの完成度。

 もちろん、この映画の見所はイェーガーと怪獣の戦闘シーンだが、怪獣だけでなくイェーガーにもいろんな種類がある。どれも個性的でカッコいい。だが、どいつもこいつも経歴は立派なのに新怪獣が出てきたら次々と撃破される始末。特に残念だったのは中国人三つ子が操縦する機体。「サンダークラウド・フォーメーション」なる大そうな技を使うが、要するに刃のついた3本の腕で攻撃する、というもの。特に活躍する描写もなく怪獣にあっけなく倒されてしまう。やはり中国製はダメだったのだ。続いてロシア製もダメ。かなり奮闘したが、怪獣がもう一匹出てくると対処しきれなくなる。中国製がもうちょっと頑張ってくれれば良かったかもしれないが、おそらくそれでも戦局は大して変わらなかっただろう。次々とやられゆくイェーガーに、観客の絶望感、そして主人公への期待感は否応なく高まってゆく。ここら辺はド定番だが、やはり熱い。

 そしてなだれ込んでゆく市街地での怪獣戦争。男のロマンが全て詰まっていると言っても過言ではあるまい。

 怪獣との戦闘シーン全てに言えることが、重量感がありながらもスピーディーな動きをし、それに説得力があるということ。かなり日本の怪獣のイメージに近いKAIJYUであり、違和感がない。ゴジラUSAは、日本のゴジラと全く別物だった。私はUSA版の方が好きだ。なぜなら、怪獣というのは冷静に考えれば近代兵器で撃破できるものだし(ただしゴジラでは途中で怨念が実体化したもの、などオカルトチックな設定が出てくるので、あくまで生物として見た場合、である)、怪獣vs人間という戦いはやはり熱かった。

 ただし、この中盤の市街地戦がピーク。あとは海底でも戦うのだが、やはり海底はイマイチだった。崩壊するビルに、逃げ惑う市民たち――これも怪獣ものになくてはならないものだ。殺風景な海底ではそんなものあるわけない。

 そうそう、脇役で出てきたマッドな科学者が二人いるのだが、そのうち杖をついている方のモデルはホーキング博士なのだろうか? 何となく似ていた。

 ホント、よく思い出してみると、全編よくある展開、王道的展開で新しいところなど全くない。私もレビューするうえで困っているくらいだ。何の工夫もない直球なのだが、それが時速200キロくらいある。そんな球を評価するには、「とにかく実際見てくれ! メチャクチャ早いから!」と言うしかあるまい。

 今までの怪獣ものが育んできたロマンを一身に浴びて育った、怪獣映画の金字塔。

 怪獣映画の可能性を、あらためて見せつけてくれた快作だった。


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