アリス マッドネス リターンズ:(ゲーム)
2011年9月11日の活動報告より転記。
恐怖と不条理のフェアリーテイル――そんな謳い文句と一緒に少女が血まみれのナイフを持っているイラスト――これだけでそそる人もいるのではなかろうか。そう、私もその世界観にそそられた一人であり、また悲しき犠牲者の一人なのだ。
ゲームの世界観はよかった。世界観だけは。
それ以外がクソ。ゲームシステムに何の工夫もなく、ただ不安定な足場を次の場所へ向けてジャンプして渡っていく。それだけの簡単なお仕事です。
単調な仕事を終えて家に帰って待っていたのは、仕事と同じか、むしろそれ以上に単調なゲームだった。一応2章まではクリアしたが、これが5章まで続くのかと思うとそっちの方がよほど恐怖だし、金出して買ったゲームが金もらってやる仕事より単調なんて不条理もいいところだ。
ゲームの世界観や美術が良かっただけに、「なぜ?」という疑問と「もったいない」という思いがつい湧きあがってしまう。
画集もついでに買ったが、これはよかった。こっちは2800円くらいで170~180ページくらいのハードカバー、しかも(ほぼ)オールカラー。洋書なので、円高の影響もあって安い今は、買いと言えるだろう。
ゲームはなんでクソだったんだろう……いろいろ自分で考えられる原因を挙げてみた。
まず、敵の出現自体が単調でワンパターンをいうこと。足場を渡った先に広い空間があったら、だいたいそこで出現する。出現もだいたい地面から湧き出る。それ以外にもあったような気がするが、とにかくそんなに印象的な出現ではなかった。それこそデッドスペースかゴッド・オブ・ウォーレベルの演出を期待していたのだけども……
ただ単調ななぞ解きを行い、延々と続く単調な足場を渡り、単調なボタン連打主体の戦闘をこなす。2章までが限界だった。
だいたいゲームの7割くらいが足場渡り、つまり移動だったのも単調さに拍車をかけた要因だろう。むろん、買う前の勝手なイメージだったのは分かっているが、もっと戦闘主体のアグレッシブなゲームだと思い込んでいた。だからこの足場を渡っていく、という時点ですでに心が折れかけていた。
そこに持ってきて、戦闘の単調さ。一応、アリスの体力が少なくなった時に『ヒステリーモード』という演出があり、これは結構かっこいいし爽快感もあるのだが、戦闘中の演出はこれしかない。しかも、ボスがラスボスのみ(ネットの情報。少なくとも2章まではボスなし)。ボスに限らず、敵の種類も少なかった。
画集から推測するに、美術スタッフはものすごい精鋭を集めたのだろう。しかし、肝心のゲームクリエイターがクソだったか、金がなくてクソしか雇えなかったか、やっぱり金がなくて演出やボスなんかも削られていったのだろう。多分ゴッド・オブ・ウォーみたいに敵にナイフ突き立てて首切り落として血ドバーとか天誅みたいに後ろから忍び寄って後ろからハンマーで頭たたき割ったりあり得ない数の敵に追いかけられ、絶体絶命と言うときに小さくなって壁の隙間に逃げ込む、などといった不思議の世界を利用した演出なんかも、きっとそれで削除されたのだろう。(一応後半の方にあるらしいけど、そこまでもちませんでした)
本当に残念なゲーム、それがふさわしい。
次回作が出たら、期待しつつ中古で買います。
これは本当に残念だった。ただ、最近の手抜き和ゲーと違って世界観だけはこだわっていたから、そこがゲームに反映されてさえいれば……