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『信長の野望 創造』:ゲーム

 結局、何も創造できなかったのではないだろうか。

 

 発売前のことである。私は今回の信長にずいぶんと期待して、発売一か月前くらいからスレに入り浸るようになった。何せ30周年である。30周年の集大成として全力を挙げて取り組む、というのだから、期待しないわけにはいかなかった。今までのシリーズは最近になってどれも決定力を欠いていた。どれもこれも中途半端な出来で、プレイヤーはなかなか満足できる状態ではなかった。革新では内政に様々な技術が追加、従来のリアルタイムの戦闘ほかにも内政施設を戦争で破壊したりされたり、いろんな要素が詰まっていた。内政と戦争がシームレスに関係するようになったのもこの作品の特徴の一つだ。天道でもそれは引き継がれた。天道では名前の通り「道」をテーマに信長の野望を再編集してみたのだが……革新からいろんな要素が削除され薄味になった上に、肝心の「道システム」も内容がなくてイマイチ。さらに天道は敵の城を取った瞬間に、その城に所属する内政施設が爆発、霧散する素敵仕様となっており、プレイヤーをイラつかせた。街道を戦略的に敷設する、というコンセプトだったが、ほとんどの場合は作業と成り果てていた。コンセプトとしては、道を遮断することで敵の進攻を遅らせたり、逆に道を敵の施設に繋げることで敵勢力をじわじわ削り取っていくような攻めとしての使い方が用意されていた……はずだった。しかし実際にやってみると、敵AIは内政資源(兵糧とか金とか)がプレイヤーに見えないところで水増しされていて、削り取る意味もあまりなく、結局は一気に攻め滅ぼす方が早い。そもそも削り取る行為自体が不毛である。こちらの施設を敵に取られると、内政施設はそのまま敵の手に渡るが、こちらが敵の施設を取ると自爆テロじみた清野作戦によって内政施設は例によって爆発する。つまり、国境付近の施設を奪い合うという行為を行った場合、敵にとって有利なだけでこちらは取るたびに内政をやり直す必要がある。コンセプトである「道をつなげて敵地を削り取る」も「国境付近で領地を取り合う戦い」も全く再現されていない。

 さらに天道のクソ要素と言えば調略での引き抜き合戦であろうか。忠誠が100未満の武将は引き抜きされまくり、忠誠が下がってあげくには敵に寝返ることになる。これを防ぐには敵地に接触していない奥地の城へ退避させることしかない。そして給料を上げて忠誠を金で買う。忠誠が100になったらようやく前線に出撃だ。

 また、他の批判要素としては兵士の輸送がある。奥地で徴発した兵士を前線の城にピストン輸送。前線に集中的に兵力を集めて運用することで一気に押しつぶせるパワーゲームになってしまい、戦略や戦術が介在する余地がなくなった。高い兵力を優秀な武将に指揮させれば、ほとんどプレイヤー側は勝ったも同然。武将の特技もパワーゲームに拍車をかけた。優秀な武将の強烈な特技によって、一気に兵力が削れる様は「魔法」と揶揄され、結局パワーゲームになってしまった。

 ステータスでいうと、知力の使い方も微妙。こちらの計略はあまり効かない。知力が高いメリットは敵の計略で行軍中に足止めされないくらいか。また、足止め、混乱を食らった自部隊を回復させるのにも使えるが、最終的にそれほど使い道があるわけではない。高いに越したことはないが、低くても構わない、そんな感じの微妙なステータスになってしまっていた。


 だいたい以上が今までの革新、天道の批判だろうか。そういう批判の中、信長シリーズ30周年を記念して作られた節目となる作品が今作『創造』だ。

 まずは創造と前作天道の違いを見て行こう。

 一枚マップがよりリアルに、綺麗になった。これは確実かつ着実な進歩だろう。映像のリアルさを追求した作品ではないが、リアルな日本地図によって「これから日本を統一するんじゃい!」という気になる。

 そして城の数が増えた。一国の中には基本的に本城が一つだけだが、支城が一国につき4,5個あり、全ての城数は300以上。さらに要所(道と道が交わる点)では多少条件はあるものの、自由に新たな支城を立てることが可能。

 兵力の分散化。兵士の輸送の廃止。これによって天道以前のようなパワーゲームではなくなった。城にいる兵士は城にひも付けされている。Aの城にいる兵士をB城に輸送して、ということはできない。AとBの城から、それぞれ一つずつの部隊(もちろん、場合によっては兵力を割って一つの城から二部隊出してもいい)を出撃させなければならない。そうやってバラバラな部隊を複雑な道を分けて進ませ、要所で合流して敵を迎え撃ったり、逆に要所に陣取る敵を挟み撃ちにしたりする。この部分はなかなか戦略性があって面白かった。挟み撃ちにすると挟撃ボーナスが付くため、数が少なくとも要所に陣取る敵大軍を打ち破ることも可能だ。これらの新システムによって、単純なパワーゲームではなく、どの経路を通ってどの部隊を進ませるかを計算して戦略を立てる必要性に迫られる。これは後半でも同じなので、今までのシリーズにありがちな後半の作業感も減らしている。

 そして今回の改正点ともいえる点は外交だ。今までの外交は相性と乱数支配で戦略に組み込むことはできなかった。しかし、今回は外交工作によって信用度を貯め、その信用度を消費することによって同盟や援軍を頼めたりするのだ。この外交はAI同士も行っているので、プレイヤーも戦略的に外交を行う必要がある。今までのように適当な外交戦略は許されなくなっている。

 あとは国人衆の取り扱い。国人衆は調略によって懐柔して、支持率を上げることができる。70%以上の支持率で援軍に駆けつけてくれる。また100%にすると完全に服従を誓い、国人によっては兵糧や金、鉄砲や軍馬などを献上してくれるようになる。さらに100%国人は取り込みができる。取り込むと国人たちが城下町に移住し、本城の人口が5000人増える。国人の頭目は武将として臣下に加わることもある。

 人口の話が出てきたので、ついでにこの話もしておこう。今作では人口の概念が導入された。人口は全ての内政値を決定する重要な要素で、人口を如何に効率よく増やしていくかが内政のキモになっている。人口は労働力というパラメータにも関係しており、内政はお金だけでなく労働力も消費して行う。兵士の数も同様だ。人口によって算出されるため、革新、天道のように何十万人の兵士が出現することはなくなった。それでも後半になるとかなりの兵数が出てくるが、かなり抑えめで現実に近い数字と言えよう。このことでより雰囲気が出た。

 武将ステータスも大幅な見直しがなされた。統率と武力は、天道では統率が部隊の強さ全体、武力は戦法威力に関係していた。創造では統率は部隊守備力、武力は部隊を率いての攻撃力、そして知力は包囲力、あと今まで通りの策略の才能として新たに定義づけられた。


 そんな前情報に踊らされていたのだろうか。信長の野望スレではかなりの期待をされていたようだ。私も期待していた。何せ創造のプロデューサーは小笠原氏だ。あの真三國無双の生みの親なのだ。さらに小笠原氏の任天堂社長との対談でかなりの信長の野望好きが判明。「コーエーに入社した理由は信長の野望シリーズを手掛けたいから」という発言には今までにない本気の姿勢が感じられた。対談の中でも歴史好きであることもアピールされていた。そして事件は起きた……スレに本人降臨……! 「なんでも好きな質問をどうぞ。答えられる限りで答えます」

 最初は疑っていたスレ住民だが、文体などから半信半疑ながらも質問するものが出てきた。しょうもない質問もあったが、それも含めてすべてに誠実に答える様子を見てスレ住民もだんだんと信じるようになってきたのだろう。皆まともな質問をするようになった。そして後日フェイスブックで質問と答えをまとめて再掲載する、と言い残して立ち去って行った……

 それから、宣言通りにフェイスブックに質問と答えが掲載されて、本人降臨がまごうことなき真実であることがはっきりした。それによって今まで一部で「おがくずP」(Pはプロデューサーの略)と呼ばれていたのだが、スレ降臨によって「おがP神!」と連呼する信者が増えた。一部では「まだ作品を実際に見てない以上、あまりこの段階で持ち上げるのはどうなのか?」と疑問を持つ冷静派もいた。

私はスレ降臨の現場にタイムリーで居合わせたわけではないが、その少し後にスレに来て事情を知った。最初は「粋なことをしよるな」と思ったが、やはりゲームの評価はゲームをするまで分からない。前評判だけでは何も判断できないという立場だった。

 とはいえ、実際に小笠原氏の熱意、気迫、そして30周年ということで期待が高まっていたのは確かだ。

 しかもこのスレ降臨は、ちょうど発売が当初の11月14日から12月12日に延期になって、スレの空気が冷め切っていたときに起こった。今までプロモーションビデオで社長シブサワコウがファンに向けてビデオレターを送り、そこで「11月14日、楽しみにしててね!」と言ったのもつかの間、すぐに発売延期となってそのビデオレターが削除されるという事態が発生したのだ。発売延期にも落胆したが、社長が前言をこっそり撤回して何の謝罪もないことにスレ住民の間では不満がたまっていたのだ。

 そんな空気をこの降臨は一変させた。

 とにかく、後はゲームを待つだけ……長い長い一か月を乗り切って、ついにその発売日はやってきた。


 結論から言うと、宣伝だけで中身の薄いゲームだった。内政は数値内政になっており、ただ単に城に奉行を設定してあとは農業か商業か兵舎のどのパラメータを上げるか決定するだけ。ハッキリ言っておもんない。箱庭信者ではないが、それこそシムシティみたいにして自分の望むような城下町を建てられるような、それくらいの気合いを入れた内政をして欲しいものだ。「道」は前作天道でもテーマの一つだったが、それは今作では天道よりも天道らしく表現されていた。天道みたいに自ら好きな位置に道を敷設することはできないが、最初から縦横無尽に街道が張り巡らされており、その道を眺めているだけで道路族のような愉悦に浸れる。

 ただし、である。道と内政値はほとんど関係がない。一応、拠点に接続する道の整備度を上げれば、人口増加速度がアップする。しかし、ここはもっと道を内政に関連付けて欲しかった。道を作ることによって物流が盛んになって商業の発展がしやすくなったり。またそろそろ水運も取り入れてもいいのではないだろうか。川は重要な要素なのにシリーズでほとんど触れられていない。治水もそうだが運河としても利用価値がある。川を灌漑することで農地を広げることができて、船着き場を作ることで物流が盛んになって商業も盛んになる、など工夫が欲しかった。道もただ単に拠点の周囲の道を広げるのではなく、道によって城と城を繋ぐことによって、城下町同士で物流、人の流れが盛んになって、という風にしたほうがいいと思う。現状ではあまりに味気なさすぎるし、この方がリアリティはあると思う。もっとちゃんとやれば分断された地方分権社会が徐々に統一されていく過程も表現できるだろう。地方領主から天下の主への移行は、創造が「リアル志向」と自称しているならやっぱりやって欲しかった。それを表現しているのは現状微妙な政策だけ……

 内政は戦略画面から見れば数値でいいかもしれないが、内政するときは内政用の城下町マップを表示して箱庭内政のようにさせて欲しい。「ゲーム性とリアリティの両立」と言っていたが、今回の区画割りは明らかにゲーム的でリアリティの欠片もない。縦割り行政のような無味乾燥さを感じた。

 さて、内政の話が先走ってしまったが、今作で誰もが述べる欠点を説明しておこう。それはUIのクソさをカメラ視点のクソさと操作性のクソさだ。このウンコピラミッドによってゲームの魅力が大幅に損なわれているのが残念で仕方ない。

 まずはUIのクソさ。必要な情報が必要な時に見れない。たとえば勢力がある程度大きくなって、武将をいろんな城に配置したいとき。呼寄せで無人の城に武将に移動させようとするときに、移動元の拠点には何人いるのか表示されない。今作の城の数は膨大だから、どこに誰が何人いるかなんてサヴァン症候群でもない限り覚えていられるわけがない。だいたいは城主一人だけ置いておけば、城としては大丈夫だ。特に支城はそうだ。だが、その支城の数が多すぎて分からなくなる。一人しかいない城から武将を動かしたら、当たり前のごとくそこが無人になってしまう。拠点名の横に武将数をちょろっと表示しておけばそれで事足りるのに。

 まず城主の任命の時に元の城主の名前を出して欲しい。それから武将の詳しいデータもいつでも見れるようにしておいてくれ。イチイチ城をクリックしてそこの武将を確認する作業は非常に煩わしい。

 カメラも非常に取り回しが悪い。ズームするとメチャクチャズームで、遠ざけるとすごい遠い。「この中間ぐらいで見たいんだよ!」と何度思ったことか。

 それに関連して操作性も悪い。思い通りにならないし、思わぬ動きをしてイライラする。まずカーソルの移動速度が遅い。最大にしても遅い。さらにカーソルを移動している間は時間が勝手に停止する。でも△ボタン一つで一時停止できるのだから、この機能は完全に邪魔なだけだ。さらに△で一時停止したとき、カーソルは地図上にとどまるのではなく、軍議コマンドが出てきてそこに移動することだ。△は時間を止めるだけでいい。それで見たいところを見て部隊に色々指示をだしてから再開するだろうし、援軍が必要ならそこで×ボタンを押して軍議コマンドを呼び出して同盟国に援軍を頼むだろう。どうしてボタン一つに一つの機能を割り当てれば、後はプレイヤーが勝手に自分の意思で操作する。イチイチ煩わしいワンクッションが多すぎる。

 この3つのクソによって非常にプレイしにくいゲームに仕上がっている。操作性のクソさと言えば、代表が「まとめて選択できない」だ。これはもはや致命的な欠陥と言ってもいい。これを修正せずして、発売延期までして一体何をしていたのだろうか。このゲームを信長にやらせたら、安土城の天守閣からコントローラーを投げ捨てることだろう。

 まず部隊をまとめて選択できない。今作は小兵力を分散させて進軍させるため、あまり多数の部隊をまとめて選びたいことは少ないが、それでも2,3の部隊をまとめて選択して一括して目標を指定したいときはしょっちゅうだ。

戦争だけでない、内政でもそうだ。調略では対象の国人勢力を一つ選んだら、またコマンド選択画面からやり直す。しかし取引では「続けて購入」があるから、ここらへんは本当に全く煮詰めてない。街道の整備も同じく一つ選んだらコマンド画面に戻る。2,3カ国くらいに領土を広げるとこの街道整備だけでも相当のクリック量になる。ネットの「腱鞘炎になりそうなくらいクリックした」という表現は少し言い過ぎかもしれないが、非常にめんどくさいことは確かだ。「委任にすればいい」のかもしれないが、なぜかCPUに委任させるとほとんど整備してくれない。開発は委任があるので面倒ならお任せできるが、なぜか街道整備はお任せできない。ここでもなぜか規格が不均一なのだ。全部をいきなり委任にはできないにしても、国を指定して「尾張の街道は全部4まで整備しといてね」という風にできれば十分なはずだ。この街道整備は非常にめんどくさく、私もこれでプレイを断念しようかと思ったくらいだ。

 30周年の記念作品が、30年で一番操作性が悪いのもどうなのだろうか。これをどうにかする気はあるのだろうか。ゲームの基本的な部分だろうに……以前は洋ゲーがこの辺が苦手だった。ところが和ゲーのいいところを吸収してユーザビリティの向上を果たした。和ゲーもまさか洋ゲーにそこを見習う日が来るとは……

内政関連に戻ると、城の改築ができないのも痛い要素だ。天道以前のような技術も廃止されたために、まこと味気ない仕様。内政面は街道にせよ経済にせよめんどくささが先行して楽しみがほとんどない。「城下町を作りこんであなただけの城下町を作れますよ!」というような濃い作りこみがあれば、めんどくさくても楽しめるのだが……

 あと委任だけでなく、そろそろ「計画書」みたいな感じでプレイヤーがある程度大まかな指示をだして、その計画の進行はAIに任せる、みたいなこともできないものだろうか。完全委任か全部自分でやるか、その二択もどうなのだろう。今作では創造性というパラメータが導入された。これによって取れる政策が変わったりする。創造性は内政施設でどれを建てるかによっても変化する。教会を建てれば創造性アップ、逆に寺社を建てれば創造性ダウンといった具合だ。そうやって創造性を調整して政策を取るのだが、委任すると勝手に寺社や教会を立ててしまうから、創造性の値が意図せず変化してしまう。防ぐ方法は簡単だが、それすら何ともできなかったのだろうか。

 次は野戦だ。ここも「分散した兵力の運用」まではよかったのだが、それだけで深みがあまりないシステムになっている。

 まずは目玉とされていた会戦だ。戦闘に介入してリアルな戦闘画面に移って直接指示を出せる、というシステム。最初はリアルなビジュアルに感心したが、最初だけでそれ以降は粗ばかり目立ってしまった。まず、会戦の途中で敵味方どちらかの援軍が到着すれば仕切り直しで最初から。挟撃して突撃しまくったり、一部隊が斉射で混乱させて一部隊が突撃、ということもできない。両軍はなぜか全員向かい合って礼をしてからぶつかり合う、礼儀正しいシステムだ。「はないちもんめ」と揶揄されるが、本当にその通りだ。挟撃して会戦するとゲージの貯まる速度が速くなるのだが、今回はそういう戦法乱打から脱却を目指していたのではないのか?  挟撃した効果が戦法連打できますとかどういうことよ……

 そして会戦の最大の欠点は自由に抜けられることだ。本来自由なのはいいことなのだが、それによって手軽なセーブ&ロードのような感じで会戦を行える。こっちが混乱したら、すぐに抜ければ何事もなく終わりだ。とりあえず最初は戦法連打しておいて、もし運悪く敵の斉射で混乱すれば、そのときは即抜ければいい。こっちが敵を混乱させて、敵の混乱が治ってもすぐに抜ければ無傷でダメージを与えられる。同じ場所での会戦は一回抜けたらそれっきりとするか、何か制限を設けるべきだろう。会戦自体の仕様も大幅な作り直しが必要だ。

 そして最後は外交。外交もポイント制になって非常に使いやすくなったのだが、なぜか前にできていたところができなくなっていた。前作では同盟を組んだときに、同盟の期間が残り3か月くらいになってくると期間の延長ができた。ところがなぜか今作ではそれはなくなっている。ちゃんと期限が切れるのを待って、切れてから使者を改めて送って同盟を結びなおす。問題はないかもしれないが、合戦に夢中になっているとついつい外交自体を忘れてしまうことがある。その点、何か月かの猶予がある前作までの仕様はうれしい。また、使者を送ってから向うにつくまでの間にタイムラグがある。この間に思いもしないトラブルが発生することが多々ある。今まで同盟で戦っていたのが、同盟切れた瞬間に敵同士になって互いに攻撃を始めたり。そして一回戦争になるとしばらく断絶状態になるためにその勢力に外交交渉できなくなる。しかし、戦争は外交の一部でもあるのだから、戦争中でも何らかの外交はあってもいいと思う。特に城主に対する切り崩しなどは入れてもいいはずだ。情勢が不利になれば寝返る武将も実際にはいただろう。忠誠度と絡ませて不利な度合に応じて確率が変動するようにすれば、外交と戦争の一体感も出る。

 今までのシリーズでもそうなのだが、「最後の一城」の価値が大きすぎると思う。特に大勢力を滅ぼすとき、その大勢力につかえていた大半の武将が最後の一城に集まることになる。この城を落とせれば大量の武将をゲットできるのでおいしいのだが、逆にそこで他勢力にハイエナされると悔しいを通り越してムカつきすら感じる。それに落として捕虜にした武将は、どうせみんな忠実な家臣になるのだ。武田信玄が謙信や信長を部下にすることだってできるのだ。だったら、勢力滅亡近くまで来たらある程度外交の余地があってもいいのではないだろうか。どうしてみんな滅亡まで必死に戦うのに滅亡した瞬間おとなしい犬に成り下がるのだろう。形勢判断が難しいとは思うが、大雑把な形勢判断なら何とか取り込めないか。肥AIでは無理か。

 あとは従属関係である。従属すると信用消費なしで援軍を出してくれるようになるのだが、援軍を出してくれる範囲が隣国までと非常に狭い。そのため、ある程度自勢力が大きくなると従属協定を破棄して攻め滅ぼした方が有利になる。そこら辺は、従属してからも外交工作ができるのだから国人衆の取り込みのように従属大名の取り込みがあってもいいのではないか。あまりに簡単すぎると面白くなくなるのでそこら辺はバランが大事だが、少なくとも従属国の周辺を全て自領にすると帰順させることが可能、みたいにして欲しい。内政がもっと濃ければ、経済的な支配などでもそういう方向へ持っていけたら面白そうだ。あとは官位もつけたい。「官位をあげるからうちに帰順しなよ」ていう外交もありだと思うのだが。今作では官位は大幅に簡素化された。たまにイベントで官位を手に入れるくらいだ。天道ですら「官位を部下に与える」ことができたのだから、今作でも継承すればいいのに。せっかくいいところがあるのに継承されないというのもこの会社の伝統芸となりつつある。外交的な大名征服もそろそろ作るべきだ。

 あと、プレイヤー側に従属プレイがない。後述になるが、勢力の拡大速度がかなり早いために小勢力はなすすべもなく飲み込まれてしまう。従属でうまく生き延びて、という手法が使えないは寂しいし、是非とも実施して欲しい。アップデートで対応すると言っているが、小手先の対応ではなくしっかりとエンディングにも従属エンディングを入れるくらいの力の入った対応にしてもらいたいものだ。

 そして城攻め。あっさりした城攻めでほとんどプレイヤーに工夫の余地なし。基本的なルールとしては「耐久+城兵士数」より多い兵士で包囲すれば、士気ゲージが減っていく。士気をゼロにすれば勝ち。包囲中はどちらも全くノーダメージ。他に城攻めの方法もあって、強攻は無理矢理城を力攻めにするというもの。こちらに犠牲は出るが、拠点の耐久を減らすし士気ゲージの減少量も少し早い。籠城側の兵力が多いほど、こちらの犠牲も多くなる。もう一つが焼き討ち。これは城を攻めるのではなく、城下町を攻めるというもの。城下町を略奪して内政値を下げる。さらに兵糧も回復できる。そうそう、兵糧で思い出したのだが、今回の腰兵糧システムは気に入っている。「兵力を分散させたら信長上洛の勢いはどうやって表現するんだ?」と発売前に心配されていたのだが、このシステムによってけっこう再現されていた。これは自城か、あるいは同盟国の城に接触すると手持ちの兵糧が補給されるというもの。つまり城を落として(この時点で自勢力の城になったので)兵糧を補給、次の城へ、というシステムだ。

 ただし、焼き討ちもほとんど使わない。だいたい使うまでもなく短期間に陥落するからだ。また、占領後に無傷で城を手に入れたいという心理も大きい。強攻もそこまで使わない。城に籠るのは野戦で勝敗がついてから、なのでほとんどは消化試合だからだ。

 今作、城に籠るメリットはほとんどないと言ってもいい。というか何もない。包囲されなくても城下町は荒らされるからだ。城自体の防御効果も薄い。城に会戦とかもあれば面白いが、城自体が個性のない数値の書いた箱でしかなくなっている。城はただの時間稼ぎのものでしかない。城に籠って期待することと言えば援軍が来ることくらいだ。リアルかもしれない。実際リアルだと思うが、籠城は有効な防衛手段でもあることも確か。籠城の脆弱な面だけ強調しすぎだと思う。士気が下がるのは何も籠城側だけではあるまい。むしろ外で野宿しながら包囲している側だって士気は下がったりするはずだ。

 防御側の不利に加えて、兵士の回復速度の速さも問題だと思う。天道では消えた兵士は半分が死に、半分が負傷するという設定だった。今回から兵士は戦場で散っただけで、時間がたつと徐々に逃げ戻ってくる、という設定になっている。そのため、外征に失敗してどれだけの兵士が溶けようが出撃元拠点の人口には何の影響もない。

 以上のことを総合すると、攻め手がかなり有利になる。しかも今作、城は無傷で手に入れられる。結果、勢力の拡大速度が異常なまでに早い。全ての勢力がとてつもない勢いで大きくなっていく。勢力拡大を止めるものは何もない。外征で国が疲弊することくらいはやって欲しかった。せめて戦場で溶けた兵士の内の何割かは戦死扱いにして人口から引くべきだろう。その時に常備兵の分は人口から引かれない、という風にすれば、常備兵と領民兵の差も出せたと思う。

 この勢力拡大スピード早すぎというデメリットのせいで、ゆっくり内政がますます浮いている。「一気に建物を立ててオシマイ、ではなく、少しずつ時間をかけて発展していく」風にしたのはリアリティがあるが、そのせいで内政がますます適当におざなりになる。ここらへんのバランスは明らかに調整不足。内政も天道のように武将を集めて3か月で施設作って終わりの内政に比べれば確かにリアルだが、全くブーストする方法がないといきなり極端な方向に。中間の程よいバランスで調整とかできなかったのか。

 あとは政策か。けっこうメリット、デメリットがあって、ただでさえ微妙なのに月々の費用もバカにならない。デメリットに毎月払う費用は含まれていないのだろうか。関所撤廃なんて使う人いるのか……

 個人的な不満も一つ。これは創造だけでなく、シリーズ全体に言えることだが、本願寺が弱い! 信長最大のライバルだったにも関わらず、作中ではあっさりとやられる。もっと強く設定して欲しい。利権を張り巡らせて民間の経済から搾り取った潤沢な資金、信仰で集めた一揆軍など、いくらでも本願寺独自の強さは演出できると思う。たとえば、自分の城周辺では一揆軍を呼ぶことができる。そのため、本願寺家は籠城してあとは一揆軍を召喚し続けるだけで勝てる、とか。そのかわり一揆軍は進攻には使えないようにしておく。あくまで自領でしか使えない。そうすれば本願寺が勢力を広げまくってリアリティを欠くこともないだろう。あとは全国の寺社勢力はすべて本願寺に服属状態、とかも入れて欲しい。

 政策に関所撤廃はあるのに関所設置はないのもおかしい。関所設置で金銭収入が爆上げ、位にして欲しい。もちろん市、座も政策である。それに対抗する形で創造系政策の楽市楽座や関所撤廃があればよかったのだが……何にせよ、本願寺の強さは民間の力を取り入れたところにあり、武士の世界を表現した信長シリーズでは表現しづらいとは思う。しかし何らかの形でゲームに取り入れて「手を出しづらい難攻不落の勢力」くらいの味付けはしてくれないものか。もうバニラ味のアイスばかりに飽きた。せめてチョコとか抹茶くらいは入れとけや。

 細かいことだが、家宝については今回の仕様が気に入っている。前作までは家宝で能力が上がったり特技を身に着けたりした。一級の武将が一級品の家宝を所持して能力がすごいことになっていたりしていたが、今回の能力は経験値を積んで上昇するようになっており説得力が増した。最大で20上昇するので、70程度の中堅クラスでも90の一流武将になれるポテンシャルを秘めている。とはいえ、90程度の武将は110という超一流になっちゃうんだけど。特性も面白くていい。ただし特性を管理しやすいUIでないので、うどんに入れる七味唐辛子程度でしかないが。それでも一部のチート特性は別だが。

 家宝の話に戻すと、家宝は贈り物という利用方法だけに限定された。部下の忠誠を上げる場合と、外交に使う場合だ。外交が重要なので、贈り物のみとしての家宝の位置づけは勇気ある英断だったと思う。

 忠誠システムもなかなかいい具合になってきている。武将の引き抜きはなくなった。全くないのはどうかと思うが、天道のようなクソ仕様ならもうないほうがいい。忠誠はもっと大雑把な感じになった。ここに関しては、シンプルにして正解だったと思う。城主に任命すると忠誠が大きく上昇するため城主任命はなかなか迷う。そういう意味でも支城を立てまくることは一定のメリットがある。忠誠が水準より高いと、本来以上の実力を発揮することもある。

 最後にクソ要素として自動委任が挙げられる。創造では本拠地の一定範囲が直轄地としてプレイヤーが直接操作できるエリアになっている。直轄地を超えると自動的に委任になるのだが、委任軍団にはかなり大雑把な方針しか出せない。しかも委任軍団の収支や物資の量を見れない上に物資のやり取りもできない。これの何が致命的かというと、委任軍団に攻略目標を設定しても軍を出してくれないことがあるのだ。どうやら兵士数に対して兵糧が倍以上ないと出撃しないという条件があるらしい。私も一回この現象が発生した。でもこちらの兵糧は余っているのだから、当然それを融通し合えば何の問題もない。なぜそんなことができないのだろう。兵士だけでなく物資の輸送も禁じてしまったのか。何らかの手数料(輸送コスト的な感じで)を課すことで、いい感じにやり取りできるようになると思うのだが。あと委任軍団の軍団長を設定することもできない。誰にどことどこを委任して、お前はここを攻めろ、みたいなこともできない。大名の不自由さだけを再現したクソシステムだ。発売前にこの仕様が発表された時に「当時は携帯なんてなかったんだからリアルになっていいよね!」みたいな意見が出ていて、懐疑派とずいぶん割れた。あの肥AIで強制的に委任しなければならないというので、不安を抱くファンも多かったのだ。AI以前に方針すら大雑把で物資のやり取りもできないという手抜きを誰が想定していただろうか。

 そしてこれが最大のクソ要素、どうせPK出るんでしょ?

 もうこれ、ホントにやめて欲しい。このPK商法のせいで通常版がどんどん「βテスト化」している。さらにアップデートで対応とか、製品で仕上げる気がなさすぎるぞ。30周年で培ったことがこんなしょうもないPK商法とかちょっとどうかと思う。三國無双の猛将伝もそうだが、こういうしょうもない完全版商法ばかりでプレイヤーを置いてけぼりにするのがコーエーなのか? これが本当に全てのユーザーのためを思ってやっていることなのか? 一回天下統一したので、もうめんどくさくなって売った。そっちがPK出すなら、こっちもそういう対処を取らせてもらう。

結果、おがPは結局のところ私にとってはおがくずPだった。基本的な操作性がダメな時点でダメ。日本のゲーム業界はどうしてこんな進歩性のない業界になってしまったのか。嘆いても嘆ききれない。そうそう、2月発売のPS4と同時にPS4版の創造も発売されるらしい。商法ではなくて、いい加減ゲームの中身をちゃんと創造してくれ。

 今回は一つのことを学んだ。それはスレの前情報に踊らされてはいけないということである。それとコーエーの宣伝だけは何も信じてはいけないということも。コーエー作品はアマゾンか何かで評価を見てから買うのが無難だということだ。


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