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『FF14新生エオルゼア』:(ゲーム)

 ある日のことだった。友人が突然FF14を勧めてきたのだ。FF14はクソゲーで名高いゲームだよ、と教えてあげたところ、「何年も時間かけて新生したから」と言うではないか。そしてネットなどの前評判も上々だそうなので、俺たち二人はついにエオルゼアの世界へと足を踏み入れることにしたのだ。それがクソゲーへの道だと知らずに……

 

 そうと決まれば一刻も早く買わねばならない。何しろ、最初の一か月は無料でプレイできるのだ。これも購入を決めた理由の一つだった。

 購入を決めた理由には色々ある。一つに値段が安いこと。一つに先に挙げた一か月無料ということ。しかし、無料期間を過ぎると月額課金となる。だが、それ以前に一か月もあればだいたい遊べるだろうし、俺ら飽きっぽい人間が一か月持てばよし、持たなくても値段も安いし大した損害もないじゃん、というセールストークに結果から言えば騙された。コイツは昔からある種の口のうまさというのがあり、こういうどっかから仕入れたセールストークが異常に得意なのだ。是非とも車の販売業者か住宅販売業者にでもなればいいと思う。

 とにかく、購入すると決めたからにはサッサと購入しなければならない。仕事帰りの疲れた体に鞭打ちながら、帰宅途中、家の近所のゲームショップに立ち寄る。あった。

 あったのだが、そこにはまるでご主人様が帰ってくるの待っている忠犬のように、たった一つの『FF14新生エオルゼア』が寂しそうな上目づかいでこっちを見ているではないか。

 これは奇跡だ、神様が残しておいてくれたに違いない――

 そう考えて、その一つだけ残ったFF14を手に取った。

 まさか神が残したものがビッチビチのクソだとも知らずに――


 それから早速起動、スカイプも起動して友人と連携。最初は海外サバに練習で捨てキャラ作って予行演習的なことをした。確か日本サバがまだ解禁前だったとかそんな話だったような気がする。すでに記憶が曖昧になってきているが、それほどエオルゼアの冒険は味気ないものだった。

 まあ、最初はこんなものか、と思いながら適当にウルダハの町中を二人でジャンプしながら走り回って終了。

 明日は日本サバで本キャラ作って本格エオルゼアライフ開始だぜ!

 互いにそんなことを言い合いながら明日の仕事に備えて適当に切り上げて就寝した。それがとてつもなく短いものなるとは知らずに――


 次の日、期待に胸を膨らませながら帰宅してすぐにPS3を起動、早速エオルゼアにログインしようとするのだが……

 あれ、おかしいな……いくら試してもログインできないぞ……これはどうなってるんだ? まさか自分の持ってるPS3がおかしいのか?

 そんなことを考えていたが、ログインできないのは友人も同じだった。

 そう、通称「ロ=グイン戦争」の開幕である。この戦争は瞬く間に復興しつつあるエオルゼア全土に飛び火し、全ユーザーを阿鼻叫喚の渦に叩き落とした。中には外人が自動で丸ボタン連打装置を、ありあわせの材料で作ったりもしたが、それでも全くログインできないものはできないのだ。一瞬にして焦土と化したエオルゼア。人はただスクエニを罵りながら同時に神に祈るしかなかった。

 そんな絶望的な戦争だった。当然ながら、私のようないちユーザーが頑張ったところで到底ログインできるわけもなく、楽しみ絶好調のままお預けされることになった。幸いなのは、その数日後に大規模サバ強化が行われることくらいだろう。これによって全サバの収容人数は倍以上になり、実際このサバ強化によって「ロ=グイン戦争」は一応の終結を見る。

 そしてようやく、私たちの短いエオルゼアライフが始まった。確かミコッテとかいう、なんか小さい種族を選んだ。初期職業は魔法使い。

 俺の絶大なダークパワーで全世界を灰にしてやるぜ!

 そうやって意気込んで全裸になり、友人と二人で樽や机の上でジャンプしまくったりした。一通りジャンプしたので、とりあえず初期クエストをこなしていった。初期クエストは町の中で人の話を聞いていく、というだけのもの。まあ、それはいい。最初に色々説明しとかなきゃいけないものっていうのはどこでもあるから。

 でもその説明がなげーーよ! またか、また話を聞きに行くのか? 行政地区? それどこ? みたいな感じ。無駄に広い町の中を行ったり来たりさせられる。最初は「いやー、大きくていい町だなあ。それにグラもきれいだし」みたいなことを言って余裕ブッコいていたが、それもしばらくするともはや耐え切れなくなってきた。同じ場所をあっちへ行って、こっちへ行って……町の中も普通の店とか普通のNPCとかで、これと言って目新しいものは、今思い返すとなかった。ただ、このときは「まだ冒険も始まったところだし、これから広大な世界に出れば面白いゲームになるさ!」と楽観視していた。外に出て戦闘をこなす。これは本当に戦闘をこなすという言い方がピッタリで、何か楽しめる要素とか何もない。ただ敵という的をロックオンしてひたすらボタン連打。まあ、二人でやっていると「おいおい、体力減りすぎ! 早くコッチ逃げろ!」とか「お前まだ全裸なのかよ!」とか「あいつ二人でぼこってやれ!」みたいな感じで少しは楽しめたのだが……基本的にボタン連打であり、その内二人とも無言になっていった。

 しかし、それ以上にクエストが致命的だった。どれもこれも本当にお使いレベルで、それも推奨レベルとか書いてあるから本当にレールに沿ってずっとクエストこなしていく感じ。クエ内容は変わらず、ただ推奨レベルだけが変わっていく。

 とにかく最初はクエをこなしていたが、その内飽きるようにして、というかやっぱり飽きてきたのと疲れてきたのとで、その晩は適当に切り上げることに。

そしてそれが最後のエオルゼアとなった。さようなら、エオルゼア。ホント、時間と金返せ、クソが。


 何がいけなかったのか、もはやお分かりであろう。まず最初の「ロ=グイン戦争」を引き起こしたことだ。友人は「β版の何倍もの人間が~~うんぬんかんぬん~~だからサバに急速な負荷がかかりマナ不足に陥り世界が崩壊した」みたいなこと言っていたが、んなもん金取ってて寝言ほざいてんじゃねえぞ、と言いたい。だいたい、ログイン数が多いのはソフトの販売本数からある程度分かっていたはずだ。そこら辺のブラウザゲーじゃあるまいし、しょうもないラノベみたいな言い訳はやめてくれ。

 そしてゲーム性。実をいうとかつて同じ友人に勧められて『チョコットランド(以下チョコラン)』をやっていた時期があったのだが、このチョコランもたいがいのクソゲーだと思った。特に運営の金取りたい商業魂丸出しの姿勢とか。江戸時代、士農工商と言われ、商人の身分が一番低いとされていた理由が良くわかる。自分が武士なら切り捨て御免した後灯油かけて燃やしていただろう。

しかし、まさか金取ってやるいわゆる「ちゃんとしたゲーム」であるはずの、しかも国民的タイトルであるはずのFF14がネットで無料のチョコランと同じか、むしろそれ以下のゲーム性しかないというのは驚いた。チョコランはとにかくシンプルだ。グラも2Dだ。しかし、それゆえ見やすかったし、独特の雰囲気も出ていた。FF14はそれすらなかった。グラも他のハイレベルなネットゲーならこれくらいはあるだろう。もちろん、FF14のグラは綺麗だ。というか小奇麗だ。綺麗だが、そこに存在感というのが全く感じられない。3Dなのに、2Dイラストより存在感ない。

 確かにグラはリアルかもしれない。いや、リアルだった。しかし、それは見た目だけで「存在感」というのは全くの希薄。ケチなオバハンが作るカルピスより希薄で味がない。敵だってそこらへんに適当に配置しただけ。チョコランですら「草を刈ったら敵が出てくる」みたいなギミックがあるのに、FF14にはそれすらない。そもそも、雑魚の存在意義すらも希薄。ただクエストで狩られるために存在しているとしか思えない。ウルダハの外は荒野が広がっていたが、あれはまさに荒野というに相応しい。もはや虚しさすらあの場所から逃げ出してしまった。鳥取砂丘が厚化粧したような世界観だった。

 友人はこの後もしばらくFF14をプレイしたらしいが、その談によれば「後半はかなりのシビアな戦略や役割分担が要請される」ということらしい。ただ、それもネット各所の批評を見てみると「レールに沿った攻略しか要らない感じ」とか「ちょっとでもミスしたらすぐに死ぬ」とか「シビアすぎて予習前提の難易度になっている」など。一番よく言われているのが「効率厨がはびこりギスギスした雰囲気になることが多い」というもの。ここまでくればもはや「ネットゲー」ではなく「ブラック企業シミュレーション・オンライン・ゲーム」とパッケージに書いておいたほうがいいくらいだ。ある意味斬新な設定で厚生労働省も推奨してくれるはず。まあ、自分ではそこまでやってないんだけども。しかし、序盤の戦闘もダルいだけであまり楽しくなかった。友人は「そこは序盤だから」という擁護をするが、オンゲ―でない『スカイリム』はしょっぱなから面白かったぞ(ただしフリーズ、お前だけは許さねえ)。序盤から面白くしようと思えばいくらでもできるし、何にしてもストーリー的にも盛り上げにかける展開だったことは間違いない。

 またワープにいちいち金がかかるため、手軽に使えないという点も気になった。いや、もうそこら辺は素直にワープさせろや……

 このFF14、全体的に何か使いにくい、遊びにくい仕組みになっており、プレイするほど不便さが際立ってくる。オンゲーと言えばとにかくマッチング、パーティーだが、このパーティーが気軽に組めない。さらにチャット欄も狭くて、ちょっと長いメッセージを送っただけですぐに流れてしまう。それこそ「おはよう^^」って挨拶するだけでけっこう流れる。

 後、クエストでチュートリアルのボス戦みたいなのがあったのだが、そこは何とパーティー禁止……そんなMMORPG聞いたことない。しかもまた解散した後のパーティーが再結成しにくいことこの上ない。基本的なインターフェイスが使いづらい、というクソゲーにありがちな典型的パターンを示していた。地図を見るのも一苦労、アイテムの整理もめんどくさい、PT組むのもやりづらい。一体この世界観で何をしろというのだろうか。

 そしてオンラインゲーム最大の欠点。

 「オンライン専用なので買取できません」

 なので一昨日くらいにゴミ箱に捨てた。無料期間ももう終わってるだろうし、終わってなくてももう残り少なくてすぐに終わるし、それ以前に『FF14新生エオルゼア』自体が終わってたし。新生と同時に流産とか中々の芸当だ。

これを課金して遊ぶとか到底できそうにないので捨てるが唯一解。少なくとも自分にとっては。

 自分としては『スカイリム』がオンラインゲームの理想に一番近いと思う。自分の行動次第でなんでもできるし、何をやってもいい。自分の行動がゲームの世界に反映される。『スカイリム』はオンライではないが、オンラインになって欲しいと思うほどの選択肢の多い、いいゲームだと思う(ただしフリーズ、お前だけは絶対許さねえ)。

 ふらっと酒場に入ってチャットしたら気が合ってそのまま冒険へ――そんなのがオンラインゲームの醍醐味だと思うのだが、そういうオンラインゲームはいつになったらできるのだろう。別に効率プレイは全く批判しない。それは当然アリだ。ただ、効率プレイしかできないならそれは問題のあるゲームと言わざるを得ない。ときにはマッタリ、ときにはガチで、助け合いながらプレイできる。そして苦戦しているところをたまたま通りがかったベテランプレイヤーが颯爽と助けてくれたりする。そうやってドラマとかがプレイヤーの中で自然と生まれてゆくのがオンラインゲームの真の在り様だと思うのだが、どうだろうか。

 それと思うのが、FFやドラクエみたいな大規模ナンバリングタイトルはもはや冒険心を失って守りに入ってしまったのではないだろうか。守りの姿勢で冒険など提供できるはずがない。

 これはオンラインに限った話ではないが、ゲームに求めているのは探求していく楽しさだろう。子供の時、近所の裏山に行った時のような感じだ。入ったことのない森の中へ、ドキドキしながら足を踏み入れていった。そしてそこは元々池で、それを埋め立てた土地だったらしく、足を踏み入れた瞬間にくるぶしまで足が完全に埋まってしまった。焦って抜こうとするが、さらに地面に足がのめり込んでいく。子供なので、そのときは「ここは底なし沼みたいになっていて徐々に地面にのめり込んでいって窒息死する」と思い込んでさらに焦ってしまう。それを見た田舎の友達は俺を救出しようともせずに一目散に逃げ出した。一瞬だけ友情にヒビが入ったが、幸い自力でなんとか脱出できたのでヒビだけですんだ。

 まあ、これは微妙な例だが、「え、ここにこんなのあったの?」、「このクエストなんだよww」とか、そういう驚きや発見が欲しいということだ。それはオンオフ問わず、ゲームの根幹、いや、ひょっとしたら創作全般の根幹なのかもしれない。

 その根幹ができたゲームというのがたくさん世に出てきてくれることを、そっと期待して待つしかなさそうだ。


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