表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/125

ファイアーエムブレム・紋章のビラク:ニコニコ動画

ニコニコ動画で見て、これはちょっと書いておこうと思って衝動的に書いてしまった。

 ファイアーエムブレム・紋章の謎。筆者も小学生の時にハマったスーファミの名作SRPGゲームである。初プレイ当時、小学2年生だった筆者は、ひたすらオグマとドーガを鍛えることに専念した。そして、第一部は18章くらいで完全に詰んだ。もうどうやってもクリアできない状態になった。今までつぎ込んだ時間が全部無駄になるという、これからの人生で最も多く発生する悲劇を、ゲームの分際で厳しく教えてくれたことに感謝する間もなく、筆者は第二部へ進んだ。今度は比較的、平均的に育てたつもりだった。つもりだったのだが、これも13章でどうしても運ゲー展開になって、諦めた。氷竜の攻撃2回中(命中率7割ほど)、一回は絶対避けなければならないとか、そんな状況だったと思うが、何回試しても2回とも命中し、「このゲームバグってんじゃねえのか?!」とまで疑った。また、この頃になるとそろそろ飽き始めたので、以降FEは封印され、長い眠りについたのだった……

 それから十数年の歳月が流れた。あの名作『紋章の謎』が、ついにDSでリメイクされ、筆者もDS版を購入、見事長年の悲願、全クリを果たしたのだった……

 しかし、である。ここに、もう一つのリメイクが存在した。誰にも知られることなく、歴史の闇の中へ埋もれていった真実が……

 その名も……

 『ファイアーエムブレム・紋章のビラク』

 もうFEファンの方にはこの時点で分かって頂けるだろう。

 ビラク。れっきとしたオルレアン騎士なのに、あまりの成長率の悪さに大陸一(笑)からも嘲笑される存在。騎士のはずなのに、速攻で2軍に送られベンチを温め続ける存在。騎士のはずなのに、輸送隊から溢れたアイテムを預かるだけの、もはや輸送隊のパシリ的な存在。

 そして何より(SF版の)顔グラが、運命のイタズラなのか(だとしたら運命は本当に残酷なイタズラをしたものだ)阿部高知に酷似した存在。

 選ばれなかった者たちのエース中のエース。その成長率はリメイクされても全く改善されない。

 彼の名は、ビラク。騎士勲章から最も遠い存在。

 そんな彼を主人公にしたらどうなるのか、という誰も考えてもないし望んでもいなかった物語が、今始まろうとしていた……


 これはSF版紋章の謎を改造したものである。だが元々、FEのいわゆる「二軍キャラ」、つまり、ビラクのように成長率が悪いような、二軍常連のキャラだけを使ってプレイする、通称「イラナイツ」と呼ばれる縛りプレイがある。おそらく、この『紋章のビラク』はそういった美しい伝統から影響を受けて作られたのだろうと推測する。まるで成長しない自軍をよそに、章が進むに連れて強くなっていく敵軍……そんな絶望的戦況でも勇敢に立ち向かっていく様は、むしろ一軍最強キャラが敵をなぎ倒していくより、ある意味訴えかけてくるものがある。そう、人生において、敵がいつも弱いわけではない。こちらが絶対的に強いわけでもない。それでも、立ち向かっていかなければならない時がある。そんなとき、人々が心に思い浮かべるのは、敵軍を一人でなぎ倒す絶対的戦闘力を誇るオグマ隊長の姿だろうか。それとも敵の攻撃を通路で防いで、鉄壁と化したドーガの姿だろうか。

 僕は違うと思う。

皆が思い浮かべるのは、弱キャラが寄ってたかって手槍を投げつけ、残りHP1まで減らした敵を横からハイエナしていく、まさに経験値泥棒と化したリカードの姿ではないのか。

 ごめん、違うよね。やっぱりオグマかっこいいよね。ナバール素敵だよね。

 とはいえ、弱いということで判官贔屓してしまうのは日本人のさがだから仕方ない。弱いくせになんとなく憎めない、そんな魅力を兼ね備えたイラナイツ軍団。イラナイツよ、永遠なれ。


 本作『紋章のビラク』は、全員がイラナイツというわけではない。お助け的な強キャラもたまに仲間になる。しかし、それも自軍全体の弱さを完全にカバーするほど強くはない。ちゃんと自力で戦略を立てて戦わないと、イラナイツたちはどんどん天へ召されてゆく。まあ、いらないから別にいいんだけど。それでも、共に戦った仲間が消えてゆくのは寂しい。敵軍の強さも『紋章の謎』より引き上げられている(ステージによってはより簡単になっている場合もあるが)ことも、プレイヤーに緻密な戦略を迫っている要因だ。

 また、本作ではストーリー上だけでなく、民家の会話など細かいところに張り巡らされたネタも秀逸だ。中には同人的なネタもあるし、マニアックなネタもちらほら出てくる。それらがネタでしかない本編と奇妙な一体化。あなたの腹筋は痙攣の激戦地区と化すだろう。


 そういえば、まだ本編の内容に触れてなかった。

 名前の通り、ビラクが主人公である。制作は、二部→一部という風に作られた。両方とも笑いと感動をもたらしてくれる傑作であることは間違いない。

 二部では、ハーディンとさも当然のように結ばれたビラクが、シーダが死んだ事によってニーナと結婚してアカネイア皇帝となった中二病マルスにグルニアの反乱鎮圧を命じられたところからスタートする。うまいこと原作を組み込んでおり、それに作者独特の笑いのセンス、文才が絡んで相当の出来になっている。

 また、今作は途中まで制作→アップ→続きを制作→アップ→……という風になっておりプレイ動画の投稿も別々の人間でリレー形式で行われているのも興味深い。みんなで協力してエンディングを迎えたようで、見ているこっちもなぜか達成感がある。

 二部の評判が良かったからなのか、それに引き続いて一部が制作された。帳尻合わせの超展開か、二部完全無視か――そう思っていたが、全くの杞憂だった。一部も、二部と同じく面白く、ハーディンとビラクがどうやって結ばれたのかも描かれている。不覚にもちょっと感動した。ニーナの糞ビッチぶりも、むしろ清々しくすらある。

 もし『紋章の謎』が好きで、ビラクのことが気になるというノンケの君。そんな君には是非ともこの動画を見て欲しい。

 君の中のビラクルソードが目覚めるはずだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ