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『戦場のヴァルキュリア』:ゲーム

 何年か前に買って、途中まで進めて積んでいたゲームだったが、つい最近やり始めてようやく全クリしたので、少しレビューしたいと思う。

 最近のゲームで戦争ものと言えばCODやらバトルフィールドやら、とにかくリアルでZ指定なゲームが多いが、その中にあってあえてアニメのようなタッチで描かれたキャラゲー戦略ゲームなのが特徴的。リアルな3Dキャラではなく、(3Dだが)水彩風の絵柄で描かれたキャラクターや風景が戦争なのにあまり殺伐とした雰囲気を感じさせずにむしろジブリの『紅の豚』のような雰囲気に仕上がっている。もちろん、それゆえ戦争のリアリティの追求はできていないが、別に全ての戦争モノが『プライベート・ライアン』を目指す必要もないだろうし、こういう作品もあり、というかもっと「和ゲー」としてこうしたゲームを押し出してゆくべきだろう。どうせ「ガチリアルな戦争モノ」を作らせたら欧米人に平和ボケした日本人が勝てるわけない。だったら独自の路線で勝負を仕掛ける方がよほど効果的だと思うが、どうだろうか。要するに、和ゲーはFF路線ではなくDQ路線で行った方がいいということだ。まあ、FFは最新映像を売りにしたゲームなのであれでいいと思うし、DQも最近は没落著しいが、ここらへんで和ゲーの底力というのを見せて欲しいものだ。

 話がずれたので戦場のヴァルキュリアに戻ると、舞台は架空のヨーロッパ大陸で、ラグナイトという架空のエネルギー資源を用いた文明が発達している、という設定だ。ストーリーはもはや鉄板中の鉄板、「小国(ガリア公国という、主人公たちが暮らす国)に帝国(ロシアがモデルと思われる)が攻めてくる」というシチュエーション。主人公のウェルキン・ギュンターはそこで義勇軍として第七小隊を率いて帝国軍と戦ってゆくこととなる。ガリア公国は牧歌的でいかにも日本人が憧れるヨーロッパのイメージに近い。もはや「守るしかないだろ!」と言わんばかりの設定だ。

 ところで、このゲームはセガが作ったのだが実は制作チームはあの『サクラ大戦』と同じ。ゲームシステムも基本的には踏襲している?らしいがサクラ大戦をやったことがないのでそこらへんはよく分からないが、独特なゲームシステムをしている。よくあるターン制戦略シュミレーションゲームにシューティングゲームを足したような感じだ。と言ってもわかりづらいだろうから、実際にプレイしてみるか、プレイ動画を見ることをお勧めする。シューティングゲームっぽい要素はあるが、別にシューティングスキルが求められるわけではない。また、キャラクターもサクラ大戦みたく、アニメっぽいキャラクターではある。最初は「こんなやついねえよww」と思っていたが、実際にやりこんでいくと何やら奇妙な連帯感が生まれてきた。不思議。

キャラにはそれぞれポテンシャルというある条件下の元で一定確率で覚醒する能力がある。ポテンシャルが発動すると攻撃力や防御力が上がったりするのだが、いいことだけではない。花粉症なんかは、花のある場所にいくと一定の確率で発動、HPが少し減少するというマイナスのポテンシャルだ。もっとひどいのは博愛主義。攻撃の時に一定確率でためらってしまい、敵を撃てない、というものだ。このポテを持つキャラは速攻で容赦なく二軍送りとなる。だが、よく考えて欲しい。人間たるもの、同じ人間を撃ちたくないという気持ちは当然持っているものではなかろうか。本来長所である博愛主義だが、戦争のためのコマとしてキャラを見るととんでもない短所にしか考えられなくなる。こういったさりげない方法で戦争の現実を訴えかけるというところ、なかなか味があっていいと思う。これはスタッフも完全に計算して入れているだろう。それでも……それでもキャラ萌えに忠実に生きたいプレイヤーはあえて博愛主義の道を行くだろう。でも、それこそまことのキャラ愛ではなかろうか? 僕たちはこのクソ以下の日常で人を大切にするということを忘れてしまった。他人を「自分の都合」や「自分にとっての利益」でしか判断しなくなってしまった。そんな日常にこのゲームである。肝心な場面で博愛主義が発動して戦況がひっくり返り、ロードしてやり直しになったとしても……それでも、俺は好きなキャラと戦場で戦うんじゃい!

 そんな猛者が、きっとこの日本にはいるに違いない。ちなみに私は使えるやつだけを選りすぐって使ってた。だいたい戦闘で容赦なく敵を攻撃できる人間は「帝国嫌い」とかいうポテンシャル持ちが多い。彼らを突撃させると「帝国のやろう、ぶっ殺してやるっす!」とか「帝国軍、覚悟しな!」とか勇ましいこと言って攻撃力アップ(多分銃弾に闘気が注入されることによって攻撃力がアップすると思われる)、いたいけな妹が帰りを待っているかもしれない帝国兵の頭を見事に打ち抜くのだ。ジェーンというキャラはさらにサディストのポテも持っているので、「うひょ~人を傷つけるのって気持ちいい~!!」みたいなことを言って攻撃力アップ、貞淑な妻と健気で可愛い子供(上の子が来年小学校に入学するんだ)がいるであろう帝国兵士を打ち倒す様は見ていて帝国軍に同情してしまうくらいだ。

 だがしかし、である。一番犠牲を少なくするにはこの戦争を一刻も早く終わらせることである。そのためには多少の未亡人が生産されたとしても仕方ない話だ。それに我々にはガリア公国という守るべきものがある。自らの守るべきものを守るためには、博愛主義はむしろ邪魔なのだ。だから我が小隊に必要なのは、気合で突撃していくやつだ! 闘魂注入して突撃しろ! 気合だ! 気合だ! 気合だ! 打倒帝国、ガリア万歳!――

 こう考えてみると、ゲームの割には戦争の葛藤を再現していると言える。先ほど「戦争のリアリティーは追求できていない」と言ったが、すまん、ありゃ嘘だった。こういう部分ではしっかり追求できている。むしろ下手な撃ち合い戦争ゲーより追求出来てるかもしれんぞ。キャラクターも後半になるとどんどん過去や思惑が明らかにされ、帝国も悪者ばかりでもないし、ガリア公国にだって悪者もいる。ちゃんとそれぞれの都合がある人物としても描かれてあって、奥が深いゲームと言える。

 また、ゲーム中にはダルクス人という被差別階級まで用意されている。これは現実のユダヤ人のようなものだと思ってくれればいい。ユダヤ人と違ってダルクス人は鉄鋼業、機械工業などの分野を中心に活躍しているという設定。主人公の妹・イサラもこのダルクス人。ちなみに主人公とイサラには血のつながりはない。義理の妹のようなものだと思ってくれれば話は早い。このダルクス人の設定も中々本作に深みを加える要素となっており、リアルを取り入れつつもあまり重苦しくならないように処理してあって「王道の良さ」を久々に再認識させられることになろうとは、夢にも思ってなかった。

そういう点で言えば「なぜもっと早くに全クリしなかったのか?」という疑問を持たれる方もいるだろうが、ぶっちゃけ8章で出てくる巨大戦車が固いし鬱陶しくてそこで断念したからだ。それから何年も経って、たまたま部屋を整理していた時に発掘、せっかく面白いソフトだし、ということで禁じ手である攻略ウィキを見ながら攻略して巨大戦車を撃破した。それから攻略ウィキという非人道的兵器の威力に酔いしれた私は、次のステージも全て攻略ウィキに頼ってしまうことになった。本来、戦略シュミレーションゲームというのは自分の頭で考えて戦略を立てるのが醍醐味であるはずだ。攻略ウィキを使うなど国際法違反である。

 話は突然変わるが、私の好きな戦国武将は毛利元就と朝倉宗滴の二人だ。もちろん、この上の安土城のてっぺんには織田信長がいるが、信長は世界史的な英雄でありもはや別格だろう。普通の戦国武将で一番好きなのは先の二名だ。この二名は言うことが面白い。

 毛利元就は死の間際に「わしは今まで汚い謀略ばっかりやってきたから、敵は多いし家中のものですらよく思っている者は少ない。だから兄弟団結しないとすぐに毛利家は潰れてしまうぞ」というようなことを言った。最後まで悪党を貫き通したのだ。

 一方、朝倉宗滴は家訓で「武士は喧嘩をするときは石を使ってでも勝て」と言っている。確かに戦国の苛烈な競争社会ではそれくらいの意気込みでないと生き残れないだろう。しかし、だからと言って家訓にしてわざわざ残すというのがすごいところだ。普通、家訓と言うのは今で言う企業理念みたいに綺麗事や建前を書いてしまいがちだが、朝倉宗滴の場合はそれどころか「石使ってでも勝て!」という汚いことをわざわざ書いている。

 結局何が言いたいのかというと、戦争では汚い手段を容赦なくかつ躊躇なく使ったものが勝つ、ということだ。だから私は攻略ウィキという名の巨石を容赦なく戦場にぶつけた。そしてセーブ&ロード戦法も使った。それで勝ったのだ。そしてガリアは平和になった。勝てば官軍なのだ。

 まあ、こうやってプレイヤーの本性が明らかにされてゆく、というおもしろいゲームだと思うので、買って購入してみてください。就活中で自己分析に悩んでいる人には特にオススメ。面接官に「戦場では石を使ってでも勝ちます!」と言えば採用してくれるかもしれない。

 あと小ネタ。敵の帝国軍の司令官・マクシミリアンの声優が『コードギアス反逆のルルーシュ』と同じで、かつはまり役なのでルルーシュ好きは買ってみてはどうだろうか。また、マクシミリアンの境遇や性格などもルルーシュに酷似しており、コードギアスはこっから影響を受けたのか?と思えるほど。今ならベスト版でお安くなっており(ステマ)、さらにベスト版にはDLCコンテンツである『イーディ分隊』も入っている!(ステマ)

 これは買わなきゃ損だろ!

 あとは画集。約400ページに及ぶ大辞典的な設定資料集で、製作途中のいろんなキャラ絵から背景絵まで中身ビッシリ、さらに設定も事細かに説明してあるので『戦場のヴァルキュリア』の世界観にどっぷり浸れること間違いなし。キャラクターデザインは本庄雷太氏。制服描くのに定評のあるイラストレーターだ。また、戦車のデザインもこってり凝ってある。銃器類も一応さらっと載っているし、まさに網羅的、しかもそれぞれが奥深いのだから、買わなきゃ損というものだろう。この画集は3800円とやや高く感じるかもしれないが、5000円くらいの価値は充分ある画集なのでこのお値段はむしろリーズナブル。1.5%の10分福利と同じくらいリーズナブルなので、限度いっぱいまで買いたいところだ。ちなみに絵を勉強したい人にとってもオススメ。戦車など普段は見ないので、資料があるだけで安心できる(それなら普通の戦車載った資料集買えって話だが)。

 あと、言い忘れていたが音楽は往年の名作『FFT』を担当した崎元仁氏。高音域の使い方が見事だったが、今回は割と重低音も使われており、もちろんいい味を出しているので、是非とも戦場で味わって欲しい。

 まあ、いろんな長所を上げていったが、要するに全ての面で上質な出来であり、しかもそれがゲームシステムにうまく取りまとめられている、ということだ。最近ではオンラインゲームにもなっているが、それほど出来がいいゲームなので、ただのキャラゲーだと思って敬遠していた方は、是非とも認識を改めて買って欲しいと、セガ社員ではないけれど切に願います。


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