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『エイリアン・リベンジ』~~新年映画祭り後編~~:(映画)

 そうやって中々の良作からの滑り出しで、新年映画祭りも快調に進むと思われていた。そこに真の敵っていうかウンコが立ちはだかるとは、このときの3人はまだ知る由もなかったのだ……



 ピザも映画も美味しくいただいて、さあ、2本目の映画に進もうというときだった。次の映画はがちお氏が持ってきてくれた映画だった。全部で2本あった。一本はどっか外人の作ったギャグっぽいアニメ(題名忘れた)で、もう一本は100円で買ってきたというクソ確定の映画だった。もう時間的にもあと一本見るのが限界だし、ここはクソを避けて――となっていればどれだけ良かっただろうか。二人の反対を押し切り、私が選んだのはでっかいクソが落ちている、クソで塗りたくられた道だった。



 そうしてついにうんこ映画は世に放たれることとなってしまった。ディスクを入れて起動する。

 それは無駄に日本語吹替がついていた。『ブロンソン』にすらついてなかったのに、こんなクソ映画には吹き替えがあるらしい。

 この映画の上映時間は地獄の1時間20分だ。クソの禁字塔『ネオン・マニアックス』より10分短い。でもさあ、これ自主制作映画なんだぜ? もうちょっと短くせいや……あとでも述べるが、この映画は不必要な場面が多く、半分位の時間にすることも十分可能だったと思われる。まあ、今更言っても遅いんだけどね……

 とにかく、映画が始まった。

 不気味な色の惑星に向かって飛び立つ宇宙船――ところが、中途半端な位置で宇宙船は慣性の法則を無視してピタッと静止する。車の急ブレーキでもけっこうな衝撃がくるのに、宇宙船でそんなことをしたら中身はむちゃくちゃになるはずだが、そこはなんとなくSF的脳内設定で誤魔化せ(極秘命令)。むしろ映画の中身の方がむちゃくちゃになってしまっていた。

 ここら辺で荒筋を説明すると、何か宇宙船は命令を受けて囚人を収監している惑星に降り立ったのだが、そこにはエイリアンがいて囚人と戦っていたのだ……とかいう話。

 んで宇宙船が止まってからがまた長いの。冷凍睡眠から目覚めるのだけど、それが点滴刺しただけ、というもの。全然冷凍じゃねえよ。しかも背景のセットを隠すためか、はたまた安っぽい画面を誤魔化すためか、やたら蒸気がモヤモヤしている。見にくいよ、しかも冷凍じゃねえよ!(大切なことなので以下略)

 そっから目覚めた、兵士たちに全然見えない兵士たちがひとしきりくだらない会話を交わしてようやく惑星へと降り立つ。しかし、惑星に宇宙船が降り立つ描写、一切なし!

 さらに、あとの話にもなるが、惑星自体の描写も一切なし! ひたすら囚人刑務所の中だけで映画が語られる。普通は惑星の寒々とした荒野の様子何かが映され、そこに宇宙船がドーンと降りてくる――これがSF的醍醐味というものだろう。この映画はSFロマンを全て粉砕する、まさにSFの皮を被ったウンコだ。

 まあ、慣性の法則もSFロマンもすべて無視して、宇宙船は降り立った。認めたくはないが、とにかく降り立ったのだ。舞台はアパートの部屋を改造したセットから、地元の工場感丸出しのセットへと移り変わったのだ。そう、時代は移り変わった。認めるしかない。

 とにかく、最初は言葉の通じない囚人たちとショボイ銃(フェイス氏曰く「トイザらスで買ってきた水鉄砲を改造したもの」らしい)を使ったショボイ戦闘が始まって、終わった。時代は移り変わったのだ。もはや囚人と兵士は争うべきではない! 彼らは手を組んで、真の敵、エイリアンに立ち向かうこととなった。

 その中で女兵士がエイリアンの唾液を喰らった。彼女は運ばれた。そして、囚人の中に治療できる人がいるという話を聞き、その二人の兄弟を探しに兵士を派遣した。その捜索隊は途中エイリアンの襲撃をかいくぐる……こともなく、出発して3分後には「連れてきました」と言って戻ってきた。その兄弟のくせに人種すら違う兄弟は、脳内で母親か父親が違うという設定にしておいた。しかし、兄弟の治療も虚しく、唾液を喰らった兵士は死んでしまう! おのれ、エイリアン、許すまじ! でもエイリアンってどんな顔してるの?

 この映画のパッケージには、エイリアンの顔がデカデカと写っている。結論から言うと、この表紙のエイリアンは全く映画に出てこなかった。これは酷い表紙詐欺だ! コミケの同人誌よりヒデエ!

 ここら辺で嫌気がさしてきたが、かと言っていまさら鑑賞中止も嫌だったので、ぶっちゃけところどころ早送りして見た。でも全く映画鑑賞に支障はなかった。

 なんか途中で一瞬エイリアンが出てきたのだが、どう見ても人間にお面を被せただけのシロモノだった。なんでも、このエイリアンに「噛まれたら死ぬ!」(映画登場人物の台詞よりそのまま引用)らしい。もうちょっとほかに言いようがなかったのか。地球の毒蛇レベルかよ。

 とにかく、「噛まれたら死ぬ」をなんとかかいくぐって宇宙船に戻って脱出する。途中で会社から派遣されたエンジニアみたいなのが本家「エイリアン」よろしく極秘任務を負っていて裏切るが、なんとか退ける。それからまた宇宙船に戻る。

 そしてまた冷凍睡眠――目覚めてからのくだらないジョーク。あまりにくだらなくて何言ってたか忘れた。そして船内で苦しむ人間の姿が……!

 何と、彼女のお腹は異様に膨らんでいき――

 はい、本家「エイリアン」のパクリですね。ここで、この長かった映画もようやく終了。

 見終わってからはまるで免許更新講習が終わった後のような安堵感が家中にたちこめていた。新年早々、まるで新年が終わったような気分さえ味わった。

 ただ、クソ映画鑑賞法として「集団で見る」というのはいいのかもしれない。3人寄れば文殊のツッコミで、誰かしら何らかの面白いツッコミがあるし、どこがクソなのか話し合うことで意外と創作上有意義な時間を過ごすこともできる。小説や漫画と違って、集団で見ることができる、という映像作品の強みを最も味わうことになろうとは、思いもしなかった。

 でも正直、できれば神作品をみたいです。

 最後に一言。

 俺たちの新年はこれからだ! (完)


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