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『エンゼルバンク』:漫画

作中の登場人物の設定とかに少しネタバレ的要素があるようなないような。ネタバレかどうかは読んで自分で判断してね。

今回紹介する漫画はコチラ!

 『エンゼルバンク』。

 そう、あの『ドラゴン桜』の外伝でもあり、続きでもある。主人公は『ドラゴン桜』で教師を務めていた井野先生だ。名前で分かりにくければ、ちょっと性格のひねくれている方、とでも言えば分かって頂けるだろうか。

 その井野先生が、先生を辞めて転職してしまう、それも転職代理人として――というのが『エンゼルバンク』の荒筋。

 ようするに、こっちは転職を題材にした漫画なのだ。そして転職というバトルフィールドでも、ドラゴン桜的ロジックは連続大爆発。

 まず井野先生は先生を辞めるかどうかで桜木に相談するのだが、その時の答えが「転職はするな」。色々なロジックが展開され、その一つ一つは非常に説得力があるし、事実自分の身にも当てはまっていて面白かった。それに納得して井野先生は辞職を踏みとどまるのだった――では物語が展開しないので、(他にもちょっとした展開の後)井野先生は先生を辞めてしまう。

 そこから転職サポート事業・ライフパートナーの転職代理人である海老沢というメガネが時々歪んでいる男の下で、転職代理人として新たな人生をスタートしていくこととなる。

 それにしても、この海老沢というのが勝手な奴で、どうやら会社の仕事そっちのけで、何やら自分の企みをコソコソやっているようなのだ。ほかの言動も、どうやら会社から一歩引いた自由な立場で、当然、誰しも疑問に思うだろう。途中でその理由が明かされるのだが…… 実は、この海老野郎は若い頃から(といっても作中でも十分若いが)株か何か知らんが投資でボロ儲けしており、そこで得た財産で一生働かなくても生活していけるのだそうな。そしてその状況をこの車海老は「会社の中に独立王国を築いた」とかのたまうのだが、そんなもん独立王国でもなんでもないだろ、と。どっちというとマイケル・ジャクソンのネバーランドに近いものを感じるぞ。「独立王国」とか言いたいなら起業でもしろや、と自分の中の社畜が申しております。

 いやあ、さっき「ドラゴン桜的ロジックが大爆発」なんて言っちゃったけど、ドラゴン桜に比べて全体的に湿っけた火薬使ってるような感じかな。

『ドラゴン桜』は受験の話で、受験というのは必ず“正解”が用意されている。もちろん正解に至る道筋は様々だろうが、最後は“正解”にたどり着かなくてはならない。目標も、受験では“ランクの高い大学を目指す”という点でも共通している(もちろん、人によっては美大や各種専門学校など別の進路もあるだろうが)。

ところが、転職というのは何も収入のためだけではない。人生を少しでも幸せに過ごせるようにするものだ。幸せの形態、有り様も人それぞれで、それを一つのロジックで一刀両断するのにはかなり無理があると思った。作中でもそこらへんについて言及されているし、配慮されてもいるが、やっぱり『ドラゴン桜』ほどの勢いは無かったなあ、と思う。

 あと、前作で出てきた「社会人になったけど会社が倒産したので勉強して東大に入り直した」女がいたけど(名前忘れた)、こいつが「起業する」とか言い出しやがって、それなら東大出たのは何のためだよ、と言いたくなる。

 全体的に思ったのは、車海老も桜木も、成功しているがその手段は相当汚い。無論、普通の人間が成功しようと思えば汚い手段も取る必要があるだろうが、普通の人間はそこまで図太くないだろう。そういや渡邉美樹(ワタミの会長)の人生をテーマにした漫画をちょっと立ち読みしたことがあるが、そこでもほとんど産業スパイまがいの行為を、それもお世話になった会社相手に行なっており、独立して以降は会社を大きくするために従業員には自らの人生観に基づいた精神論を振りかざして長時間労働を強いるなど、道徳観念、遵法精神が著しく欠けているように見えた。やはりそういう人間でもないと成功などできないのだろう。そうでない普通の人間は、どっかの会社で適当に働いてるのが一番いいんじゃないかな。

 結局、大げさなロジックの割に一般論しか見いだせてないような気がした。


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