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『シン・ゴジラ』(2016年映画)

久々に見た、本当につまらない映画。

 この映画、本当にいいところがない。

 友人のG氏に誘われたとき、「多分、ネットの評価とか見てるとクソ映画っぽい」と言われていたが、まあ、邦画なんてそんなもんでしょ、クソを楽しもう、という感じで見に行ったが、それをぶっちぎりで下回るクソさでビックリした。

 


・そもそも、映画の8割が会議

 あと、後ろの子供が「つまんない」って言ってたよ。あまりに退屈な会議だったので、ちょっと寝てしまっていた。ある意味でリアリティのある内容だと言える。もちろん、悪い意味でだが。

 そして起きたところで、ちょうどゴジラが暴れ出したのだが……

 ゴジラのCGも洋画と比べると、いかにもCG感があって、画面から浮いている。まあ、全然見れないレベルではないし、かなり頑張っていると思うので、CGの質自体にはそれほど不満はない。ただ、その割にゴジラの出番が少ないなど、そっちのほうでの不満点はある。



 ・ゴジラ、そろそろ働けよ。

 この映画のゴジラは、少し暴れてビルを倒すとすぐに疲れて眠ってしまう。後期高齢者かな? ひょっとすると、老人ホームからあふれ出た老人たちの恨みが集まって具現化したのが、このシン・ゴジラなのかもしれない。GMK(ゴジラ・モスラ・キングギドラ怪獣総攻撃)でも、ゴジラの正体が太平洋戦争で死んだ兵士たちの怨念だったというオチだったし、あながちあり得ない話でもないと思う。だとすれば、かなりのリアリティのある話だと思う。何せ、一回眠りだすと2週間か3週間か、それくらいは眠りにつく。そんなに寝るのか……普段の睡眠時間はどうなっているのか……ハムスターもビックリの睡眠力だ。

 ゴジラは物語を動かさない。ゴジラは寝ているだけだ。そろそろ働け、とは家族でなくとも言いたくなるだろう。シンジ君ならずとも、「動け! 動いてぉぉおおおお!!」と叫びたくなるであろう。



・ガッジーラ

 石原さとみの演じる日系アメリカ人(大統領になるって言ってたけど、三代以上前からアメリカ国籍を持っている人間でないと大統領に立候補できないが、そこら辺は大丈夫なのだろうか……)の「ガッジーラ」が非常にウザく、これを言うたびに血圧が5ずつ上昇していく。まあ、シンゴジラのゴジラは「ガッジーラ」だった、ということならある意味で納得できるが……ならばタイトルを『シン・ガッジーラ』に直すべきだろう。

 この石原さとみ、死兆星が見えているのに結局死なない。やはり、こういう嫌味な外交官は「最後に残ったヘリで自分だけ脱出しようとするが、結局はガッジーラによって撃墜、あえなく死亡」するというのが、本当にやるべき仕事だと思う。

 聴覚関係で言えば、BGMのエヴァからの流用も正直言ってどうかと思った。

 まず、これはエヴァではない。なぜ、ゴジラ作品に合ったBGMを模索しなかったのか。元々、庵野の選曲センスはエヴァ時代からあまりよくなかったが、新劇エヴァも含め、最近は特に顕著になっている。

 BGM以外にも、キャラや演出など、ほとんどがエヴァの焼き直しが使われている。そりゃ、同じ人が監督をしているので、どうしても作風というのは出てしまうだろう。それでも、何らかの新しい手法やキャラ造形などを取り入れてはいるものだ。マッドマックスも、同じシリーズでありながら、初代とデスロードではかなりの差異がある。

 シンガッジーラには、それがない。だいたいのキャラは「あれ、これエヴァで見たことあるよな」となるし、演出は映画なのにアニメ見たいな演出で、なんだが違和感がある。「ヤシオリ作戦」ってエヴァの「ヤシマ作戦」でしょ……

 特に、最後の方にアメリカの大統領が、高官と一緒に横に並んで窓の外を眺めながらセリフを言うのだが、これってまずゼーレだし、しかも普通横に並んで窓の外眺める絵面が、実写だと最高に間抜けで笑いそうになった。劇中で一番面白いギャグだったと記憶している。これで振り返ったらパスタ伸びてたら、会場も爆笑だったのではないか。

 これらのことを総括して、シンゴジラにおけるゴジラと思しき巨大生物は、「ガッジーラ」であることを提唱します!



・その他諸々

 イチイチ大袈裟なテロップで表示される固有名詞の数々……そのほとんどは読み飛ばして構わない程度。ガッジーラの熱線は航空機を打ち落とすのに、トロトロ走る無人在来線爆弾(って言いたかっただけってハッキリ分かんだね)は撃ち止められないってどういうことよ? せめて地下鉄使おうよ……地下なら察知されないだろうし、地下からの爆発で陥没して、周囲のビルが倒れてくる、とかならまだちょっとは分かるけど……

 そして最後の薬液注入はただただ無様なだけで、正直見終わった後に「ゴジラの生命力は、こんなことで石化する程度のものなのか……?」と果てしなく疑問に思った。本来全ての生物を殺す放射能すら、エネルギーとして取り込むように進化した怪獣の中の怪獣がゴジラのハズではないのか。それが薬液くらいですぐに石化……だったらGMKみたいにゴジラ自体は爆散しても、心臓だけが残っていてまだ終わってない感を出した方が上手いと思う。

 最後に映ったゴジラの尻尾のアップについても、グロテスクなだけで「だから何?」としか思わなかった。もうハッキリ言って、庵野はこの尻尾について何も考えてないのでは? 新劇エヴァも「続く」で投げ出したし、もう何もやる気がないのか?

 薬液で凍結させたのも原発事故をモチーフにしたのだろうけど、本当に申し訳ない、「だから何……?」以外の感想が出てこなかった。映画を見て「原発って怖ろしい!」というのを言葉や設定でなく、映像やストーリーで脳みその深部に訴えかけるモノがないから、どうしても表面的な作品になってしまっている。

 最近の庵野作品は、どれも酷い出来のものばかりだ。思わせぶりな演出や伏線……見せかけだけ深い作品にしようとする行為に嫌悪感すら抱く。

 エヴァはいつになったらちゃんと終わらせるの? 



・死体殴り

 バイオ6以降、二回目の死体殴りを許して欲しい。いや、神が許さなくても、♪殴りに~行こうか~~というシャブ&アスカの心境(アヘン脳)に到達したと言える。

 『シン・ゴジラ』に対して、「怪獣映画というより災害映画として見るべき」という意見を多く耳にした。実際に邦画で久々のゴジラ、ということで、周囲の普段は映画を見ない人たちも多く視聴したようである。その人たちに、今のように不平不満を言ったところ、「確かに怪獣映画としてはクソかもしれないけど、災害映画としてみたら、それなりにリアリティあって面白いっしょ?」みたいな答えが返ってくるので、「怪獣映画は人が死なないといけないの!」と返すと、最終的に「もう君、人が死ぬの見たいだけでしょ?」みたいに返されて話が終わる。


 ハッキリ言って、その通りなのだが、それでも言っておこう、怪獣映画(災害映画でもそうだが)というのは、人が死んでナンボであろう、と。

 

 これと比べたら、ギャレゴジはまだマシだったと再認識させられることになった。

 ちなみにギャレゴジも「ゴジラ出てくるまで長すぎ」、「主役ムートーじゃねえか」などの諸々の不満点を抱えていたが、それでも『シン・ゴジラ』などよりよほど「一般人が怪獣に踏みにじられる場面」を多く描いていたし、ゴジラも熱線がしょぼい(ただの火炎放射器だったじゃん)以外はちゃんと怪獣としての強さを見せてくれていた。何より、世界最強のアメリカ軍(米軍信者脳)が蹂躙されるという、この世の終わりに匹敵する絶望感あふれるシーンを描いてくれた。シンゴジラの薬液注入の間抜けな絵面に比べれば、遥かに素晴らしい。

 ただし、ギャレゴジはゴジラが一通り暴れ終るとそのまま立ち去るという、ヒーローのように見える終わり方をした。多分、ギャレゴジ版の芹沢博士のセリフ等から察するに、「ゴジラという自然災害」を描こうとしたのではないか。そこら辺が怪獣映画の割に、最後は何かしっくりこない感じで終わってしまった原因だと思う。

 そう考えると、以外に『シンゴジラ』の薬液注入は初代ゴジラのオキシジェン・デストロイヤーの(珍しく)いいオマージュであり得たのだが、あまりに見せる絵面が間抜けすぎた。『ゴジラvsビオランテ』みたいに、ランチャーかミサイルで撃ちこむ、などの方法が一番安パイだろう。むろん、撃ちこんだ人は芹沢博士や権藤さんのように犠牲になってしまうのもベタだ。『シンゴジラ』は原発事故をモチーフにしているので、後の復興でも働いてもらうために主人公を死なす訳にはいかなかったんだろうけど、何となく分かってしまうんだよね、「あ、これ主要登場人物、誰も死なねえな」って……やはり映画なんだから、そこら辺はハラハラドキドキというか、そういうスリルやサスペンスって大事なんだなって思った。

 あと、もう一つ言っておくと、東日本大震災ではセットとして原発事故が取り上げられるけど、どう考えても原発自体より津波(そもそも地震や津波がなければ原発も平常運転してたでしょうに、自然災害舐めすぎじゃないかって)で死んだ人の方が多いと思うし、その時点でこの『シンゴジラ』は原発事故を持ち上げすぎていると思うんだよね。テーマの原発事故に対して、庵野自身が「作品のネタ」としてしか取り組んでないように感じた。世間の「原発観」に迎合しているから、どうしても薄っぺらさを感じてしまう。

 あと、ウダウダした会議シーンの割に、ちゃんと作戦自体はうまくいく。でも、実際の原発事故では政府の対応の遅れや隠ぺいなどもあったのだから、こんな映画のようにうまくいってないので、何のリアリティもないと思う。リアリティというと、「シンゴジラの会議シーンは実際の議事録などを参考にして作られたリアリティのあるもの」という擁護論もあるが、一番の問題はまず娯楽として面白くないということ。そして映画のリアリティは現実を超えなくてはいけない、ということ。本当にリアルな映画をやりたいなら、非現実的なゴジラという怪獣を出さないで、普通に福島原発事故の話にしておけばよかったのではないか。海外でもよく自然災害モノ(福島原発事故は自然災害だけの話ではないが)の映画ってあるでしょうに。

 もう、一言でいうと「これ映画じゃなくて小説でやってくれ」って内容だった。小説ならけっこう評価できたと思うんだけど、さすがに映画で設定の羅列を見せられるのは辟易した。


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