『サイコブレイク』:ゲーム
これも予想通り、期待外れのゲームだった。
まず擁護できない点から挙げていこう。
1.カメラがキャラに近すぎる!
いくらなんでももうちょっと離した方がいいだろ! 特にボウガンをかまえるときは最悪だ。ボウガンとキャラの背中で画面の半分くらい占領されているんじゃないのか? とにかく狙いにくい。ただ操作性を悪くしてホラー演出に繋げるという最悪のパターン。もはやホラーよりイライラの方が大きい。さらに、
2.画面上下の黒帯
この二つ目の欠点によって、地面に落ちているアイテムを拾うときに、いちいち下にカメラを向けないといけないため、非常に煩わしい。デッドスペースがいかに快適な操作性だったかを実感させられる。この黒帯だけで画面の3分の一が消えている。視界を狭めることによるホラー演出というより、処理能力がないから視界を狭めざるをえなかった、というのが実際のところか。
3.ゴアモードとかいう予約特典詐欺
まずゴアモード自体が海外版から大幅規制されたものでしかない上に、一度ダウンロードしてもネットに繋いで認証していないとゴアモードにできないというクソ仕様。もはやどうしようもない。ネットに常時接続するのもめんどくさいので、もうゴアモードは諦めている。何のために予約して買ったというのか……あ、今から買う人は心配しなくてもいいよ。大量に余ってるから、ゴアモード付は手に入りそう。結果から言うとこのゲームは中古で3千円くらいならお買い得だと思うので、それまで気長に(と言ってもすぐに値崩れするだろうけど)待とうね!
4.クソ長いロード、でも一撃死かなり多い
なんかゲームやってるよりロード時間ばかりかかっているような……しかもセーブもトロイ。これで映像が凄いならまだ納得できたが、映像も動きもガクガク、テクスチャ遅れ、そもそも動き自体が超絶不自然過ぎて笑う、などとても褒められた物ではない。これでロード長いとか、本当に舐めているとしか思えない。しかもその癖に罠やらボス敵やらの一撃死など、即死がかなり多い。最初は「やられた!」と思えるが、何回も死んでいるうちに「あー、はいはい、またね」といった感じになってしまい、完全に死に対する恐怖も薄れていく。特にチャプター9は酷い。一定時間で即死持ちの無敵敵が乱入、距離をとるとワープして近くに移動してくる。完全ランダムなので対策もとれないし、場所が狭いと問答無用で即死。せめてあるポイントで出てくる、とかしてくれると対策も取れたのだが……このチャプ9はもうちょっと頑張ろうかと思ったが、その後のクソ長いロードで完全に挫折した。開発者の意地悪=ホラーとしたら、とんだ勘違いもいいところだ。ホラーを一から勉強し直せ、といっても三上はもう引退するそうだが。マジで引退した方がいいよ。
だいたい以上がサイコブレイクの感想というところか。うん、見事に欠点しかないね。それも何だから、一応長所も無理矢理探して書いてみるとしよう。
まずは製作者がバイオの生みの親、三上ということ。三上ファン、三上が作ったゲームなら無条件で楽しめる人はぜひ買おうね。
そしてもう一つは、弾のバランスや敵の強さがちゃんと調整されている、ということ。やりごたえのある攻略が楽しめるので、ロード時間が気にならなければお勧めだ。実際、PCならロードはかなり短いみたいだし、それなら楽しいと思う。
あとはボウガンの種類が色々あって面白い。このゲームの唯一のオリジナル点と言っても過言ではない部分だが、なかなか戦略の幅があって面白い。パーツという共通の部品を使って矢を作成するのだが、これもどの矢を作るか考えさせられて面白かった。
さて、相変わらずCEROのクソ規制でことごとくダメになりましたね。そもそもD指定なので、通常モードは予想の範疇内だが、ゴアモード詐欺だけは許せない。それなら海外版に日本語字幕か音声を入れてくれていた方が100万倍マシ。もうこれからはそれでいいと思うんだが……いつまでもCEROの規制にビクビク怯える隠れキリシタンみたいな状況に耐えればいいのか。こっちの方が余程恐ろしいよ。
話は変わって敵クリーチャーだが、これもよくあるパターンの寄せ集めでしかなく、集大成と言えるには程遠い。貞子も最初は恐ろしいものだが、何度も殺されているうちに慣れてきてしまう。しかも死亡パターンは全部頭を潰される(もちろん、日本語版はゴアモードでも頭は潰れないけどね!)だけだから、もっと他のパターンも用意せいや! ついでに壁に張り付いて重力無視して天井から追いかけてきたりとかしても良かったのでは? 死体ワープとか、結局ワープしてくるため、恐怖じゃなくて鬱陶しいが先立つ。ただ、貞子のワープは一番近くの死体に転移なので、逆手に取って攻略できるなど、いいところもあったことは指摘しておこう。クリーチャーならせめてサイレントヒル2のようにトラウマなど精神の病をモチーフにしたクリーチャーにして、もっと意味を持たせるべきだった。クリーチャーとは“生き物”であり、「その世界の住民」なのだから、ゲームの世界観を代弁させる存在でなければならない。カルト的ダーク・ファンタジーである『バロック』はクリーチャーという点では100点だった。また、バロックは心臓や骨を齧って前に進んで行くなど、アイテムも訳が分からないながらも、なぜか「そういう世界観」と納得させる“説得力”に溢れていた。サイコブレイクはこういった説得力のなさ(ストーリーも関係している)が「やらされている感」と、ゲームに対する没入感を削いでいた。最近のゲームで言うなら『ダークソウル』も敵キャラの作りにこだわりを感じた。世界観をちゃんと演出しており、モンスターのデザインもこだわりを感じる。それに死に覚えというゲームを設計している。死んでも割とすぐに再スタートできるし、死んでもそこまでに手に入れたソウルはドロップするだけなので、また取りに行くモチベーションにもなった。それに比べて、サイコブレイクは死んでやり直す動機づけに欠ける。ただ単にやり直させるだけで工夫がないうえ、ロードが長いというまさに悪夢のような仕様。PS3だと20秒~30秒はかかるぞ! しかもこれ、PS4向けじゃなくてほとんどPS3向けに作られていた。発売する頃にPS4が出たので、急遽PS4版を出したわけだから、本命はPS3のはずだ。本当にこんなロード時間で行けると思ったなら相当精神を病んでるに違いない。金を払った人に嫌がらせをするなと言いたい。何の工夫もない死に覚えなんて10年前でも受けなかっただろうが、今の時代に受けると思っているのが痛々しい。これは随所に見られることだが、とにかくゲームのあらゆる要素、技術が押しなべて古臭くてダサイ。
そもそもこれ、ストーリーから察するに、精神世界、要するに夢の中の話なんだよね。それなら物理法則無視した醜悪なクリーチャーがもっと出てきてもいいと思うんだけど、結局やってることがゾンビモドキ出して、それからラスアスっぽいかくれんぼしながらバイオ4とデッスペの中間っぽい戦闘こなすだけ。しかもどれも中途半端。これやってるとデッドスペース(ただし3は除く)がゲームとしてもホラーとしてもどれだけよく考えられて作られていることか。精神世界というとサイレントヒルを思い出すが、あれのように精神世界独特の表現も特になく……ていうか、ただ細切れな場面移動に使われていただけちゃうん? しかもストーリーが一切意味不明な上、登場人物のキャラが反応薄すぎて何の感情移入もできない。どのキャラもゲームの駒以上のものではなく、ストーリー上のキャラクターとして昇華されることはなかった。唯一、登場人物で気に入っているのは、セーブポイントに出てくる看護婦のタチアナ。なんか色っぽい声だな、と思っていたら声優が井上喜久子で納得。ただ、台無しにするようで悪いが、セーブポイントへ移動する際、鏡の前で〇ボタン長押しが面倒くさい上に、セーブポイントでもよく分からんイベントや演出がある。セーブ自体の長さも相まって早くせいや、という思いが強かった。本当にこのようなセーブ部屋にする必要があったのか、という疑問はぬぐいきれない。普通にあのイスだけ置いてあって、そこで強化やセーブができればそれでいいような気がする。ただセーブしにいくだけでイチイチ長いイベント発生したり、それでなくとも〇ボタン長押し&演出と時間ばかり取らされる。
ところで、期待の新作ゲームコーナーで「罠がどのように戦闘に使われることになるのか楽しみ」というようなことを書いたが、予想以上に酷くて吹いた。そもそも敵は罠に引っかからないから、罠を利用して戦う、なんてことはなかった。これが何より酷いと思ったね。罠はパーツに分解して矢の原料にするしかない。矢で戦うのは面白かったから、そういう意味ではギリギリセーフと言った感じか。だいたいの罠は光っているので見つけることは容易なのだが、一番ムカつくのはとらばさみ。視界の悪さも相まって、本当に見つけ辛い。引っかかってもただイライラするだけ。敵はスルーしてくる。もはや何の意味があるのか分からない。また、発見が容易だからと言っても結構な数の爆弾が設置されており、いちいち分解しながら進むのが億劫になってくる。ここら辺もゲームのテンポを損ねている。そもそもこのゲーム、ゲームテンポがトロい。主人公はまだせいぜい40代くらいだろうに、強化無しだと4秒も走れない虚弱体質なのだ。いっそ70歳の設定にした方が余程リアリティも出るし、設定の斬新さもあっただろう。
三上は「二周目からがこのゲームの本番」と言っていた。たしかに、二度目は詰まった場所もスムーズにクリアできて快感が得られる、ということだろうが、そんなことは普通のゲームでもあるし、特段このゲームだけの特色でもあるまい。ラスアスでもイベントや強制歩き、一本道などが多くて周回を途中で諦めたが、サイコブレイクはそれ以上に周回を阻む要素で満ち満ちている。「周回前提」の割に全然周回しようという気が起きない。本当に周回前提で作られたのか、疑問に思う。デッドスペースを見習え! 初代は2週、2は5週くらいしたぞ!(でもハードコアは未だにクリアできねえ……)
とりあえず、このゲームの総ロード時間を見てみたい。サイコブレイクはクリアまでに100回は死ぬと仮定する。この100回は決して多くない。少ない人でも7,80回は死ぬだろうし、多い人なら150回くらい死んでる人もいる。まあ、仮に100回死ぬとする。ロード時間が30秒として、100回死ねばそれだけで3000秒=50分のロード時間。もちろん、戻されてやり直しの時間も含めればさらに多い時間がリトライだけで消えていくことになる。ハッキリ言って、これはやりすぎだろう。これだけでゲームの意欲を削ぐのに十分だ。
これはホラー=理不尽さというはき違えから全てが由来しているように思える。このロード時間なら、逆にもっと死なないようにすべきだった。せいぜい2,30回死ぬくらいでとどめておけば、ロード時間もそこまで意識せずに済んだだろう。まず即死=恐怖とかいう考えがあるのかどうか知らないが、明らかにこのゲームはそういう思想でデザインされている。実を言うと、死そのものは恐怖になりようがない。なぜなら死ぬということは恐怖を感じる自分という存在自体の消滅なのだから、恐怖もクソもない。問題は死に至るまでの過程にある。そこで「死ぬほどのピンチ」を経験しながらも、何とか知恵を振り絞ったり戦ったりしてそれをすり抜けるときに恐怖というものを一番感じるのではなかろうか。どのゲーム体験を思い出しても、死んだら「あ、やっちゃった」という感じで恐怖はそこでオシマイだった。むしろ死ぬ前に「うわ、死ぬ死ぬ!」と焦っている状況が一番恐怖を感じ、手に汗握るのではないだろうか。そういう意味で、一番恐怖を感じる「恐怖からの逃避」が罠の解除のような、しょうもないクセにシビアなQTE(これもハッキリ言って三上が「嫌い」と言っていたQTEに他ならないだろう)で済ませられたり、本来もっと焦らすべき場所であっけなくサックリ死んでしまったりするから、恐怖体験が薄っぺらくなってしまっている。先に挙げたチャプター9のルヴィクだが、あれも無敵ではなく不死身にすべきだった。これは微妙にニュアンスが違う。無敵は攻撃を一切受け付けないことだが、不死身は一応ダメージは通るし痛がる。しかし倒すことはできない。例えば、ルヴィクを攻撃してある程度ダメージを与えればひるませることができる、とかすれば良かったのではないだろうか。そうすれば狭い部屋や袋小路などで追いつめられてもプレイヤーの努力で切り抜けることができるかもしれない。攻撃して、ルヴィクがひるんでいる隙に横をすり抜けて逃げることができるからだ。そういうときに「これ外したら死ぬ!」とか「うまく横を通り抜けられるか」と焦るのが恐怖であったり攻略の楽しさではないだろうか。そう、上記の「擁護できない欠点」で述べ忘れていたが、そこにもう一つ追加したい。それは
5.全く恐怖を感じない
これは高難易度=即死、理不尽という勘違いか、あるいは制作にあたっての諸々の妥協が安易な方向に働いた結果、プレイヤーが努力でどうにかするというホラーゲームの一番の要素をないがしろにしてしまっていることから来ていると、少なくとも私は思う。他には上記4点のような明らかな制作上の安易な妥協がもたらした低品質と、ストーリーラインのあまりの投げっぷり、意味不明さから来ていると思われる。ストーリーというのは大まかなあらすじだけのことではない。というか、それを指しているのではない。途中でNPCの行動やセリフに印象的なものがあったのか。その時その時に没入できるように、登場人物たちがちゃんと演技をしていたか、ということだ。これはDSもラスアスも、2作では随所に感じられた。例えばDSなら、アクリル越しに生存者を発見したときや敵役の憎たらしいマッドサイエンティストなど、インパクトのあるシーンが多かったし、上官との会話など印象的なシーンも多かった。サイコブレイクはことごとく指摘されている通り、誰も恐怖に錯乱したり(一部メガネ野郎がそういう雰囲気だけは醸し出していたが)、主人公もうめき声や叫び声をあまり上げないため、非常に恐怖が薄くなる。アイザックさんを見習え! いくらなんでも冷静過ぎるだろ!
あとはチャプター同士のつながりか。何の状況説明もなされないので、この舞台の意味はなんなのか、全く分からなかったりする。
ここまで読んだ人の中には、「なぜここまでサイコブレイクを叩くのか?」と疑問に思う人もいるかもしれない。それは、このゲームの発売前に「世界500万本販売を目指すし、それだけのクオリティがある」という宣言のせいでもある。まあ、500万本という数字は宣伝のためのフカシも入っているとして、話半分で聞いても2,300万本は売るつもりだったのだろう。だが、こんなテクスチャの貼り遅れやチグハグなゲームデザイン、恐怖感の全くないゲームがたとえ2,300万本でも売れると思っていたことが驚きだ。さらにゴアモードDLCは、頑張り次第ではいくらでも評価できた仕様にできたはずなのに、結局妥協に妥協を重ねて訳の分からない仕様になってしまっている。つまり宣伝で売り抜けようとした。こういった安易なゲーム制作、ゲーム販売戦略を許さないためにも、徹底的に指摘して叩いておく必要があると、ひしひしと感じたからである。
デッドスペースはバイオ4から影響を受けたフォロワーだったが、完全にそれを超えて、新たなパイオニアとなった。ラスアスもしかり。いろんな作品の影響を受けたが、それを上手く昇華して作品へと仕上げている。
最後に――ここまで文句を言う、というのは、逆にこのゲームは完全にクソゲーでないということの証拠でもある。ちゃんとした部分があるからこそ、余計に「なぜこうなった」と思えてしまう。久々に出てきた、本格的なサバイバルホラー、それも正統派TPSということで期待し過ぎた感がないではない。ただ、その期待に応えられないどころか、最低限の水準も満たさないでは買い取り価格が崩壊して『在庫ブレイク』になるのも仕方ない話である。合掌。




