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コラプススタンプ   作者: アネミアン
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5:コラプススタンプ

 コラプススタンプ。

ただ一つの情報封印魔法。

怪物を聖紙に封印するように、情報を封印する魔法。

その聖紙の部分は人の魂。

そして、魂が消えたとき、聖紙が破れたときの様に封印されていたものが溢れ出す。


     ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 白は研究所に転移した。

あたりの研究員は気にもせず、男の記憶から知った魔人開発所に向かう。

彼の正体を探っている集団。彼に掴みかかるような馬鹿は居なかった。

彼は再び転移し、研究所に出る。

そこは、とてもまがまがしい部屋だった。

電気で明るいが、そのせいで改造されている、これからされる人間が良く見える。

改造中の人間はカプセルの中でチューブまみれにされ、これからされるものは液体の入った水槽に沈められている。

そのほかにも、人間の脳、内臓、皮膚、目、骨。

居るだけで気分が悪くなる。そんなところだった。

白は機械に触れ、消して行った。

始めはコンピューターから、人間の部品、そして最後に水槽に沈められている人が並ぶ一角に歩いていく。

試しに水槽を消して、中の人を出した。髭を伸ばした男。

その男の腕を掴む。脈は無い。魔人は死体を操っているだけの人形、ブラックパペットだ。

その男を床の上に置いた。

そして、他の水槽も消していく。

少しして、水槽が全て消えた。

部屋にあるのは横たわる死体のみ。

何とも気持ち悪い光景だ。

そこに、一人の男が入ってきた。

「逆波白。なぜこのような事をする?」

男は白に問いかけた。

「これ以上犠牲を増やすのは許せない」

「では、お前が死ねばいいのだ」

「そんな事をすれば、世界を消し始める。ここまで執着に追いかけてくるのがその証明だ。あんな無駄な追いかけっこを、関係ない人間にやらせて」

「ふん」

男は短く笑った。

「無駄ではなかった。そのことを教えてやろう」

男が右手を伸ばし、その指が光る。

その指から金色の光線が放たれた。

白も光線を放ち、相殺する。

「お前の魔法を喰らった魔物から送られてきた情報を集めた結果だ」

「だからどうした?俺と同じ魔法が使えるようになっただけだろ」

「違うな、同じじゃない、優れているのだ」

男は十本の指を出した。

「かわしきれるのか?」

男の指から、十本の光線が放たれる。

その一本一本が複雑に曲がり、うねり、逸れ、白をねらう。

しかし、白はそのうちの一本に光線を当てた。

そこに出来た隙間から飛び出す。

後ろから同時に9本の光線が迫ってきた。

白は微笑む。

白の手が青く光った。

そのてで、光線を掴む。

「どうやら、優れているのじゃなくて、劣っているようだな。操作している間、動いていない、さらに魔力の消費も大きいようだが?」

金色の光が消える。

「俺なんて、ほんの捨て駒さ」

男が言った。

その男に白が近づく。

白はその男に触れた。

「魔人の研究所はここ一つか」

そして、白は消えた。


     ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 白は一つの暗い部屋に転移した。暗いと言う事は、誰も居ないのか、と考え部屋の中を調べる。

まずパソコンを開き、中の情報を調べる。パスワードは魔法で解除した。

白は組織のメンバーの名前の一覧を見つけた。

コラプススタンプを使う前に出会った者もある。

一番上には、霧波健の名前があった。写真には初老の男の顔が映っている。

白は外に転移し、その家ごと消した。

そして、先ほどの男のコラプススタンプから読み取った情報を辿り、転移した。


     ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 次に転移した先は一つのビルだった。

何のビルかはどこにも書かれていない。それは、この組織の情報が封印されているから。

白は真正面から入っていった。

すぐに魔人に包囲される。全員が体と顔を服で隠し、異様な風景だ。

しかし、包囲する意味も無い。

白は魔人の群れの後ろに転移した。

探査の魔法を使う。

そして、生きている人間を察知した白は再び転移を使う。

 そこには一人の男が居た。

白の突然の登場に驚いている。

「あなたは誰ですか?」

白は静かに聞いた。

「お、俺は高山だ」

男は自分がどうすれば良いのか全く分からない。と言うより、どうにも出来ない。相手は何百年、逃げながらも魔法を鍛えてきた相手だ。

白はさっきの名簿を思い出す。

高山正彦、コラプススタンプが押されている。

次の瞬間には、白は男の体に触れ、コラプススタンプから情報を読み取っていた。

そして、白は転移した。転移先は霧波。


     ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 霧波は白の動きを常に見ていた。

悟に触れ、転移をしたことや、自宅に転移し消去された事、そして組織の本部で高山に触れ転移した事。

霧波の見たことのない魔法だ。しかし驚く事でもない。彼は魔法開発の天才だ。

油断していた、と霧波は思う。組織の存在はコラプススタンプで隠されていた。

しかし、コラプススタンプを押されたものから、封印された情報を引き出された。

霧波は自分の終わりを感じて、キーボードを打つ。手を離すと同時に、後ろに彼が現れた。

「いまさら話す必要も無いな。殺すなら殺せ」

立ち上がり、少年に言う。

「しかし、何のためにお前は生きている?」

「何かのために生きてるわけじゃない」

霧波の問いかけに、彼が答える。

霧波は少年の方を向いた。

「では、死んでくれればこちらは助かる」

「無理だ」

「なぜだ? この組織がなくなってもいくらでも出てくるぞ」

霧波の後ろのパソコンからは、彼がコラプススタンプから情報を取り出す方法を他の場所へと送られている。

「そんな事は関係ない」

「では、いつまでもこんな事を続けたいのか?」

「ああ」

彼は答えた。

「なぜだ?」

彼は少し間をおいた。

「ここに来るまでに、たくさんの人に会った。とても楽しいときだった。それだけで十分だ」

「そうか」

情報の送信が終わった。

「では、何しに来た? 私を殺しに来たか?」

「いや、違う」

少年は霧波の体に触れた。

「ん、何を!?」

霧波の手は魔法で止められた。

彼は霧波のコラプススタンプから情報を引き出した。

「コラプススタンプ、解除」

彼は手を離した。

「こういうのは、専門に任せるべきだ」

そういい残し、彼は消えた。


     ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 彼の組織にあの後すぐ魔法管理組織が現れた。

すぐに関係者は逮捕され、罰を受けることになる。

しかし、霧波が送った情報が見つかる事は無かった。



「いつか、コラプススタンプを破る魔法が見つけるはずだ。私の情報はどこかで……」

ありがとうございました。

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