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消え去った鏡の破片  作者: りんごくん


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2/2

今の私は鏡に映らない

消え去った鏡の破片 後半


「ん、、、うぅ」

私はまぶたを開けた。知らない天井。腕に刺さっている管。あぁ、ここは病院か。私は生きてたんだ。

「あ!起きた!」

そんな声がした。そっちを見るとどうやら看護師のようだ。私はその看護師に名前やら何があったかなどを聞かれた。私は真実を全て話した。家出して知らない人にナイフで刺された、と。看護師が言うにはどうやら私は男と共倒れしていたらしく男は死亡、私は急所は避けていたため運良く生存していて1ヶ月ほど寝ていたらしい。そしてもう一つあった。それは私を預かる里親がいるらしい。私はただ頷いた。きっとまた腕を振り上げられるのだろう。

もう、いいよ、どうせ私は人殺しで私を助けてくれる人なんていない。それが運命だから。人を殺してしまった罰だから。怪我はほぼ治っていていつでも退院できる状態らしく、私は目を覚ましてから数日で退院した。里親が迎えにきた。嫌だった、怖かった、きっとまた嫌な日々が続くから。

私は里親に怯えながら車に乗った。恐怖というものは何があっても消えないものだ。それは私がまだ生きたいと思っているから。

「ここに入れ」

私はそう言われてボロボロの鉄臭いトイレと水道以外何もない部屋に入れられた。そしてドアを開けようとしたが開かなかった。

「ご飯、食べれないのかな」

するとドアが開いた。里親が入ってきた。

「おい、飯だ」

と言われてご飯を渡された。お皿には少ないカチカチの米とぐちゃぐちゃな野菜が入っていた。

「少ない、、、あ」

私は無意識にそんなことを言ってしまった。

「舐めた態度とってんじゃねえぞ!!」

そんな怒鳴り声と共に蹴りも襲いかかってきた。

頭がクラクラする、視点が揺らぐ。

そして里親は部屋を出ていった。ここからどうなるんだろうな、私はまた殺されるのかな?もしそうならすぐに逃げないと。

それから数日。ただお腹が空いた。毎日2食の少ないカチカチの食事だけ。今までの朝ごはんと同じかそれより少ないか、しかし暴力が振るわれることはほぼなかった。ただ食事と風呂以外はそこまで苦しくなかった。だけど臭いがひどい。自分でもわかる。まだ数日だからそこまでなんだろうけど髪はベタベタで全身痒くて、あとはとにかく寒い、指先が動かない。それに寝る時に毛布も布団も何もないから寝れない日が続いた。そんなある日、私は何か話し声が聞こえた。盗み聞きすると、、、

「16歳以上でなるべく安くて若い女の子お願い、あとこれを書いてくれ」

「チッ、誰でもいいんだな?」

「はい」

「書いたぞ、ついてこい」

そんな会話、どういうことだろう?安い?ここでは

人間が売られてるの?私も商品で、、、もし買われたらどうなるんだろう、買う人なんてまともな人がいないだろうし、そもそもここを知ってる時点できっと

黒に手を染めてる人間なのだろう。私が言えることではない。でもなるべく買われるならいい人がいいな。

すると扉が開いた。そこには里親と知らない若い男性が立っていた。見た目は細身で怖い雰囲気がする。関わってはいけなさそうな、そんな雰囲気がした。

「出てこい、お前はもう解放してやる」

「、、、あ、、、あ」

「チッ」

里親は舌打ちをして無理やり引きずり出した。嫌だ、怖い、何をしてくるのかわからない、暴力をするような人でもなくてなにか酷い拷問を受けさせられるような、そんな予感がした。私は抵抗しようとしたが全然食べてない痩せ細ったの女の子が抵抗できるわけもなく。私はやられるがままになっていた。心臓がうるさい、全身が逃げろって信号を出してる。でも私は逃げれなかった。逃げる力なんて一切残っていなかった。

私はその男の人の車に乗ることしかできなかった。

「お前名前は?」

私は答えなかった。ただ下を向いて、これから起こる恐怖に身をかがめていた。

「じゃあこれだけ答えてくれ、何歳?」

「・・・」

私の耳にはもう何も入ってこなかった。それから少しして車が止まった。

「ついたぞ」

私は車から降りてその男についていった。

一軒家、周りにもたくさん家がある。田舎ではなかった。もしかしたら前より逃げやすいかも。

私は家に入れられた。家の内装なんてどうでも良かった。でも気にしなくてもわかるくらい綺麗だった。

今までとは比べ物にならないくらい。

「今日からここがお前の家な、てか風呂入ってこい、臭えんだわ、着替えは出しておくから入ってこい」

そう言われて私は風呂場に連れたかれた。

でも私の心の恐怖心はほんの少しだけ取り除かれていた気がする。風呂に入ったら覗かれたり、入ってきたりしてくるのかな、あのおじさんみたいに、、、

しかし考えていたようなことが起きることはなかった。なにもなく風呂を上がると着替えが置いてあった。少しぶかぶかだけど暖かかった。あとは風呂に入ると全身がとても心地よかった。風呂ってこんなにきもちいんだ。リビングに戻ると懐かしい匂いがした。

「俺の服変な匂いしてないよね?あとご飯もうちょっとでできるからソファ座って待ってて」

「あ、えっと、はい」

その人はどこかぶっきらぼうで、でも暖かくて温もりがあって、今までの人とはまるで違った。

そして料理が運ばれた。とても美味しそうだった。

でも本当に食べていいのかわからなかった。

「いいんですか?」

「何が?」

「これを食べても」

「逆にダメだったらここに出さないだろ」

「ごめんなさい」

「謝んなくていいよ、悪いことしてないんだし」

「あ、わかり、ました」

私は料理を一口食べた。すると視界が水でぼやけた。私はいつの間にか声を出して泣いていた。

「え、なんで泣いてるの?」

「だって、優しくしてくれたから」

私は泣きながらそう言った。こんなに優しくされたのはいつぶりだろう、とても嬉しくて。

「こんなんで泣いてたら生きてけねぇーぞ」

「うん」

私は涙を堪えた。もう泣かないようにしよう。迷惑はかけたくない。

「あとはもう一つ、これはもう無理って言っても無理だからね、俺と結婚する」

「え?」

「いやぁねぇ、親が結婚しろってうるさくてねぇ、誰でもいいから結婚したくてさ」

「そう、なんですね」

「まぁ別に結婚したからってどうこうすることもないけどさ。それに結婚した証拠さえ見せれば多分納得するだろうし」

「けっ、こん」

「生憎と俺は選択肢を与えるほど優しくないんでな、

これ書いて。このあと市役所行くから」

「わかり、ました」

私は婚姻届を書いた。でもそんなに嫌じゃなかった。

だってこの人は優しいから。

それから夕方の道を車で走って市役所に行って結婚した。結婚祝いとして市役所から市のマスコットキャラの人形をもらった。

「てかさ、色々買わなきゃいけないよな、夜詠の日用品とか服とか」

「そうですね、買いたいです」

「んじゃちょっとショッピングモール寄るか」

「ありがとうございます」

「一応俺の妻になるんだからわがままとか言ってもいいんだぞ?」

「言っても殴らないですか?私を追い出さない?」

「当たり前だろ、嫁さんをそんな扱いするようなやつじゃねぇーよ」

私は心の中の鎖が解かれた気がした。幸せになれるって思えたから。この人は安心できるって思えたから。

「じゃあ可愛いお洋服とか買ってもいいですか?」

「高すぎるのはやめてくれよ」

「もちろんです!」

私はすっかり笑顔を取り戻していた。今まで死んでいた目はきっと息を吹き返しただろう。

それから私は色々買ってもらった。申し訳なさすぎるほどに。多分20万は裕に超えるだろう。

「こんなに、本当にいいんですか?」

「だからさ、一応自分の立場を理解してくれ」

「でも、、、」

「でももくそもないだろ、嫁は嫁、それだけでそれ以上でも以下でもない」

私の目にはもう怖い男の人ではなくかっこいい男の人しか映っていなかった。


出会ってから何日経ったかな、多分8日くらい経った。ただ私は幸せを噛み締めていた。

「一緒にテレビでも見ません?」

「いいけどあんまり夜更かしすんなよ、夜詠が生活習慣崩したらいい迷惑だからな」

「わかってますよ〜」

旦那さんは私の隣に座った。私はそっと手を重ねて

旦那さんに寄りかかった。旦那さんの手は暖かくて大きかった。

「何してんだー」

そうぶっきらぼうに言われた。でも私にはこれがある

「私は嫁!ですからこれくらいはいいじゃないですか、わがままも聞いてくれるんですよね?」

「はぁ、こんな男のどこがいいんだか」

旦那さんの言葉は否定せずむしろ肯定してるように聞こえた。私の幸せはこれから始まる。

テレビの横にある鏡を見た。鏡に映った前の自分はいない。幸せに満ち溢れている女の子が鏡には映っていた。















































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