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第41話「秘策」

 しかしリッタは、その一瞬を見逃さなかった。

「セリア!!」と一言叫ぶと

 セリアはすぐに意図を理解し、先程リッタが考えた策通り、リッタへ身体強化魔法「――限界付与オーバーリミッター」と


 ――オーバーリミッター。

 それは、術者が対象の能力を“現在の限界値”まで強制的に引き上げる付与魔法だ。だが代償も重い。無理やり天井まで押し上げられた肉体は、長く維持するほど悲鳴を上げ、やがて維持そのものが破綻する。最悪、筋繊維が裂け、骨が軋み、身体そのものが崩壊する――だからこそ、ここぞという一瞬にだけ用いられる禁じ手に近い切り札。


 そして、リッタが立てた策はまさにそれだった。

 死神が隙を見せた、その刹那にオーバーリミッターを付与してもらい、短時間で決定打級の猛攻を叩き込む。長く効果の薄い攻撃を重ねても、状況はジリ貧。ならば、命綱を削ってでも“瞬間の勝ち”を掴みにいく――そういう結論だ。


 次の瞬間、リッタの全身に熱が走った。

 血液が沸き、筋肉が軋み、世界の輪郭が研ぎ澄まされていく。視界が鮮烈に澄み、死神のわずかな重心移動すら手に取るように分かる。

 湧き上がる力に、リッタは震えを覚えた。恐怖ではない――抑えきれない高揚と、身体の内側から突き上げてくる“危うさ”の震えだ。


 リッタは踏み込んだ。

 風を裂くように距離を詰め、死神の正面へ――。


 ――ドンッ!


 手甲がめり込み、鈍い衝撃が森に響く。

 続けてもう一撃。さらにもう一撃。

 連続の猛撃が、死神の防御を押し潰していく。


 正面から複数回手甲で殴打した後、脚で蹴り飛ばし、あっちへこっちへ、死神は何度も吹き飛ばされる。抵抗の隙はない、そしていよいよリッタ身体に限界を感じると、最後に死神の腹部に思いっきり強力な一撃を叩き込んだ。


 その瞬間――肉体の奥が、嫌な音を立てた。

 限界に引き上げられた筋が、維持の“限界”へ触れた合図。呼吸が焼け、肺が詰まり、腕の感覚が薄れていく。


 だが、リッタは止めない。

 ここで終わらせる――。


 拳が、死神の腹部へ深く沈み込んだ。


 ――ズンッ!!


 空気が震え、衝撃が一拍遅れて爆ぜた。

 するとさすがの死神も、激しい吐血と共に後ろの大木へと叩きつけられるように吹き飛ばされた、


 枝葉が砕け散り、幹が軋む。闇を纏った死神の身体が木に食い込み、黒い靄が揺らいだ。


 直後、オーバーリミッターの熱がすっと引いた。

 身体が現実へ引き戻される。

 リッタの全身を、遅れて襲う重さ――筋肉の痛み、骨の軋み、鼓動の暴れ。だが、それでも。


 オーバーリミッターを解かれたリッタは、はぁ、はぁ、と息を切らしてはいるが、自分の足で立っている。


 そこにセリアが「リッタ!」と近づいてくる。


 リッタは「手応えはあった」とやや余裕を持ってそう言った。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。


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