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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

檻の中の恋人は、僕だった

作者:清水ナナシ
薄暗い地下室。小さな窓から差し込む光は、昼でも夕暮れのように頼りない。
 その部屋の中央に、彼女は座っていた。手首には鎖。足首には鉄の枷。
 僕はその姿を見下ろしながら、皿に盛ったパンと水を差し出す。
「……今日も食べて。君が弱ってしまったら、僕は生きていけない」
 彼女は小さく微笑んだ。拒絶も、叫びもない。ただ静かに受け入れるような目。
 その目に、僕は救われていた。
「外は危険だ。君は美しすぎるから、すぐに奪われてしまう。だからここにいるんだ。僕が守ってあげる」
 自分に言い聞かせるように言葉を重ねる。
 けれど彼女はただ首をかしげて、囁いた。
「……あなたこそ、大丈夫?」
 胸の奥がざわついた。僕は檻を作ったはずだ。捕まえているのは僕のはずだ。
 なのに、その声は、まるで僕を気遣う牢獄の看守のようだった。
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