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24年物語(小説家になろう版)  作者: 司馬横龍
24年物語(エピソード1)
7/31

第7話。サーニャと少年の出会い。

サーニャは唯一の家族を日本移住させる。


そして買い物行く道中で、子犬を見つける……。


無事に子犬たちを避難させる。


いつの間にかサーニャの家族一員になっていた。

 どうして皆は僕をイジメるの……誰か……助けて。


 サーニャはアュブ城を外出して、あれから1時間は経過していた、集落も決して近くはないのだ。


 だがサーニャは若いのだろう、まったく体力が衰えてないのである、さすがのサーニャでも砂漠では、汗がほとばしる。


 サーニャは時折、水分を補給するのであった、そして歩いて、ようやく集落が見えてきたのである。


サーニャ「ようやく、到着したわ!」


サーニャは毎回集落についたら同じ言葉を放つ。


 サーニャは集落の中に入ると、何やら喧嘩のような声が聞こえてくるのであった。


サーニャ「何かしら?喧嘩……?」


 ここの集落の村人はサーニャを知らない者など居ないのである、もはや集落の一員であった。


 サーニャが喧嘩の方へ向かうと集落の子供達が何やら円陣を組んでいるのであった、子供達の円陣の中央にいた子供は。


集落の子供達「やーい!ワハシュがいるぞ!ワハシュだ!」


 子供達は「ワハシュ」と叫ぶ、アラビア語で「怪物」と意味である。


 子供達は「ワハシュ」に向けて小石を投げつけてるのであった。


サーニャ「あなた達!何をしてるの!」


サーニャは集落の子供達に叱るのであった。


集落の子供達はサーニャを知ってる。


集落の子供達「げ!?サーニャだ!にげろー!」


 サーニャだと知り集落の子供達は一目散へ散らばって逃げる。


 すると一人だけ、取り残された子供がいた。小石を投げつけられてた子供だ。


サーニャ「君、大丈夫?」


 サーニャはすこし膝を曲げてイジメの対象になってた子供に話しかける。


傷だらけの少年「ぼ……ボクをイジメにきたの?」


 少年はサーニャを睨みつける、恐怖で身体は震え、オシッコを漏らしてるのである。


サーニャ「その目どうしたの!?」


 サーニャは一瞬だけ戸惑う、なぜなら少年は片目だけ目玉が無いのであった。


傷だらけの少年「わ、わからないんだ」


 少年は相当な怯え方であった、服装も上着一枚だけであった年齢は6歳ぐらいだろう。


 サーニャは一瞬で気づいた、この子は親に捨てられたのだと。


 何故ならサーニャはここの集落の子供達の顔を皆覚えてるからである。


そしてサーニャはある決断をするのだ。


サーニャ「ねぇ!私と一緒に暮らさない!私が姉になってあげる!」


 サーニャは姉弟関係を提案したのであった、サーニャにとって弟が欲しかったのであろう。


傷だらけの少年「ぼ、ボクのお姉ちゃんに!?」


少年は驚いた表情でサーニャを見つめるのである。


サーニャ「もう弟なんだから今から連れて帰るだからね!」


 サーニャはそう言うと少年をオンブして連れて帰る事にしたのである。


 すると帰る途中で集落の長老がサーニャの前に現れるのであった。


集落の長老「サーニャ、ならん!その子をこの集落から一歩も外に行かしてはならん!」


集落の長老「その子は憎悪の塊なのじゃ!!」


集落の長老は憎悪の塊の子と呼ぶ。


サーニャ「いくら長老様でも!そんな言い方は許せませんよ!」


集落の長老「分からんのか!その子は人間を恨んでおる!憎悪と怒りの塊じゃ!」


サーニャ「いいえ、私は連れて帰ります!」


 サーニャは長老の言葉を無視して、アュブ城に帰るのであった。


集落の長老「サーニャ、お主が辛いだけじゃぞ」


 長老はサーニャの事を心配していた、サーニャはもうすでに集落から居なくなっていたのである。


サーニャ「私の弟よ!私が守るんだから!」


 サーニャは少年をオンブしながら、アュブ城へ移動していた、少年は安心したのか震えが止まっていた。


傷だらけの少年「お姉ちゃん、ごめんなさい」


少年は涙を流しながら謝るのである。


 それはサーニャが、もうあの集落に入れない事を知ってるからである。


サーニャ「いいのよ謝らなくて」


 サーニャは既に覚悟をしてるのだ。弟の為なら、たとえ火の中水の中を行くのだと。


サーニャ「帰ったら、傷の手当てね!」


サーニャは、もはや姉なのだ、サーニャは知ってる、少年が背中で涙が溢れてるのを肌で感じてるのだ。

傷だらけの少年「うん……スースー」


少年は安心したのか、姉の背中で眠るのである。


サーニャ「寝たのね」


 サーニャはクスッと笑う、少年が鼻息で寝たのを感じたのだ、そして微笑む。


サーニャ(私が必ず守ってみせる!)


サーニャは新たに決意して心の中で呟く。


サーニャ「いけない!買い物忘れたわ!まだ食べ物あるから大丈夫ね」


サーニャはまた買い物を忘れてるのであった。 


 サーニャは集落を出てから1時間は過ぎようとしていた、もうすぐ夕方だ、少年をオンブしながらの移動は。


 さすがのサーニャも体力が落ちる、砂漠は夜は冷え込むが、まだ夜ではない。


時折サーニャは水分を補給する。無論少年にもだ。


 サーニャはオンブしてる少年を勇気づけようとするのか。声をかける。


サーニャ「まだお互いに名前を言ってなかったわね!私はサーニャよ」


サーニャは明るく微笑み、名前をうち明かす。


傷だらけの少年「ぼくには名前はないなよ」


少年はサーニャの背中で一粒の涙を流す。


サーニャ「なら私が名付けしないとね!」


サーニャ「んーサイサリス……?決めたわ、アースィムよ!」


 アースィム。アラブ語で「護る者又は防御者」の意味である。


アースィム「アースィム!?うん!サーニャお姉ちゃん!」


アースィムは初めて満面な笑顔になったのである。


 サーニャが名付け親になった事でアースィムは喜んだに違いない。

次回、第8話。ポールとジャック。

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