第20話。過去と現代と未来と神々。
それぞれの物語が動き始めようとしていた。
過去、現代、未来、そして神々さえも……。
今宵、あなたは、色々な物語を見るに違いない。
現代2006年7歳のアースィムにて……。
オーウェンとルルVS化物。
1947年11月22日。これは少年イサムと出会う前の物語である。
これはサーニャとアースィムが生まれる前の物語、アュブ城に2人組が住んでいた。
当主コンスタンと、それに従うメイドの物語である。時刻は夜を過ぎていた、何やら一人の女性が慌ていた。
当主コンスタンの部屋へと向かう。
ルル「主様!大変です!」
ルル、武装しているメイドである、メイドの服装は露出は少ない。
当主コンスタン「どうしたのだ……?」
当主コンスタン。年齢は既に80歳を越えてる、髪は銀色でロングヘアー、男性としては珍しく、体が弱い方であった。
ベットに横たわっていた、彼には秘密があった。
ルル「遂に……連中の化物がきました」
ルルは慌てる事もなく、冷静である、目を閉じて精神を集中させる。
当主コンスタン「数は…?」
当主コンスタンは不気味な声であった、低い声だ。
ルル「5体です」
ルルは目を閉じたまま数を教え「体」を付け加える。
当主コンスタン「イサムが解き放ったに、違いない」
当主コンスタンは上半身だけを起き上げ「イサム」の名を口にする。
ルル「始末、致します」
ルルは目を見開き、命令を下されるまで待機する。
当主コンスタン「我も……戦おう」
当主コンスタンは起き上がる、だがフラついてしまう、ルルが肩を貸す。
ルル「全員、私が始末を致します!」
ルルは悲しい表情になる、主の身体が弱ってる事に心が痛む。
当主コンスタン「これは私の戦いでもあるのだ」
ルルを睨みつける、そしてルルの肩から離れる、銀色のロングヘアーが靡く。
ルル(死なせはさせない!主様を!)
ルルは部屋を飛びてる、冷静から焦りへと変わっていた、腰に二本のダガーナイフを隠してる。
当主コンスタン「待て、待つのだ!ルル!」
当主コンスタンは杖を持って追い駆けるのであった。
アュブ城の外に不気味に得体の知れない5体が近寄ってくる。
四足歩行の化物5体「コロ……ス……す」
四足歩行の化物は人間か動物かさえも特定が出来ない醜い化物であった。
しっかりとフォーメーションを組む、まるで理解してかのように。
一体だけ二足歩行へと切り替わる、そして命令を下すのであった。
二足歩行の化物「き、き、さ、ま、ら、はザコをころせ!」
二足歩行は他の4体とは変わっていた、隊長格である。
四足歩行の化物「キ!ギギ!」
もの凄いスピードであった、時速60キロで疾走する。
アュブ城の城壁を軽々飛び越える。
ルル「来ましたね、この先には行かせませんよ!」
ルルは脱兎の如く、走って4体の内一体にターゲットを絞る、そしてルルはジャンプしてダガーナイフを取り出し、一体の化物の首に突き刺す。
四足歩行の化物一体目「ぎゃー!」
四足歩行の化物はルルのナイフで悲鳴をあげる、反撃の為に爪でルルを攻撃する。
ルルは巧みに攻撃を回避して後蹴り、前蹴りと、巧みに連続攻撃を繰り出す。
ルル、もはや早業だ、ダガーナイフの連続斬りだ。
四足歩行の化物二体目「ぎー!!」
四足歩行の化物二体目が襲いかかる、だがこれも華麗にかわして宙返りで化物の後ろへと回り込む、そして首を跳ねる。
四足歩行の三体目と四体目「きしゃー!」
今度は2体同時攻撃であった、するとルルは目を閉じる。
ルル(主様……どうかお力を)
ルルは目を閉じて手に全集中させる、そして次の瞬間ー!
ルル「そこですー!」
ルルは目を見開き、両手のダガーナイフを一振りするのであった。
四足歩行の化物2体「……ぎ?」
2体の四足歩行の化物の首が宙に舞う、一瞬の出来事であった、首が転げ落ちる。
ルル「ふふ、あはっは!あ〜ん、か、快感だわぁ〜」
ルルは、まるで人格が変わったかのように性格が変わる、不気味に微笑む。
ルル「もっと〜来なさい〜はっ!わ、私たら!」
ルルは正気に戻る、顔が真っ赤になる。
その頃、隊長格の化物は城の中へと入っていた、誰かを探してる。
二足歩行の化物「ど、どこに〜いる、で、でこい!」
他の化物と違って手には鋭い爪が備わっていた。壁を爪で引っかくのであった。
当主コンスタン「人の家を傷つけおって」
当主コンスタンはフラフラしながら化物の目の前に現れる、レイピアを片手で持ってる。
二足歩行の化物「裏切り者!ギャーギ!」
当主コンスタンに襲いかかる、すると当主コンスタンは。
当主コンスタン「本気を出そうではないか」
目を閉じる、そしてブツブツと呟き。
当主コンスタン「か・い・ほ・う!」
当主コンスタンは目を見開く、すると瞳が真っ赤になる、瞳が赤色へと変わるのだ。
SYSTEMORGreen!敵を捕捉!
インターセプター「コレヨリ、解放イタシマス!パワー150%開放!ナンバー6承認!」
ナンバー6「……」
当主コンスタンは一瞬で化物の所へと移動していた、化物の首が一瞬で宙に浮く。
ナンバー6「うっ……!」
当主コンスタンは口から大量の血を吐く、黒色の血だ。
その場で倒れ込む、寸前にルルがキャッチする。
ルル「主様ー!!」
ルルは当主コンスタンの上半身を起こす。
ナンバー6「お……そいたわけ者」
衰弱している力を開放したせいだろう。
ルル「申し訳ありません」
ルルは当主を「お姫様抱っこ」して部屋へと向かう。
ナンバー6「少年のイサムを……感じる」
当主コンスタンは「イサム」を感じていた。
ルル「子供の方ですね?」
ナンバー6「そうだ、準備せよ」
ルル「かしこまりました」
ルルは「お姫様抱っこ」しながら、真剣な表情になっていた。
今まさに未来が動きだそうとしていた。
ナナリーとルルの別れ。
これは遥か……AD2070年。ハワード軍事施設のAI管理部屋にて、ナナリーは同型のAI型の妹ルルと切羽詰まった会話をしていた。
ナナリー。CMで時々、登場していた人工知能AIだ。
ありとあらゆる施設内のカメラ設置で投影機能を使って立体ホログラムを作り出せるのである。言うなれば透明の身体だ。
AIルル「お姉様、ハワード様が、どうして!こんな酷い事をするの!」
AIルルは怯えてる「消去」されるからだ。
ナナリー「人は変わる者なの、私達、人工知能とは違うの」
ナナリーは悲しい表情になる。
AIルル「私達、消されるだわ」
「消される」「アンインストール」の事を言ってるのだろう。
ナナリー「計画はあるの、ルル!貴女を人工人型にインストールするわ!」
ナナリーは「イサム・ハワード」の性格が変わった時から「計画」を進めていた。
ナナリー「ルル、前から言ってたわね、人間みたいに友達と遊んだりして、恋をして、家庭を持ちたいって」
ナナリーはルルの肩を手に当てる、だがAIだ、実体は無い。
AIルル「お姉様……?」
何故急に「人間」の話になるのか、AIルルには解読出来ないでいた。
ナナリー「ルル、覚えておきなさい、これが愛なのよ」
ナナリーは妹型ルルを急にシャットダウンさせる。
そしてカプセルに準備していた「人工人型」にインストールするのであった。
ナナリー「ワームホール作動、全電流動力源をカプセルに流しなさい!インターセプター!」
ナナリーはインターセプターに命令を下す。
インターセプター、コレヨリ、全電力源をワームホール、カプセルニ移行イタシマス。
すると、もの凄い爆音と共に電流が流れる、カプセルが作動する。
AIルル02型……再起動マデ50%デス。
すると異変を察知した「強化人間」が強行突破しょうとする。
ナナリー「妹は私が守る!防御システム作動!」
ナナリーの言葉と共に天井から、小型マシンガン4台が作動する。
強化人間隊長「貴様!AIの分際で反乱などしょて!」
小型マシンガンは次々に強化人間達を倒していく、だが多勢に無勢だ。
1台、また2台と破壊されていく。
AIルル02型……再起動マデ……80%。
するとルルが目覚め始める。
ルル「ここはー?お姉様!お姉様!」
ルルはカプセルの中に目を覚ましたのであった。
ナナリー「ルル、幸せになるの」
ナナリーは己の電力を使って人工ワームホールを開く、異空間の門だ。
ナナリー「機械だから涙は出ないけど、さよなら」
ナナリーは段々と消えかけていた、AIの「消去」が始まったのであった。
ルル「お姉様ー!!」
ルルは異空間の門へと飛ばされてしまう。
消えかけるナナリー「……ル……ル」
インターセプター。AIナナリー暴走ニヨリ、消去イタシマシタ。
……。
1947年11月23日。早朝、当主コンスタンの部屋にて。
当主コンスタン「る……ルル?」
当主コンスタンは「力の解放」で弱ってベットへ寝てたのであった、目を覚めると横には。
ルル「ん……?はっ!申し訳ありません!」
ルルは驚いて椅子から立ち上がる、どうやら看病していたのであった。
当主コンスタン「よい……すまぬな」
当主コンスタンはルルの手を握る、強く強く。
ルル「え?あー、あの、その!」
ルルは何故か顔が真っ赤になる。
当主コンスタン「ルル少し休むのだ、命令だ」
当主コンスタンは微笑み、手を離す。
ルル「わ、分かりました!紅茶を入れてまいります!」
ルルは顔を真っ赤になっまま、部屋を飛び出す。
当主コンスタン「いったい、どうしたのだ?」
当主コンスタンは笑う。
そして少年イサムとの出会いが近づく……。
少年期イサムの物語。
これは、まだイサムが少年だった頃の時代の物語。
1947年11月23日。当時のイサムは7歳であった。
少年イサムと母親はアュブ城へ出向いていた、女性のメイドが2人を誘導して主の部屋へと向かう。
少年イサムは母親と共に当主コンスタンの部屋へと招かれようとしていた。
先に女性のメイドが部屋へと入る、そしてイサムの母親が続く……恐る恐る中へと入る、イサムの母親。
イサムの母親「イサム、来なさい、挨拶するのです」
イサムの母親は少年イサムの手を繋いで当主コンスタンの前へと進む。
武装したメイド「止まりなさい!それ以上、進むと!喉を斬ります!」
当主コンスタンの護衛だろうかメイドは武装していた。だが露出の少ないメイド服だ。
当主コンスタンはベットに横たわっていた、すると気配を感じたのか上半身を起こす。
衰弱してる当主コンスタン「よい、通しなさい」
当主コンスタンは少年イサムに興味を示す、まるで導くかれる如く。
イサムの母親は息子をベットの近くに当主コンスタンの前へと進ませる。
衰弱してる当主コンスタン「あぁ!間違いない、我が主と瓜二つ、やはり!」
当主コンスタンは急に興奮するのであった、まるで以前に会ってるが如く。
衰弱してる当主コンスタン「ラストネームは何じゃ!早く申してみ!」
興奮して両手で少年イサムの肩を握る強く、強く。
少年イサム「ハ……ハワードですっ!」
少年イサムは手も足も震える、恐怖だ、目の前に得体の知れない男がいる。
衰弱してる当主コンスタン「イサム・ハワード……!」
当主コンスタンは少年イサムを睨みつける。
武装したメイド「……」
武装したメイドは少年イサムの後ろに回り込む、そして。
武装したメイド「お前は死だ!殺してやる!」
メイドは小型のダガーナイフを取り出し、少年イサムの首元にナイフを向ける。
少年イサムは、もはや意味が分からず泣き出す。
少年イサム「ま……マミー!!」
少年イサムは余りの恐怖でオシッコを漏らす、それを見たイサムの母親は。
イサムの母親「お、お願いです!殺さないでくださいませ!わ、私を殺して、ください、わたしを……」
イサムの母親は武装したメイドに泣き付く、メイドの足を両手で必死でしがみつく。
衰弱してる当主コンスタン「よせ、少年ハワードを殺しても無意味じゃ」
当主コンスタンは力強く片手を出して手で阻止する。
武装したメイド「ハッ!我が主!」
武装したメイドはすかさず小型ダガーナイフを腰の後ろにしまう、メイドは主に絶対的信頼を寄せている。
イサムの母親は気絶していた、あまりの恐怖と「子供」の死でショック気絶だ。
少年イサムはオシッコを多量に漏らしてた。
そして尻もちしていた、涙はいつの間にか枯れていた。
すると当主コンスタンは起き上がり、少年イサムの所へと近寄っていく。
武装したメイド「主様!起きては!」
武装したメイドは心配な表情になっていた、当主コンスタンに。
当主コンスタン「よい、これも運命よ」
当主コンスタンは、ゆっくりと少年イサムの目線に合わせる。
そして運命が動きだそうとしていた。
当主コンスタン「これより、イサム・ハワードを!コンスタン当主に任命を致す!」
当主コンスタンは手の平を少年イサムの頭の上に乗せる。
武装したメイド「イェス・マィ・ロード!」
武装したメイドは少年イサムに片膝をつく、そして少年イサムの顔を見て微笑む。
少年イサム「マミーを!ベットに寝かせて!」
少年イサムは震えながら。強く言葉を発する。
武装したメイド「も、申し訳ありません!直ちに!」
少年イサムの圧にビックリしたのか、母親思いなのである。っとメイドは察した。
元主コンスタン「だっはは!一本取られたわい!」
イサム・ハワードは……こうして。
1947年11月23日。イサム・コンスタンが誕生したのである。
少年イサムの物語(後日談)
これは少年イサム・ハワードがコンスタンの名を継承した物語から始まる物語である。
イサムの母親はベットで眠っていた、すると目を覚ます。
イサムの母親「こ、ここはー?」
イサムの母親はゆっくりと目を開く。
すると横を見つめると少年イサムが立っていた。
少年イサム「マミー!起きた!」
少年イサムは母に抱きつくのであった。
イサムの母親「あぁ、私の可愛い坊や!」
少年イサムを強く抱きしめる、今まで以上に心底心から安心感へと変わる。
すると一人の女性が部屋へと入ってくる、その女性はメイドの服装を着ていた。
武装したメイド「起きましたか、先程はお許しください、奥方様」
武装したメイドは片膝をつく、そして目を閉じて絶対的。敵意が無い事を示す。
イサムの母親「こ、これは何が!?」
イサムの母親は錯乱していた、起きたばっかりで混乱しているのだ、困惑な表情になる。
武装したメイド「コンスタン家の継承になりました」
目を閉じたまま真実を伝えるのであった。
するともう一人部屋に入ってくる者がいた、床を叩く音がする、杖の音だ。
元当主コンスタン「我々は〜♪影に生きる〜♪者なり〜♪」
元当主コンスタンであった、だが既に家名は少年イサムが継承している。
元主コンスタン「起きてたかね、自己紹介をしょうではないか」
元当主は以前と比べて活力を取り戻していた、イサムの母親をしっかりと見つめる。
イサムの母親「何故?私達を助けるのですか?」
イサムの母親は怯えてる、息子が継承、出来過ぎた話だからだ。
元当主コンスタン「怯える事はない、以前から決めてた事なのだ、それよりも名を伝えよう」
元当主コンスタンは片膝をつく、そしてイサムの母親の顔を見つめながら。
元当主コンスタン「私はオーウェン、そこのメイドはルルだ」
元当主コンスタンは「オーウェン」と名乗り、メイドは「ルル」と名を教える。
オーウェンは立ち上がる、するとルルが肩を貸す。
ルル「では、奥方様の名前を教えください」
ルルは微笑みながら名前を尋ねる。
イサムの母親「私は香子と申します」
イサムの母親は日本人であった。
ルル「ユウコ様……何て素敵な名前」
ルルは目を閉じながら手を胸に当てる。
オーウェン「実に素晴らしい事だ!さぁ晩餐だ!」
オーウェンは微笑み、両手を大胆に広げる。
ルル「うふふ、久しぶりの人間ですもの!お任せを!」
ルルは「人間」と呼んだ。
こうしてオーウェン、ルル、ユウコ、少年イサムの物語が始まろうとしていた。
オーディンとヘレン。
これはヘレン・ケラーとオーディンの物語である。
1968年6月1日アメリカ合衆国・コネチカット州イーストンでヘレン・アダムス・ケラーは自宅で生涯を終える享年87歳である。
これはヘレンが亡くなる一年前の物語である。
1967年5月1日、ヘレンは自宅の庭の椅子に座っていたのである。
すると何者かが近寄ってくるのであった。
ヘレン「あら?そこに居るのは誰かしら?」
ヘレンは障害者である、視覚と聴覚の両方の障害者だ、目が見えない、声が聞こえない。
3M超えの大男「オマエがヘレン・ケラーか?」
大男はゆっくりとヘレンに近寄っていく。
ヘレン「貴方は大きいのねぇ〜」
ヘレンは大男の方向に顔を向ける。
3M超えの大男(声ガ聴こえないノニ?我ガ?分かるのか!?)
大男はヘレンの感の鋭さに驚くのであった。
ヘレン「いらっしゃい、怖がる事はないわ」
ヘレンは微笑みながら大男に優しく手を差し伸べる。
3M超えの大男(ナゼ?我ガ?怖がル!?)
大男は困った顔でヘレンを見つめる。
ヘレン「分かるわ、貴方の心が見えるから、オーディン」
オーディン「……」
オーディンとヘレン、心の戦い。
オーディンはヘレンの心の中で会話を始める。
オーディン『我は神なり。崇めよ。人間よ』
ケラー『まぁ、態度のでかい神様ね』
オーディン『我は神である。崇めよ』
ケラー『私の心の中で、そんな態度は許せませんよ』
オーディン(どうなってる、我が打ち負かされる!)
ケラー『人に物事を頼む時は礼儀正しくしなさい!』
オーディン(ぐっ……!)
オーディンは一瞬で弾き飛ばされる。
ケラー『人が居なければ崇める事さえも出来ないのよ』
オーディン『だからこそ、崇めよ!』
ケラー『何か勘違いしてるみたいね、人が崇める事を止めたら、どうなるかしら?』
オーディン『……』
オーディン『おまえは何者だ?』
ケラー『私はただの人間よ』
ケラー『貴方の心に、もう一人いるわね』
オーディン『我は我なり』
ケラー『出てきなさい!怖がっては駄目よ!』
少年の心『母……上……?』
ケラー「私はヘレン・アダムス・ケラーよ」
少年の心『ケラーおば様……神様には勝てないよ』
少年は……泣いてた。
ヘレン『ふふ、ヘレンっで良いわよ』
ヘレン『さぁ……手を取りなさい……』
精神と心。ヘレンと少年。
ヘレンはオーディンと心の会話で、もう一人の人格と会う。
ヘレン『出てきなさい、怖がっては駄目よ』
少年の心『神様には勝てないよ……』
ヘレン『いいぇ、心を強く持つのです』
ヘレン『人間の魂は強いのですよ』
少年の心『……』
ヘレン『可哀想に何百年も封印されていたのね』
少年の心『母上に……会いたい』
ヘレン『会えるわ、だから戦うのです!』
ヘレン『戦いなさい!私も一緒に戦うわ』
少年の心『勝てない・・・かてない!!』
ヘレン『勝てるわ、母の想う気持ちが打ち砕く事でしょう』
少年の心『どうして、ぼくを救うの?』
ヘレン『それが、人間でしょう』
少年の心『アウラ……』
少年の心『母上の名前』
ヘレン『素敵な名前ね』
ヘレン『オーディンは貴方が少年だから甘く見てるそうね』
少年の心『ヘレンおば様は強いだね』
ヘレン『違うわ、貴方と同じですよ』
ヘレン『人は誰でも弱さがあるのよ』
少年の心『父上と……母上に……会いたい』
ヘレン『戦うのです、精神を集中させなさい』
オーディン『愚かになり!ヘレン・アダムス・ケラー!我が消えれば信仰心が薄れるのだぞ!』
ヘレン『ここは私の精神です!神でも許しませんよ!』
するとオーディンは強制的に「精神」を離脱させたのであった。
精神内から切り離した、オーディンは……。
オーディン「愚か者め!神を愚弄するか!」
オーディンは怒り心頭であった、近寄りケラーの首を掴もうとする。
オーディン「……?」
オーディンは何故か手が止まってしまう、困惑するのであった。
オーディン(な、何だ?まるで)
オーディンはますます困惑する、それはケラーの周りに沢山の人の「気配」を感じたからだ。
ヘレン「どうしましたか?さぁ首を掴みなさい」
ヘレンは恐れる事なく、オーディンを挑発する。
オーディン「われは!ワレは……!?」
オーディンはいきなり気絶してしまう膝から総崩れだ、巨人が倒れる。
ヘレン「オーディン、貴方は人間に勝てませんよ」
ヘレンは呆れた表情でため息をつく。
ヘレン「使用人!手伝ってください」
ヘレンは手を叩いて合図する、使用人を呼ぶのであった。
使用人一人目「はい、お呼びでしょうか」
一人目の男性の使用人は結構な体格だ。
使用人二人目「運ぶのですね」
こちらも男性であった、体格は同じぐらいだろう。
ヘレン「えぇ、お願い致します」
ヘレンは微笑む、半分ヘレンは呆れてる、これ程、神が「傲慢」な態度なのか。と。
使用人二人は巨人を運ぶ、流石に重いのか、途中途中で休憩する、ヘレンは二人を鼓舞するのであった。
ヘレン(これは心の開放が必要ね)
こうしてヘレン・アダムス・ケラーと少年の心を取り戻す、物語が始まるのであった。
コンスタン家誕生秘話、暗黒騎士物語。
西暦1499年7月15日、これはある家系の物語である、あなたは、その歴史を見る事になる。
物語は教皇国から始まる、あなたの知ってる歴史とは違うのかも知れない……。
15世紀のローマ教皇はアレクサンデル6世であった、彼こそがロドリゴ・ボルジアである。
そして彼に従えるのが暗黒騎士であった。
暗黒騎士はローマ教皇の前へ謁見していた。
暗黒騎士「我が主を私を自由にしてください」
暗黒騎士は全身が漆黒の鎧で覆われていた、そして剣は豪華絢爛な装飾が施されていた。
剣の装飾には「グリフォン」が施されてる。
暗黒騎士の口調は穏やかである。
アレクサンデル6世「むぅ?何故だ?どうしたのだ」
ローマ教皇はまるで異様であった、口調は低い声で、もの静けさな口調である、何処か不思議であった。
暗黒騎士「私は……人間になりたいのです」
暗黒騎士は摩訶不思議な事を言うのである。
鉄仮面で隠れてるせいか感情が読み取れない。
アレクサンデル6世「ほぅ、人間に?」
ローマ教皇は己の髭を手で触り「杖」を持ってる、その杖も異様な物であった。
アレクサンデル6世「おかしな事を言う、人間であろうに」
ローマ教皇は微笑む、だが一瞬だけだ、杖の先端を床に叩く。
アレクサンデル6世「良いだろう、暗黒卿よ、お主に第2の人生を捧げよう」
ローマ教皇は、立ち上がり、ゆっくりと暗黒騎士の所へ移動する、暗黒騎士は片膝をつく。
アレクサンデル6世「暗黒卿、お主に新たな人生と姓を授けよう、お主の姓は……」
ローマ教皇は杖を暗黒騎士の肩に手を当て言葉を続けるのであった。
アレクサンデル6世「お主の姓はコンスタン卿と改めるとよい」
ローマ教皇は杖をゆっくりと肩から離す。
暗黒騎士は「コンスタン卿」と姓を改める。
コンスタン卿「コンスタン家に恥じぬよう生きます」
鉄仮面の奥から青色の瞳が輝きをます。
アレクサンデル6世「ではコンスタン卿よ、自由なのだ、何処にでも好きな所へ行くとよい」
ローマ教皇はゆっくりと移動して奥の部屋へと消えていく。
コンスタンは立ち上がり、謁見の部屋を後にする、そして教皇国を出るのであった。
コンスタン卿「私は自由なのか?」
コンスタン卿は自由を手に入れた、コンスタン卿に家族などいない、即ちそれは孤独との始まりであった。
すると城門からローマ兵が近寄ってくる。
ローマ兵「コンスタン卿、ローマ教皇からの伝令です!アュブ城に向かうとよいとの事です!
ローマ兵「では、お伝えしました、失礼させてもらいます!」
ローマ兵は紙を渡して去っていくのであった。
コンスタン卿「アュブ城!?」
コンスタンは貰った紙を見るのであった。
そこにはアレクサンデル6世の思いやりが詰まっていた、地図と文章が刻まれていた。
コンスタン卿「ローマ教皇様」
コンスタン卿は感無量に浸る、すると前方から避難民の集団が見える。
1人の凛々しい女性が避難民の先頭を進む。
コンスタン卿(ヴィオレッタか!?)
その女性の事を「ヴィオレッタ」と呼んだ。
ヴィオレッタは目を合わせないで進むのであった。
コンスタン卿は顔を地面に向ける、何故か怯える。
コンスタン卿は始めに市場へ向う。
先に板金鎧を脱ぐ為に鍛冶屋に向う。
「板金鎧」は一人では外せないからだ。
コンスタン卿「すまぬ、鎧を外したい」
コンスタン卿は鍛冶屋に依頼するのであった。
彼にとっては、初経験である、今まではヴィオレッタが鎧脱ぎを手伝っていたからだ。
鍛冶屋「お任せ……こ、これは暗黒卿様!」
鍛冶屋は怯える、膝をつくのであった。
鍛冶屋「わ、私に不憫が、あ、ありましたか!?」
鍛冶屋は怯える、死を覚悟するのである、暗黒騎士は「恐怖の象徴」が仇となる。
コンスタン卿「いや……何でもない」
コンスタンはその場を離れる。
もはや民からも兵士からも恐れられていた。
コンスタン卿「ヴィオレッタ……我は」
コンスタンは外にある椅子に座り込む。
何故かヴィオレッタの名前を出してしまう、暗黒卿である。
すると一人の女性が近寄ってくる。
謎の女性「どうかしましか?暗黒卿様?」
その女性は怖がる事なく話しかけてくるのだ。
コンスタン卿「何者だ?君は?」
コンスタンは立ち上がる。
謎の女性「私はアメリアと申します、暗黒卿様」
謎の女性は(Amelia)アメリアと名乗った。
コンスタン卿「私は、もうコンスタンだ」
コンスタン卿は初めて家名で挨拶をしたのである。
アメリア「私が鎧取り外すのお手伝い致します、コンスタン様」
アメリアは微笑むのだあった。
アメリア「では私の家で鎧を外しましょう」
アメリアはコンスタン卿を家に誘導するのであった。
コンスタン卿「どうして私に力を貸してくれる?」
コンスタンは不思議でならなかった。
アメリア「惚れたのです……クスッ」
アメリアは微笑み、小声っで話すのであった。
コンスタン卿「何!?、今何と?」
アメリアの小声で聞き取れなかった。
アメリア「何でもありませんよ、さぁ、参りましょう」
アメリアはコンスタンを誘導するのであった。
アメリアは先にコンスタン卿を家に入れさせる。
そして鎧を取り外す準備に取り掛かる、アメリアは各部の鎧を一つ一つ取り外す。
そして最後は腕の籠手を取り外した。
コンスタン卿「アメリア、感謝を致す」
コンスタンはまるで、開放されたかのような気分であった。
アメリア「いいえ、礼には及びません」
アメリアの口調は穏やかであった、微笑む。
コンスタン卿「そ、そうか」
コンスタンは何故か照れてしまうのであった。
アメリア「一つお願いがあります、私を貴方様の従者にしてくださいませ」
アメリアは片膝をつく。そして目を閉じる。
コンスタン卿(アメリア!?それ程まで)
コンスタンは心の中で呟く。
コンスタン卿「よいだろ、アメリア!我の従者に認めよう」
コンスタンは剣を取って鞘から抜く、そしてアメリアの肩に載せる。
コンスタン卿「アメリアを我が従者に委任する、我が剣とグリフォンに誓おう」
コンスタンは交互に剣の矛先をアメリアの肩に載せては契を結ぶのであった。
コンスタン卿「さぁ、アメリア、立つのだ」
コンスタンはアメリアの手を取る、そして立たせる。
アメリア「コンスタン様!」
アメリアはコンスタンに抱きつく。
コンスタン卿「コホン!アメリア急いでるのだ」
コンスタンはすかさずアメリアを切り離す。
何故か照れてるのであった、顔が赤くなる。
アメリア(ふふ・・慣れてないのね)
アメリアは心の中で微笑むのであった。
コンスタン卿「所でアメリアに家族は?」
コンスタンは家族の事を尋ねる。
アメリア「私の家族は戦争で……」
アメリアは悲しい表情になってしまう。
コンスタン卿「我と同じか、似た者同士か」
コンスタンは一瞬だけ悲しい表情になるが微笑むのであった。
アメリア「コンスタン様はどちらへ?」
アメリアは鎧をテーブルに置いて尋ねる、目的地を尋ねる。
コンスタン「アュブ城だ」
コンスタンはアュブ城に目的地を定める。
アメリア「では急ぎましょう」
アメリアの行動は早かった、支度を進める。
コンスタン卿「分かった、城に向かおう、長旅になるが」
アメリア「永遠にお供を致します」
アメリアは微笑むのであった。
コンスタンとアメリアは、お互いを惹かれていくのであった。
そして後にコンスタン家は想像もしない世界が待っていた……。
西暦1499年7月10日、暗黒騎士が人間になる前の5日間の物語である。
教皇国、暗黒騎士はアレクサンデル6世の秘密の部屋へ謁見していた。
アレクサンデル6世「暗黒卿よ、我が馬鹿息子が消えたのだ」
アレクサンデル6世、ローマ教皇であった、何故か怒り心頭である。
暗黒騎士「市場にいる可能性があります」
暗黒騎士、ローマ教皇の近衛隊長っである、漆黒の鎧……豪華絢爛な剣を腰にぶら下げてる、そしてマントだけが赤色であった。
暗黒騎士は鉄仮面のせいで感情が読みとれない。
だが鉄仮面の下に青色の瞳が見える。
アレクサンデル6世「どんな手段を使っても馬鹿息子を連れ戻すのだ、ゆけ!暗黒卿よ」
ローマ教皇は眉間にシワを寄せて、杖を床に叩き命令を与える。
暗黒卿「イェス・マイ・ロード!」
暗黒騎士は姿勢を正し、手を胸に当て忠義を見せる。
アレクサンデル6世と暗黒騎士は絶対的な信頼を寄せてる、秘密の隠し部屋を教える程だ。
暗黒騎士には家族はいない、闇に生き、ひたすら命令に従う、闇の騎士であった。
ローマ教皇が「光」ならば暗黒騎士は「闇」である。
ローマの住民は彼の事を「ダーク卿」っと呼んでいた。
『私は人間になれないのか?』
『お前達が羨ましいのだ』
『私には家族はいない、私は人間ではないのだ』
暗黒騎士は心の中で呟くのであった。
暗黒騎士は始めに都市の中を探す事にしたのだ、住民に話を聞く。
暗黒卿「そこの貴様に聞く」
暗黒騎士は手始めに市場の肉解体屋に問い詰める。
肉解体職人「ひっ!こ、これはダーク卿、な、何か?ありましたか?」
肉解体職人は相当な怯えであった、何故か恐れられていた。
暗黒卿「若君を見なかったか?」
暗黒騎士は馬に乗ってる、その馬は普通では無かった、漆黒の色に染まった馬だ。
肉解体職人「い、いぇ!し、し、知りません!」
手が震える、暗黒騎士から目をそらすのであった。
暗黒騎士は住民全員に恐れられていた。感情無いゆえに子供たちからは「動く鎧」と呼ばれていた。
何故か暗黒騎士は子供達の的になっていた。
暗黒騎士が通る度に子供が寄ってくるのだ。
暗黒卿「うぬぅ、若君は何処へ行ったのだ」
暗黒騎士は途方にくれる、すると誰かが近寄ってくるのだ。
元気な少女「み〜つ〜けた!」
臆病な少年「だ、だめだよ!怒れれるよ」
二人の子供が暗黒騎士に近寄っていく、一人は渋々みたいだ。
暗黒卿「お前達か、何故?私を尾行するのだ?」
暗黒騎士は馬の足を止めて降りる、そして子供達に話しかける。
元気な少女「今日こそ!成敗よ!えぃえぃ!」
まだ幼い女の子だ、剣のオモチャっで暗黒騎士を攻撃するのであった。
臆病な少年「こ、殺されちゃうよ!」
男の子は相当な怯えであった。
暗黒騎士の行動は……。
暗黒卿「わ、私がやられるとは……ぐっ!」
暗黒騎士は少女の攻撃に合わせてあげる、暗黒卿と子供達、唯一無二の絆が出来でいたのであった。
暗黒卿「そこの少年、さぁ、お前も剣をとるのだ」
暗黒騎士は臆病な少年にもオモチャの剣で攻撃をさせようとする。
臆病な少年「で、でも勝てないよ」
男の子は剣を持って手が震えるのであった。
暗黒卿「恐れてはならぬ……勇気を持つのだ」
暗黒騎士は片膝をつき臆病な少年の目線に合わせる。
臆病な少年「う、うん!えーぃ!」
男の子は剣を暗黒騎士に向けて攻撃するのであった、続いて女の子も同時に攻撃するのであった。
暗黒騎士はわざと倒れる、子供達は。
元気な少女&臆病な少年「やったー!倒したー!」
二人は大喜びで飛び跳ねる、そして……。
元気な少女「ねぇ!パパとママに報告しなくちゃ!」
臆病な少年「うん!」
二人は走って何処かへ行ってしまう。
暗黒卿「……」
暗黒騎士は立ち上がり、子供達を目線で見届ける。
暗黒騎士、彼は何故……人間になろうとしたのか。
西暦1499年7月11日、いつの日だろうか?
私はいつの間にか「闇の騎士」と詩われた。
時が流れ「恐怖の象徴」として「暗黒騎士」と詩われた。
噂はあっと言う間にも広まった。
私は「人間」を捨てたのだ。
だが何故だ、何故、子供達は私を怖がらない、理解が出来ないのだ。
人間とは……何なのだ。
さ……ま……様、ターク様!
暗黒騎士は目を見開く、鉄仮面の奥底から青色の瞳が輝きをます。
ヴィオレッタ「ターク様!起きてください!どうしたのですか?」
女性の名前はヴィオレッタ(Violetta)っと言う。
暗黒騎士の従者だ、ローマ人である。
暗黒卿「貴様、私の名はそんな名ではない!二度と、その名で呼ぶな!」
暗黒騎士は従者に睨みつける。
昨日の市場探索で苛ついてるのか、暗黒騎士は不機嫌であった。
ヴィオレッタ「も、申し訳ありません、私はただ」
ヴィオレッタは悲しい表情で地面を見つめる。
暗黒騎士とヴィオレッタは、お互い長い軍隊関係の騎士と従者の関係であった。
暗黒卿「良いか、いくら貴様でも許さんぞ、慎め!愚か者めが!」
暗黒騎士はヴィオレッタの首を掴む、ヴィオレッタは。
ヴィオレッタ「お、お許し……くださいませ」
ヴィオレッタは苦しみながら涙を流す。
暗黒卿「分かれば良いのだ!」
暗黒騎士はヴィオレッタの首から手を離す。
暗黒卿「いくぞ!若君を探すのだ!」
暗黒騎士は自国の隅まで探すつもりでいった。
ヴィオレッタ「はい……暗黒様」
ヴィオレッタは小声であった、二人は馬で移動するのであった。
まず始めに二人は浜辺へと向う、ローマは海に近い国だ。
二人は浜辺へと到着したのであった。
ヴィオレッタ「綺麗、素敵」
ヴィオレッタは海に感動したのであった。
ヴィオレッタ「ター……!暗黒様、見てください!海です」
ヴィオレッタは微笑み、暗黒騎士に呟くのであった。
暗黒卿「ええぃ!居ないではないか、若君は何処にいるのだ!」
暗黒騎士は苛立ちを隠せないのであった。
ヴィオレッタ「暗黒様」
ヴィオレッタは悲しい表情になってしまう、すかさず馬から降りて助言するのである。
ヴィオレッタ「では一度戻り!斥候に話を聞いてみましょう!暗黒様!」
ヴィオレッタは片膝をつき、暗黒騎士に助言するのであった。
暗黒卿「チッ!良いだろう、すぐには戻るぞ!」
暗黒騎士は馬に乗り、脱兎の如く走る。
ヴィオレッタ「……」
ヴィオレッタは何処か表情が暗かったのである。
神様、どうして名を与えてくださらいの。
彼は人間なのに。
私の魂を生贄に捧げます、彼に……。
運命の日まで残り3日。
西暦1499年7月12日、昼、教皇国、暗黒騎士は斥候兵を待っていた。暗黒騎士の鉄仮面の奥から。怒りが見える。
暗黒卿「……」
ヴィオレッタ(怒りが伝わってくる)
二人は斥候兵を待ち続ける、すると前方から一人の馬に乗った兵士がやってくる。
ヴィオレッタはすかさず、斥候兵に近寄る、斥候兵を守る為だ。
ヴィオレッタ「報告をしなさい!若君は何処ですか!」
ヴィオレッタは斥候兵の馬の手綱を取る。
これは暗黒騎士と近寄らせない為だ。
斥候兵「居場所が分かりました!ヴェネツィアに行っておりました!」
斥候兵は息が荒い、休憩しないで戻ってきたらしい。
ヴィオレッタ「分かりました!行きな……」
ヴィオレッタは斥候兵の手綱を離した時だ、今度は暗黒騎士が斥候兵の手綱を取る、もの凄い力であった、馬がヨダレを垂らす。
ヴィオレッタ(そんな!いつの間に!)
ヴィオレッタは怯える。
暗黒卿「待って……貴様、軍の規律は分かっているのだろうな」
暗黒騎士は一瞬にして馬を転けさせる、斥候兵は倒れる、暗黒騎士は馬から降りるのであった。
斥候兵「お、お許しを!馬が途中でへばってしまいまして!」
斥候兵は、もの凄い怯えるのであった、手と足が震える。
暗黒卿「ほぅ?馬が」
暗黒騎士は剣を抜く、次の瞬間。
暗黒騎士は馬の首を斬り落とす。
斥候兵「ひぃぃぃ〜!!」
斥候兵は、ますます怯えるのである。
暗黒卿「規律を護れない兵士は死刑に値いする」
暗黒騎士は本気だ、暗黒騎士にとって軍は規律と秩序であるからだ。
ヴィオレッタ「……」
もはやヴィオレッタは目を反らすのであった、耐えられないのである。
斥候兵「お、お願い致します!わ、私には、か、家族がいます、妻と子が!」
斥候兵は手と足が震えながら謝罪するのであった。
暗黒卿「黙れ、貴様に挽回の権限はない!」
暗黒騎士は一瞬の隙きに斥候兵の首を斬り落とす、暗黒騎士は剣を鞘に納めて馬に乗る。
ヴィオレッタ(どうしてなの、こんな残酷な事を)
ヴィオレッタは死体から目を反らす、心の中で悲しんでるのであった。
暗黒卿「ヴィオレッタ、良いか!これが掟だ、軍のな!」
暗黒騎士はヴィオレッタを睨みつける、暗黒騎士は見抜いてた、斥候兵を自分に近寄らせない事を。
暗黒卿「貴様も軍の規律を破れば。死刑だ!」
暗黒騎士は長年従者さえも許さないのである。
ヴィオレッタ「はい、暗黒様」
ヴィオレッタは涙をこらえる。
暗黒卿「貴様は少数の兵士を集めろ!良いな!」
暗黒騎士はヴィオレッタに命令するのであった。
ヴィオレッタ「承知しました」
ヴィオレッタは馬を疾走らせた、何処か背中が寂しくも見えたのであった。
ヴィオレッタは馬を止める、号泣するのであった。
心の中で暗黒騎士が「人間」の心が残ってるっと信じてるからだ。
ヴィオレッタ「駄目、ヴィオレッタ!心を強く持つのよ!いつかターク様は」
ヴィオレッタは空を見上げる、そして馬を疾走らせる。兵舎へと急ぐ。
暗黒騎士は死体を片付けていた。
暗黒卿「軍の秩序こそ、国を強くするのだ、お前達は、それに従えば良いのだ!」
暗黒騎士は死体に話しかける、正気の沙汰ではなかった。
ヴィオレッタは兵舎に到着した、そして少数の兵士を連れて暗黒騎士の所へ戻る道中にて……。
数人の兵士たちは怯えていた、暗黒騎士に。
若い兵士「あ、暗黒様は怖いお方ですか?」
若い兵士は会うのが初であった、今年で25歳。
老いた兵士「がははは!そりゃー怖いぞぉ」
老いた兵士は笑いながら答える、今年で75歳。
熟練の兵士「心配するな。軍の規律さえ守れば。大丈夫だ」
熟練の兵士は戦に何回が出てる強者だ、今年で40歳。
ヴィオレッタ「急ぎますよ!暗黒様がお待ちですから!」
少数精兵と4人は馬を疾走らせる。
暗黒騎士と4人の物語が始まろうとしていた。
運命まで残り2日。
西暦1499年7月13日、夜、教皇国を出発してヴェネツィアを目指してる、少数部隊がいた。
5人は川沿いで休憩していた、少数と4人で焚き火を囲む。
若い兵士「暗黒様は寝ているのですか?」
若い兵士は焚き火の前に座っていた。
熟練の兵士「何故?暗黒卿は焚き火の所に来ないのだ?」
熟練の兵士は常に剣を背中に背負ってる。
老いた兵士「ゴホ!ゴホ!焚き火の火は苦手じゃなぁ〜」
老いた兵士は焚き火で蒸せたのか咳をする。
ヴィオレッタ「シッ!静かに起こしてしまいます」
ヴィオレッタは人差し指を唇に当てる。
暗黒騎士は夢を見ていた、青年の頃の夢だ。
夢の中……1484年、青年15歳。
青年「みろ!俺が強い!」
青年は木の剣で模擬戦していた。
剣術師範「し、信じられん、いったいその技術は何処で覚えた?」
剣術師範は驚くもない、大の大人10人が青年に手も足もでないからだ、世は勝てないのであった。
村人「た、大変だー!盗賊が集落を!」
村人は恐怖で顔面蒼白になって走ってきた。
青年「父さん!母さん!」
青年は脱兎の如く、集落に戻る、訓練場所から結構離れていた、この出来事が青年を人格も思考も変える。
盗賊、中には軍のはみ出し者だ、又は欲求を満たす為に盗賊になる者もいる。
集落は悲鳴の嵐であった、集落の中には男性は殺され、女性はレ◯プされ子供は奴隷として連れさられた。
青年「父さんー!母さんー!」
青年は祈った、無事でいてほしい、青年は死体から本物の剣を奪う。
青年は家の中へと入る、そこには……。
青年の父親は盗賊と戦ったのか。
父親は胸を一突きで刺されていた、残酷であった、壁に死体をハリボテされていた。
青年の母親は裸にされていた、母親はレ◯プされていたのだ、そして・・首を斬られていた。
盗賊の中には女性を目当てで盗賊になる人間もいた。
青年「……」
青年の心に闇が覆う。
すると一人の盗賊が家の中に入る、これは隠れてないかの探索だ、それは女性が隠れてないか子供が隠れてないかの探索であった。
盗賊の一味「お?ガキが残っていたか〜ハズレか〜まぁ、奴隷にいいか」
盗賊はどうやら「女」目的みたいだ。
青年「キサマか貴様が……父も母も」
青年は怒りが爆発する手前であった。
盗賊の一味「ひゃははー!馬鹿か!俺達に決ま
」
一瞬で盗賊の右腕が無くなっていた。
盗賊の一味「お、お、お、俺の腕がぁぁぁ!」
盗賊は悶絶する、倒れ込むのである。
青年「おまえは……死刑だ!」
青年は盗賊の首を跳ねる。
青年「死刑……死刑……死刑」
青年は外に出る、そして次々に盗賊を殺していく。
弱った盗賊「ひぃぃがぁ、た、助けて!」
盗賊の胸は青年の剣で一突であった。
盗賊の隊長「て、てめえか!俺の仲間をよくも!」
隊長の次の言葉が出る前に首は地面へと転がる。
すると援軍として治安部隊が到着する。
治安部隊を指揮する隊長は……。
隊長ヴィオレッタ「良いわね!生き残りを探しなさい!」
ヴィオレッタであった、当時15歳であった。
異例の若き隊長で抜擢であった。
ローマ騎士「隊長!子供を見つけました!その隊長……」
ローマ騎士は何かを言いたいのか。
隊長ヴィオレッタ「気にしなくていいのよ」
ヴィオレッタは微笑む、ヴィオレッタは子供の所に向う、その子供は。
青年「死刑……ぃ」
青年は気絶してしまう、30人の盗賊を全員殺したのであった。
ローマ斥候兵「隊長!盗賊全員が死んでいました」
ローマ斥候兵は報告するのであった。
隊長ヴィオレッタ「まさか!この青年が!」
ヴィオレッタは驚くのであった、いや恐怖を覚える。
隊長ヴィオレッタ「一旦、戻りますよ!撤退の準備をしなさい!」
ヴィオレッタは青年を担いで馬に乗せる、治安部隊は戻っていた。
暗……暗黒様、暗黒様、起きてください!
暗黒騎士は目を見開く、夢から覚めたのであった。
暗黒卿「どうしたのだ?」
暗黒騎士はヴィオレッタを睨みつける。
ヴィオレッタ「い、いえ、時間になりましたので」
ヴィオレッタは目を反らす。
暗黒卿「では、目的地に向うぞ」
暗黒騎士は立ち上がり、出発の準備を進める。
暗黒卿「ヴィオレッタ……!」
暗黒騎士は馬に乗ってヴィオレッタを睨みつける。
ヴィオレッタ「はい……暗黒……様」
ヴィオレッタは恐怖している。
暗黒卿「お前は、よく務めを果たしてる」
暗黒騎士はそう言ったと同時に馬を疾走らせた、少数精兵と4人より早く出発する。
ヴィオレッタ「暗黒様!」
ヴィオレッタは驚く、初めての褒められたのだ。
少数精兵と4人は暗黒騎士を追う。
運命の日まで残り1日。
1499年7月14日、早朝、5人はヴェネツィアを目指していた、北上していた。
すると東の方角から離れた所で狼煙が見える。
ヴィオレッタ「あれは!?狼煙!」
ヴィオレッタは遠くの狼煙の方角を見つめる。
若い兵士「何かの合図ですか?」
若い兵士も同じように見つめる。
老いた兵士「敵か、味方かのぅ?」
老いた兵士も見つめる、時より首を手で抑える。
熟練の兵士「で?どうするのだ?」
熟練の兵士はヴィオレッタを見つめる。
ヴィオレッタ「もしかして村か集落が襲われてるのよ!」
ヴィオレッタは暗黒騎士の所へ近寄る、3人もヴィオレッタに続く。
ヴィオレッタ「暗黒様、狼煙です!」
ヴィオレッタは暗黒騎士に報告するのであった。
暗黒卿「それがどうした?任務とは関係ない」
暗黒騎士は顔色一つ変えず、移動しょうとする、ヴィオレッタはそれを阻止する。
ヴィオレッタ「村、集落が襲われてるかも知れません、一度は見に!」
ヴィオレッタは狼煙の方角を見ながら指を指して暗黒騎士に訴える。
暗黒卿「黙れ!他人の死など!関係ないのだ!所詮、害虫に過ぎん!」
暗黒騎士はヴィオレッタの言葉を遮るのであった。
それを聞いたヴィオレッタは……。
ヴィオレッタ「なんですって?人間が害虫ですって……」
ヴィオレッタは暗黒騎士を睨みつける、今まで見た事もない、殺気であった。
いつの間にか恐怖から「怒り」へと変わっていた。
ヴィオレッタは握り拳にして暗黒騎士の胸を叩く。
ヴィオレッタ「あんたに」
1発目、右手の拳で胸を叩く。
ヴィオレッタ「人間の」
2発目、左手の拳で胸を叩く。
ヴィオレッタ「気持ちが」
3発目、右手の拳で胸を叩く。
ヴィオレッタ「分かるものですか!!」
ヴィオレッタは4発目、最後は強く連続で拳で胸を叩く。
ヴィオレッタの拳は血まみれになっていた、ヴィオレッタは行動にでる。
鎧を着てる暗黒騎士に素手で殴ったからだ。
ヴィオレッタ「部隊よ!私に続きなさい、これは命令よ!」
ヴィオレッタは剣を抜刀して狼煙の方角を目指す。
若い兵士&熟練の兵士&老いた兵士「了解!」
少数精兵と4人は暗黒騎士から去っていく。
暗黒卿「……」
暗黒騎士は鎧に付着した血を人差し指っで見つめる。
我の血……?違う……?我は人間ではない?
暗黒騎士の心に変化が始まろうとしていた。
熟練の兵士「なぁ!自己紹介しねぇか?今更だがな!」
微笑みなから熟練の兵士は自己紹介を推める。
若い兵士「僕はディーノ!」
若い兵士は「Dino」ディーノっと名乗った。
老いた兵士「ワシはエドアルドじゃ」
老いた兵士は「Edoardo」エドアルドっと名乗った。
熟練の兵士「俺はガイオだ!宜しくな!」
熟練の兵士は「Gaio」ガイオっと名乗った。
ヴィオレッタ「私は……」
名を名乗ろうとした時だ。
ディーノ&エドアルド&ガイオ「隊長ヴィオレッタ!」
3人の息がピッタリと合うのであった。
ヴィオレッタ「私が?隊長!?」
ヴィオレッタは戸惑う、15年ぶりに呼ばれたのだ。
ディーノ「隊長に相応しいです!暗黒卿にパンチをしたのですから!」
ディーノは微笑むのであった。
ガイオ「あれは、良いお土産になった!戻ったら、妻と子に報告だな!」
ガイオは高笑いするのであった。
エドアルド「お主は、かのジャンヌ・ダルクじゃな!」
エドアルドは「ジャンヌ・ダルク」を被せる。
4人は狼煙の場所に到着した。
ヴィオレッタは的中していた。
村が「はみ出し騎士団」に襲われていたのである。
はみ出し騎士団。騎士団から離脱して盗賊風情になった者達だ。
はみ出し騎士隊長「いいか!金品だけを奪え!後は殺せ!」
盗賊と違い騎士団は金品だけを狙う、即ちそれは皆殺しであった。
下級騎士「金品を出せ!でなければ殺す!」
下級騎士は女性に対して槍を向ける。
逃げ惑う女性「あぁ助けて!何でもしますから!」
女性は脱ごうとした時だ、エドアルドが女性を助ける。下級騎士の首を斬り落とす。
エドアルド「早く!逃げるのじゃ!」
エドアルドは女性に避難させる。
ヴィオレッタ「ディーノ!逃げ遅れた者達を!エドアルドとガイオは私に続きなさい!」
ヴィオレッタは的確な命令を下す、流石は元隊長であった。
エドアルド&ディーノ&ガイオ「了解!」
ディーノは行動にでる、他はヴィオレッタに続く。
ヴィオレッタ(私は何を恐れていたの!あんな偽物の人間の為に!)
ヴィオレッタは吹っ切れたのであった。
少数精兵と3人は次々とはみ出し騎士を倒していく、最後は騎士隊長しか残っていなかった。
はみ出し騎士隊長「よ、よくも己!許さん!」
騎士隊長は突撃する、だがヴィオレッタの敵ではない、一瞬にして騎士隊長の首が飛ぶ。
ヴィオレッタ「どいつもこいつも男は馬鹿なのよ」
ヴィオレッタは暗黒騎士と盗賊騎士を被せる。
ディーノ「ヴィオレッタ様!避難した者達は集まってます!」
ディーノは報告したのであった、少数精兵と4人は見事にやり遂げたのであった。
4人は避難民の場所に行く、するとそこに待っていたのは。
避難した者は怯える、何故なら暗黒騎士が居たからだ。
ディーノ「あ、暗黒騎士です!」
ディーノは暗黒騎士の姿を見て怯える。
ガイオ「お、おい!皆殺すのでは!?」
ガイオは戦闘態勢に入る。
エドアルド「じゃが様子がおかしいのぅ」
エドアルドは暗黒騎士の様子がおかしい事に気づく。
ヴィオレッタ「……」
少数精兵と4人は暗黒騎士に近寄る、暗黒騎士は。
暗黒卿「これは、お前達が救ったのか」
暗黒騎士は4人の方を向くのであった。
ヴィオレッタ「お前達……?」
ヴィオレッタは睨みつける、そして剣で暗黒騎士を攻撃する。
ヴィオレッタ「私達には名前があるのよ!名前で呼びなさい!」
剣で暗黒騎士の鎧を叩き込む、しかし鎧はびくともしない、暗黒騎士の鎧は特別な品であった。
ヴィオレッタ「ディーノ!」
剣で一撃目を鎧に叩き込む。
ヴィオレッタ「エドアルド!」
剣で二撃目を鎧に叩き込む。
ヴィオレッタ「ガイオ!」
剣で三撃目を鎧に叩き込む。
ヴィオレッタ「あんたは何様のつもりよ!何様の」
ヴィオレッタは怒り心頭だ、剣がもうボロボロだ。
暗黒騎士は鉄仮面を脱ぐ、初めての行動であった。
暗黒卿「我を殺せ……殺してくれ」
ヴィオレッタ「ターク……様!?」
ヴィオレッタは寸前の手前で剣を止めた。
暗黒卿「ヴィオレッタ、さぁ殺せ」
暗黒騎士は剣を捨てる、手で首を斬り落とす素振りをする。
ディーノ&エドアルド&ガイオ「……」
少数精兵と3人は見てる事しか出来なかった。
ヴィオレッタ「どうして?」
ヴィオレッタは戸惑う、初めての事だからだ。
暗黒卿「人間ではない、怪物なのだ」
暗黒騎士は憎しみ、怒り、全てが彼を変えたのだ。
すると避難した全員が。
避難した者達「お願いです!どうか黒い騎士様を許してあげてください!」
避難した全員が「黒い騎士」を庇うのであった。
暗黒卿「……!」
暗黒騎士は目をまん丸にする、驚いたのであった。
暗黒卿「これが、これが……」
ヴィオレッタ「これが人間なの!全員、ローマに戻るわよ!若君は斥候兵に任せます!」
もはや若君よりも避難民の方を優先にしたのだ、それが正しい決断とヴィオレッタは考えた。
ディーノ&エドアルド&ガイオ「了解!隊長!」
3人は微笑んでヴィオレッタに賛成した。
避難民を護る為に4人は前後左右に別れる、少数精兵が前衛に赴く。
そして暗黒騎士はヴィオレッタの横に並ぶ。
暗黒卿「ヴィオレッタ、我は引退しょうと思う、後は任せた」
暗黒騎士は引退する事に決めたのである。
ヴィオレッタ「人間になるのですね?」
ヴィオレッタは何処か寂しそうであった。
ヴィオレッタ「私は貴方を永遠に許しません」
ヴィオレッタからの信頼が消えていた、むしろ暗黒騎士の事が嫌いになっていた。
ヴィオレッタ「これでお別れです、ターク様」
ヴィオレッタは最後に名前で呼んだのであった。
暗黒卿「さらば……ヴィオレッタ」
暗黒騎士は少数精兵と4人から離脱するのであった。
ヴィオレッタ「……」
ヴィオレッタは心の中で一粒の涙を流す。
こうして暗黒騎士は「人間」へと生まれ変わる。
西暦1499年7月15日の物語へ。
過去の物語は過去へと続く事だろう。
オーディン誕生秘話。
少年のお話、これは少年が少年だった頃のお話し。
西暦1499年7月15日、海の都ヴェネツィアに母と子が暮らしていた。
ヴェネツィア。周りを海に囲まれてる都市だ、親子は二階建ての家に住んでいる。
早朝の朝だ、少年はベッドっで未だに寝ている、すると一階から足音が聞こえてくる、その足音は少年の母親だ、起こしにきたのだろう。
母「さぁ、起きなさい、朝ですよ」
少年の母親は優しく毛布をめくる、すると少年が寝ぼけてるのか、小声っで語る。
寝ぼけてる少年「暗い、門が」
少年の顔がこばむのであった、うなされてる。
母「すごい汗ね、大丈夫かしら」
少年の母親はタオルっで少年の顔の汗を拭き取る、心配になったのか、多少強引に起こす。
母「起きなさい!いつまで寝てるの?」
少年の母親は無理矢理でも起こしたのであった。
少年「わぁ~!」
少年は驚いて上半身を起こす、少年は横を見ると母親が居たのである。
少年「母上!?ビックリしました!」
少年は目をまん丸にして母を見つめる。
母「フフ、ごめんなさい、起きないから、朝食にしましょう」
少年の母親は微笑み少年のデコにキスをする。
母「いいわね、洗面所っで歯を磨くのですよ」
少年の母親はベッドから離れて一階へと降りていく。
少年「は〜い、ふぁ〜」
少年は手の平で口を押さえ、アクビをするのであった、少年はベッドから離れて一階へと降りる。
少年(そうだ!今日は母上の誕生日だ!)
少年は微笑み、心の中で呟く、脱兎の如く、洗面所へと向かっていく、歯を磨き、顔を洗ってからダイニングへと向かう。
少年の母親はキッチンっで朝食の準備をしていた。
朝食はパンにコーヒー(カプチーノ)だ。
イタリア式の朝食であった、朝食は比較簡単っで、直ぐに食べやすくしてあるのが少年の母親だ。
少年は母の所に近寄り、お皿を運ぶのを手伝う、二人は椅子に座り込む。
母「さぁ、お祈りしましょう」
少年の母親は両手を胸辺りに上げて手を合せてお祈りを始めるのである。
「いつくしみに感謝してこの食事をいただきます、 ここの用意されたものを祝福し、 わたしたちの心と体を支える糧としてください、 わたしたちの主イエス・キリストによって、 アーメン」
少年の母親はカトリックである、無論、少年もだ。
少年「アーメン」
少年は目を開けてパンをほうばるのであった。
少年「母上!美味しいです」
少年は満面の微笑みっで食べる。
母「ほら、いらっしゃい、口に着いてますよ」
少年を呼び、少年の母親は口を吹いてあげる。
少年「母上!お誕生日おめでとうございます」
少年は笑顔っで母を見つめてお祝いをするのであった。
母「まぁ!ありがとう……嬉しいわ」
少年の母親は少年を抱きしめる、強く、強く。
少年の母親は少年を切り離す。暗い顔で少年に語り始める。
母「今日はレオナルド様が貴方を向かいにきます、失礼の無いようにしなさい」
少年の母親は暗い顔から明るい顔へと変わる。
少年「えっ?誰なのですか?」
少年は不安な表情になってしまう。
母「レオナルド様は貴方の病気を治す方なのです」
少年の母親は子供が「悪魔に取り憑かれてる」
それを聞いたレオナルドは治す事が出来る。と伝えていたのである。
母「さぁ、もうお話は終わりです、支度をしなさい」
母(きっと、治るわ、きっと……)
だが少年は母親の所に戻る事が無かった。
この物語は後のレオナルドとチェーザレの物語へと語る事になるだろう。
場面は切り替わり、現代、遡る事2000年7月15日、昼、集落の村へと切り替わる。
とある集落の村に一人の大男が居た、長老の部屋に3人が集まっていた。
イーナース「ねぇ!今日は3人っでオアシスに行かない?」
イーナースはオアシスの外で食事をしたい気分っであった。
アースィマ「あたいは別にいいけど?」
アースィマは赤子を抱っこしてる、右往左往に赤子を揺らす。
オーディン「厶?我もカ?」
オーディンは半分戸惑うのであった。
イーナース「オーディン様!きっと楽しいですわ!」
イーナースはオーディンの信者なのである、神を崇拝していた。
イーナース「オアシスっでバスケット持って食べましょう!」
バスケットにパンやら果物を入れ、イーナースは時より夫婦っで子供を連れて外で食べるのであった。
アースィマ「いいねぇ〜久しぶりにそれも悪くないよ」
アースィマは赤子を見つめるながら微笑む。
オーディン「我ハ……」
オーディンは悩む、何世紀も一人で行動してたせいか集団への免疫がないのであった。
アースィマ「あ〜もう男なら!ウダウダ言うじゃないよ!情けないね!」
アースィマは苛つくのであった、男がウジウジしてる事が大嫌いなのである。
とりあえずイーナースがバスケットと飲み物を準備をして3人はオアシスへと向かうのであった、無論、赤子も一緒だ。
3人はオアシスへと到着した、始めに地面に座るシートを引く、そして3人は座り込む。
イーナース「ん〜風が気持ちいいわね!」
イーナースは余りの涼しさに微笑むのであった。
ここは砂漠だ、唯一のオアシスであり、風があるのであった。
オアシス、集落の唯一の娯楽場所であった。
アースィマ「ありがたいねぇ〜オアシス、あるのと無いのじゃ差が違うからね!」
アースィマは赤子をあやしながら微笑むのであった。
オーディン「キョウハ?ナンニチなのだ?」
オーディンは何故か日付が気になるのである。
イーナース「オーディン様、今日は11月15日でございます」
イーナースはオーディンに対して「敬語」であった。
アースィマ「はん!日付も分からないのかい!」
アースィマは苦笑いしてオーディンに呆れる。
オーディン「15日……うっ!頭痛ガ!」
オーディンは何故かものすごい頭痛に襲われる。
少年の幻影。母上!お誕生日おめでとうございます。
母の幻影。まぁ!、ありがとう……嬉しわ。
オーディン「ウグァァ! 我は?僕ハ!?」
オーディンは立ち上がりオアシスの奥へと消えて行く。
アースィマ「ちょ、何処に?行くんだい!」
アースィマも立ち上がり、オーディンの後を追いかける。
イ
ーナース「オーディン様!?様子が……」
イーナースもアースィマの後を追いかける。
オーディン「我ハ?ボク?ち……チガウ!」
オーディンは何故か錯乱していた、まるで二重人格のように時折、誰かと入れ替わる。
オアシスの奥に湖が湧いていた、それも砂漠では貴重であり、数少ない人しか知らない。
アースィマとイーナースお互い合流して、オーディンの歩いた道を辿る、すると草花の奥から声が聞こえてくる。
少年の声「母上?何処にいるのですか?何故、迎えに来てくれないのですか」
少年の声「明日、友達と遊ぶ約束してるのに」
アースィマとイーナースは混乱する、このオアシスは集落の子供さえも知らないのに何故?子供がいるのか。
アースィマ「子供が?ここに放っておけないね!」
イーナース「あ!待って……アースィマ!」
アースィマは飛び出す、続いてイーナースも飛び出す、アースィマとイーナースは驚愕した、そこに居たのは。
オーディン「母上?何時まで待てば宜しいのでしょうか?」
少年の声の正体はオーディンだった、それを見た二人は。
アースィマ「イーナースこれって、これって」
イーナース「えぇ、分かるわ、言わなくても」
二人が見たのはまるでオーディンが子供のように湖の砂で遊んでいたからだ。
オーディン「あっ!母上!こっちです!」
オーディンはイーナースを呼ぶのであった。
イーナース「えっ?」
イーナースは一瞬頭が真っ白になったが、頭を切り替える、イーナースは理解の早い人間だ。
イーナース「そこに居たのね、駄目でしょう「母」から離れちゃ」
イーナースはゆっくり歩いてオーディンと遊ぶのである、いや「息子」とだ。
アースィマ「く〜イーナース〜あたいは耐えられないよ、任せたからね!」
アースィマは耐えられないのであった「憂鬱」になるからだ。
オーディン少年「母上!お誕生日おめでとうございます」
オーディンは微笑みながら砂でお城を作るのであった、イーナースは。
イーナース「ありがど、ヒック、うぅ」
イーナースは限界っであった、涙をこらえていたが。遂には号泣してしまった。
オーディン少年「母上!?大丈夫ですか?痛いのですか!?」
オーディンはもはや魂が少年へと戻っていたのである、だが魂は錯乱してるのか、イーナースを母親と認知してる。
イーナース「ううん、痛くないの」
イーナースはこらえる、どうして、こんな残酷な事が出来るのか、イーナースは心の中で呟くしかないのである。
アースィマ「何やってるだい!砂でお城を建てるだろ!アタイも手伝うさね!」
アースィマはすかさず、手を差し伸べる、2人は分かっていた、オーディンの秘密を。
それは長老から聞かされていたからだ。
オーディン少年「ありがとう!おばさん!」
オーディンはアースィマを親戚と認知する。
不思議な光景が広がる、大人2人と子供の風景だ。
母親の誕生日、少年は心が戻る。
長老の言葉は正しかったのだ、アースィマとイーナースは始めて少年と出会った……。
この物語は赤子、記録一歳児へ続く。
少年の母の物語(AURA)アウラ。
これは少年の母親が困難に立ち向かう物語である。
西暦1499年7月10日、ヴェネツィアに二人の親子が住んでいた、ヴェネツィア、海の都とも呼ばれてる都市だ。
2階建ての家に母と子で住んでる家族が居た。
普段の家庭と変わらい何処にも居る、家族だ。
少年の母親の名は「アウラ」と言う名前である。
夫は騎士団の隊長であった。騎士の務めで留守が多い。
アウラは熱烈な神を崇める信者だ、神がいれば「悪魔」も存在すると信じる者であった。
周りの者は変わり者だと思われてる。
だが母親だけが見抜いてた、子供が「悪魔」に取り憑かれた事を。
これは西暦1499年7月15日まで戦った、母と「謎の影」との戦いの記録である。
西暦1499年7月10日、時刻は、もう夜だ。
アウラはロウソクの松明を持ち、我が子を寝かせる為に子供部屋の扉を開けようとした時だ。
ふっと声が聴こえる、アウラは耳を扉に当てて集中する。
少年「ねぇ?どうして?僕なの?」
謎の影
少年「僕は?選ばれたの?」
謎の影
アウラ「誰と!お話ししてるのですか!」
アウラは扉を素早く開ける、アウラは不安になったのであった。
少年「母上!ビックリしました」
少年はまだ歳は10才ぐらいだ、少年は驚いてしまう、目をまん丸にする。
アウラ「母は聞いてるのですよ!誰とお話しをしていたのですか!」
アウラは我が子の肩を両手で掴み、優しく子供を揺らす、アウラの表情は不安な顔なってる。
少年「母上!これは独り言です」
少年は不安な母に対して冷静であった。
アウラ「本当に?誰とも?話してないのですね?」
アウラは子供の目線に合わせて膝を曲げて質問を繰り返す。
少年「母上〜友達と遊ぶ事を考えてたのです」
少年は笑顔で母を安心させるのであった。
アウラ「そうですか、もう遅いから寝なさい」
アウラは不安から安心へと変わった、表情も普通になっていた、子供のデコにキスをする。
アウラはロウソクを消す。
この家族は変わっていた、親子でありながら「敬語」を使うのであった。
アウラは一階へ降りる、そして自分の部屋に戻り、十字架が飾ってある、床に座り込み、お祈りを始める。
アウラ「どうか神様お救いくださいませ、我が子を、我が子を」
気づけば3時間は経つだろうか、アウラはいつの間にか眠っていた。
少年はトイレの為に起きたのか一階へと降りる、アクビをしながら、ふらりゆらり移動する。
少年「母上?寝てるのですか?」
少年は母の部屋を覗く、少年は近寄り、母に毛布を被せる、ロウソクの火を息で消す。
少年「母上、おやすみなさい」
少年は母のデコにキスをする。
少年は優しい性格の持ち主だ、心が純粋で人を傷付ける事をしない少年であった。
西暦1499年7月15日まで残り4日。
少年の母の物語(AURA)アウラ。
西暦1499年7月11日。日付が変わり、ヴェネツィア。
早朝、少年は目が覚めて一階へと降りる、まず始めに洗面所へと向かって母親の部屋へ向かう。
少年「母上?」
少年は母の部屋をノックして入る、だが母の姿は見えない、少年は隈なく探すが何処に見当たらない。
次はダイニングへと向かう、少年はふっとテーブルを見ると一切れの紙が置いてあった。
母より。教会へ行ってまいります、朝食は置いておきます、食べる前にお祈りを。
少年はお祈りを捧げて朝食を食べる。
アウラはサン・マルコ寺院に向うべく、ヴェネト州へ移動する、サン・マルコ寺院はヴェネツィアでもっとも有名な大聖堂であった。
アウラは途中で住民に声をかけられた。
住民「ボンジョルノ〜良い一日を!」
住民はアウラに挨拶をするのであった。
アウラ「ボンジョルノ、良い一日を」
アウラも微笑んで挨拶を返すのであった。
アウラは移動中に鍛冶屋が目に止まる。
鍛冶屋「やぁ!アウラ、ボンジョルノ!どうだい?息子に剣は?」
鍛冶屋は剣を持ってアウラに薦める、どうやら鍛冶屋とアウラは知り合いのようだ。
アウラ「クスッ、ボンジョルノ、まだあの子に早いですよ」
アウラは微笑んで断ったのであった、アウラはサン・マルコ寺院を目指すのであった。
アウラは1時間かけて、ようやくサン・マルコ寺院へと到着したのであった、アウラは中へ入る。
サン・マルコ寺院、中の天井は広大で周りに豪華絢爛である、装飾品、装飾画、そして黄金の教会とも呼ばれてるのであった。
無論、神々が居座る、奥には神を祀る「主祭壇」がある。
アウラ「さぁ。お祈りしましょう」
アウラ「どうか我が子をお救いくださいませ」
アウラは座り込みお祈りを始める、すると後ろから誰かが近寄ってくる。
謎の貴族「ふん、くだらん!神に祈って子供が救えると思ってるのか?神など居ないのだ!」
謎の貴族はアウラに近寄って声を張る。
アウラは立ち上がり、謎の貴族に目線を向けるのである、そして睨み付ける。
アウラ「何方様は知りませんが、神を侮辱は許しません!」
アウラはものすごい剣幕で謎の貴族を睨み付けて怒りを顕にする。
謎の貴族「世はチェーザレ・ボルジアだ」
チェーザレ・ボルジア。歳は23歳で格好は上着はダブレットで下半身は男性用のストッキングだ、羽根の付いた帽子が特徴的である。
そしてボルジア家のマントを羽織る、15世紀の服装だ。
チェーザレ「俺に睨みつけるとは良い度胸だ、お前の名は何だ?」
チェーザレは軽く眉間にしわを寄せ威風堂々たる姿で女性に名前を聞く。
アウラ「アウラと申します、チェーザレ様」
アウラは急に言葉使いが変わったのであった。
チェーザレ(ほぅ、世を知ってるか)
チェーザレは心の中で呟く、そしてアウラに近寄って耳打ちするのであった。
チェーザレ「世は神も悪魔も信じぬ、信じるのは己の力のみよ、神など人間が作った創造なのだ」
アウラの耳元で「神」を侮辱するのであった。
それを耳元で聞かされたアウラは。
アウラ「離れてください!無礼者!」
アウラは怒った顔でチェーザレを両手で吹き飛ばす、声が教会内に響き渡る。
チェーザレ「神こそが我々に」
次の言葉を発する前にチェーザレの周りに人が集まってきたのであった。
チェーザレ(チッ!今日は退散するか)
チェーザレは群がる群衆から脱出するのであった。
続いて群衆はアウラを睨みつける「お祈り」を邪魔された群衆はアウラに敵意を見せる。
アウラ「貴方様と貴女様に神の祝福があらんことを」
アウラは群衆から離脱するのであった、そして教会を出る。すると外に居たのは。
少年「母上!」
少年は大声を出して母に近寄っていく。
アウラ「まぁ!来てくれたのですね」
アウラは子供を抱きしめる、力強く。
少年「母上……苦しいです」
少年は微笑んだ後に苦笑いするのである。
アウラ「さぁ買い物をして帰りましょう、昼はカルパッチョにしましょう」
カルパッチョ。魚介類や牛肉を薄切りにして料理するヴェネツィアならではの料理だ。
少年「はい!母上!」
少年はカルパッチョが大好物のであった。
二人は手を繋ぎ市場へと向かう。
少年「父上はいつ頃戻ってこれそうですか?」
少年は寂しい表情で母を見つめる。
アウラ「そうですね、お仕事が忙しいですから」
子供の手を繋ぎながら子供の顔を見て微笑む。
少年「また3人で砂で城を作りたいです」
少年は母の顔を見て微笑む。
アウラ「えぇ、そうですね、城を作りましょう」
2人は会話をしながら買い物をして昼を過ごすのであった、少年は外に遊びに行く。
夜はお互いに「家族」の時間を大切に過ごすのであった、少年、アウラ、チェーザレ、運命の歯車が動きだす。
西暦1499年7月15日まで残り3日。
少年の母の物語(AURA)アウラ。
西暦1499年7月12日、ヴェネツィア、時刻は昼をすぎようとしていた、ヴェネツィアから離れた場所に一人の男性がいたのであった。
チェーザレ「遅い、何時まで待たせるのだ」
チェーザレ・ボルジアであった、チェーザレは誰かを待ってるのか、落ち着きがない、すると前方からローマ兵の伝令兵が近寄ってくるのであった。
ローマからヴェネツィアまで到着は馬を疾駆らせても2日はかかるだろう。
ローマ伝令兵「チェーザレ様!も、申し訳ありません、遅くなりました」
ローマ伝令兵は馬から降りて片膝をつく。
チェーザレ「そんな事はどうでも良い!それよりもレオナルドは何か言っていたか?」
レオナルド、レオナルド・ダ・ヴィンチの事であった。
ローマ伝令兵「ハッ!事を大きくしてはならぬ!穏便に済ませるのだ。との事です」
ローマ伝令兵はレオナルドのありのまま伝えたのである。
チェーザレ「何を言うか!なら、どうしろっと言うのだ!あの親が子供を手放す訳なかろうが!」
チェーザレは苛ついてた。
ローマ伝令兵「どの家庭もそうだと思いますが」
ローマ伝令兵はボソリと呟く。
チェーザレ「何か聞こえたぞ?」
チェーザレは睨みつけつける。
ローマ伝令兵「な、何もありません!」
片膝をついたまま頭を地面に向ける、冷や汗がでる。
チェーザレ「もう一度!レオナルドに助言を聞いてこい!急げ!」
チェーザレは手でローマ伝令兵を追い払う。
ローマ伝令兵「ハッ!チェーザレ様!」
ローマ伝令兵は馬にまたがり去っていくのであった。
時刻は夜になり、夜のヴェネツィアは美しくもあった、家のロウソクと外のランタンで海は輝くのであった、アウラ家では。
少年「母上、何だか眠たいです」
少年は目をこする、自分の部屋へと戻る。
アウラ「なら一緒に行きましょう」
アウラは子供の手を繋いで二階へと上がる、少年はベットに入る。
少年「母上、寝るまで居てください」
少年は母を引き止める、まるで不安に襲われてるみたいだ。
アウラ「まぁ甘え坊さんね」
アウラはクスッと微笑むのであった、そして子供の髪を撫でる。
少年「父上も……母上も……大好きです」
少年は何故か急速に寝てしまった。
アウラ「おやすみ、私も愛してますよ」
アウラは息子のデコに軽くキスをする。
西暦1499年7月15日まで残り2日。
少年の母の物語(AURA)アウラ。
少年は夢を視ていた、少年には見た事もない、風景だ。
空までそびえ立つ建物だったり、建物には窓が沢山あるのだ、そして馬車よりも鉄の乗り物が走っていた。
空を見上げると鉄の乗り物が空を飛んでる、巨大だ、少年は怯える。
夢の中の少年「母上ー!母上ー!」
すると声が聞こえる。
謎の声「何故……怯える」
謎の声はまるで近くに居るかのように聞こえてくる。
夢の中の少年「こ、わいよ……帰りたい」
少年は丸まってしまう、まるでお腹の中の赤ちゃんのように。
謎の声「お前は永遠の命を得るのだ」
だんだんと声が近寄ってくるのである。
夢の中の少年「そ、そんなのいらない!父上と母上に会いたい!」
少年は立ち上がる、すると……。
謎の影「では?何故、我を呼んだ?お前の母親は我を呼んだのだ」
謎の影はだんだんと姿が視えてくるのであった。
我が名は……。
我こそは、オーディンなり!
少年「うわー!」
少年はビックリして起き上がる、すると汗がびっしょりになっていた、周りを見ると。
アウラ「あぁー!私の可愛い天使!戻ってきてくれたのね!」
アウラは息子を抱きしめる、強く。
少年「母上!母上、お祈りは止めてください!」
少年は母から離れる、すると母親は。
アウラ「何を言ってるのですか!神を蔑ろにできないのですよ!」
アウラはいきなり怒りだした。
少年「母上!神も悪魔もいないです!」
少年は、どうにかして母からオーディンを遠さげようとする。
アウラ「あぁぁ!遂に悪魔に取り憑かれたのですね!待ってなさい」
アウラは直ぐに行動に出たのである、外に飛び出して。教会に向う。
日付は7月13日の夕方になっていた。
少年(母……上)
少年は一粒の涙が溢れ落ちる。
運命まで残り2日。
少年の母の物語(AURA)アウラ。
西暦1499年7月14日、早朝、アウラは昨日の夜から家に帰らないで教会の外でお祈りをしていた。
アウラの神様に対しての執着は、もはや正気の沙汰では無かった。
子供を護る為なら命も惜しくないのだ、すると一人の男性が近寄ってくる。
謎の男性「お力をお貸し致しましょう」
謎の男性はアウラに声をかけるのであった。
アウラ「えっ?貴方様は?」
アウラはもはや限界に来ていた。
謎の男性「私はエクソシストです、取り憑いた悪魔を悪魔祓いできるのです」
謎の男性は(exorcist)エクソシストと名乗った。
エクソシスト、悪魔を祓う者である。
アウラ「あぁ!神様、声が届いたのですね、感謝を致しま」
アウラはいきなり倒れ込む、もはや意識がないのであった。
謎のエクソシスト(何て言う、母親だ、これが子を持つ女性の力か)
謎のエクソシストはアウラをお姫様抱っこして近くの民家に入る、そして寝かせる。
数時間後、アウラは目を覚ます。
アウラ「こ、ここは?」
アウラは周りを見る、すると先程の男性が立っていた。
謎のエクソシスト「目を覚ましましたか、安心しました」
悪魔祓い者はアウラを見て微笑む。
アウラ「本当に!悪魔を取り憑かれた子供を元に戻せるのですか!?」
アウラは座り込み、悪魔祓い者を崇める。
謎のエクソシスト「えぇ、えぇ、信じてください、貴方は一旦家に戻るのです」
悪魔祓い者は言葉を続ける、説明するのであった。
謎のエクソシスト「明日、15日の夕方に、お子様を向いに行きます、私の師匠と協力して悪魔を退治致します」
アウラ「あぁ神様!感謝致します、神様!感謝を致します」
アウラは涙がでる、感謝してもしきれないのであった。
謎のエクソシスト「では戻りなさい、お子様が待ってる事でしょう」
悪魔祓い者はアウラを立たせる。
アウラ「あの師匠様のお名前は?」
アウラは失礼ないように名前を聞く。
謎のエクソシスト「えぇ、教え致しましょう、我が師匠は「ルド」っと言います」
悪魔祓い者は微笑む。
アウラ「ではルド様に伝えてくださいませ、本当に心から神に感謝致しますと」
アウラは両手を握って神に祈る、いやルドにだ。
アウラ「では私は帰ります、子供が待っておりますので」
アウラは微笑む、ようやく生気を取り戻す。
謎のエクソシスト「ではでは、お気をつけ帰りなさい」
悪魔祓い者は微笑む、アウラは民家を出で自分の家に帰宅するのであった。
謎のエクソシスト「ふん!さすがはレオナルドだ!」
悪魔祓い者はカツラと髭を捨てるのであった、その正体は。
チェーザレ「ふはっは!こうも上手くいくとはな!」
正体はチェーザレであった、不気味に笑う。
時刻は夜になっていた、アウラは家に入る。
少年「母上ー!!」
少年は母に抱きつく強く。
アウラ「本当にごめんなさい」
アウラは涙を流す、強く抱きしめるのであった。
少年「母上!ごめんなさい、神様を侮辱して」
少年は母の胸の中で涙を流す、母は強く抱きしめてる。
少年「母上、ずっーと一緒にいます」
少年はある決心をした、決して「心」をオーディンに渡さないと。
僕は絶対に負けない、オーディン。
僕は僕なんだ!僕は……(Balbo)バルボだ!
ヴェネツィア人の血を引き継ぐ者だ!
バルボ「母上!夕食を食べたいです!」
バルボは母親の手を握る強く。
西暦1499年7月15日のオーディン誕生秘話へ……。
レオナルドとチェザーレの物語。
物語は西暦1504年8月8日から始まる、これはレオナルド・ダ・ヴィンチとチェザーレ・ボルジアの物語である。
レオナルドはチェザーレの軍事技術者としてイタリアに滞在していた。
真夜で工房の中で何やら秘密裏っでレオナルドは作業をしていたのである、壁の松明が光輝く。
レオナルド「ようやく、完成だ、これで救われる魂も出てこよう」
レオナルド・ダ・ヴィンチ、彼は今年で51歳である、すると工房の入り口から何者かが入ってくる。
チェザーレ「遂に完成したのか、レオナルド!」
入り口から入ってきたのはチェザーレ・ボルジアであった、彼は今年で28歳である。
チェザーレ「これで人類が救われるなら、良いが」
チェザーレは例の完成した物を見つめながら神妙な顔になる。
レオナルド「大丈夫だろう、被験者004は私の傑作だ!」
レオナルドは被験者を完成させていたのであった。
レオナルドは被験者の顔を自分の両手っで包みこむ。
チェザーレ「本当にオーディンの魂が入ってるのか?」
(※オーディン。フリースラント人やサクソン人の神である。そして北欧神話の神である)
レオナルド「急ぐのだ!既に被験者007は完成してる!」
レオナルドは何やら急いでいたのである、被験者004を鉄で仕上げてる棺桶みたいな物で隠す。
チェザーレ「分かった、既に手配はしてある、急ごう」
チェザーレとレオナルドは被験者004を二人で担いで移動するのである。
レオナルドは担ぎながらチェザーレに語る。
レオナルド「覚醒する事を祈ろう」
チェザーレ「例の物は入れたのか?」
チェザーレはレオナルドに問いかけるのである。
レオナルド「心配はいらぬ、私に抜かりはないのだ」
レオナルドは神妙な表情で答えるのである。
すると前方に2人の兵士がやってくるのである、松明を片手に持ってる。
若い兵士「お待ちしておりました、準備は万全です」
若い兵士はチェザーレの兵士であった。
チェザーレ「尾行されてないだろうな?」
チェザーレは兵士2名を睨みつけるのであった。
冷静な兵士「尾行はありません、ご安心を」
一人の兵士が答えるのである、そしてチェザーレとレオナルドの代わり兵士2名が持ち運ぶ。
レオナルド「小舟っで運ぶ、その後は連中に渡す」
レオナルドは松明を照らしながらチェザーレに話しかけるのである。
チェザーレ「よいだろう、その作戦でいこう」
チェザーレは表情が何やら硬い、失敗すれば「死」だからだ。
レオナルド「お主の師匠は邪魔をしないであろうな?」
レオナルドはチェザーレの「師匠」が気になっていた。
チェザーレ「もはや師匠ではないさ、奴は逃げたのだ、国を……私さえも」
チェザーレは怒りを、あらわにするのであった。
レオナルド「まぁ、邪魔者が消えた事に変わりはない」
レオナルドは安堵していた、この計画は長年計画してきたからだ。
チェザーレ「そろそろ、目的地の川沿だ」
チェザーレは足の徒歩が早くなる、レオナルドが続いて2名の兵士も続く。
そこに小舟が待機していたのであった。
レオナルド「小舟に積むのだ」
レオナルドは兵士2名に命令を下す。
兵士2名「はっ、直ちに!」
兵士2名は小舟に鉄の棺桶を積むのであった。
チェザーレ「では撤退するぞ」
チェザーレは撤退命令を下すのである。
若い兵士「し、しかし?小舟は漕ぐ者が」
チェザーレ「よいのだ、連中の仲間が向かってきてるのだ」
チェザーレは手で合図して撤退するのである、4人はその場を離れる、すると1隻の小舟が鉄の棺桶を積んでる小舟に近寄る。
そして一人が乗り込むのであった、2隻の小舟は暗闇へと消えていくのであった。
チェザーレ「今のが!?」
チェザーレは立ち止まり暗闇の中で目で追うとしたが流石に無理っであった。
レオナルド「何、心配する事はない、成功したのだ、我々は偉業をなしたのだ」
2人は川沿いを暗闇の川沿いの遠く見つめるのであった。
被験者004と被験者007の物語。
西暦1510年……月……日、第一研究所、ここに2体の被験者が研究所にいたのである。
被験者004は男性型であり、被験者007は女性型であった、研究所の中は個別に部屋が別れていた。
現代ではあり得ない程の技術が使われていた、研究者はたったの5名である。
一人の少女が個室に入っていく。
少女が入っていた部屋の横にはプレートで「004」と書いていたのである。
少女は忍び足でのらりくらり、ゆっくり歩く、その先にはベッドで誰かが寝ている。
少女「そ~と、そ~と……わっ!」
少女は寝てる少年に対して大声を張るのであった。
少年「わー!!」
少年はびっくりしてベッドから跳び跳ねる、一瞬にして鳥肌が立つ。
少年「びっくりした~007、やめてよ!」
少年は目をまん丸にして驚いた表情で少女を「007」と呼んだ。
007「ねぇ!今日は一緒に遊ぶって言ったでしょ!」
007は両手を膝に当てて呆れ顔で少年を見つめる。
007「004はいつも寝てるんだから太るよ、太るよ、おねぇちゃんは知らないだからね!」
007は少年の事を「004」と呼んだ。
先に作られたのは004の方だが何故か007の方が年上になっていた。
004「何で太るを二回も言うの?一回でいいよね!?」
004と007は仲良しであった、家族同然なのかも知れない。
007「ねぇねぇ!004見て本を手にいれたよ、一緒に読もう!」
007は微笑んで背中の腰に隠してた本を両手を使って本を004に見せつけるのであった。
004「これ!神々の名前が載ってる本だね!」
004は驚いた表情っで目を輝きさせながら本に視線を向ける。
007「わたし!この本に登場する神様の物語が大好きよ!」
二人はベッドに座って読み始めるのであった。
すると一人の研究員が入ってくるのである。
研究員「こい、7よ、実験を始めるぞ!」
研究員は007の手を引っ張るのである。
007「わ、わかったから痛い!ひっぱらないで!」
007は多少痛がるのであった、顔を引きずる。
研究員「次こそは成果をだせ!」
研究員は何故か慌ててるのであった、多少怯えてるようにもみえる。
007「004またね!先に読んじゃだめよ!」
007は手を振るのであった、研究員と007は部屋を後にする、004だけが取り残されるのである。
すると声が聞こえてくる。
殺せ……殺す……のだ。
004「だ、だれ!?」
004は立ち上がり本を落としてしまう。
すると本のページが開き神話の人物、オーディンが描かれていた。
004「こ、この人物は?」
004は本を掴む、004は動かなくなる、次の瞬間。
我は我はオーディンなり。
004「わ……われはオー……デ」
004はいつの間にか白目になっていた。
(※白目。強膜とも言う、眼球の形を保つ役割)
そして徐々に白目から眼球の瞳の色が赤色へと染まっていく、そして。
覚醒オーディン「我ハ神ノツカイなり邪悪な魂をカンジル」
被験者004はオーディンに覚醒していた。
オーディンは部屋から出るのであった。
若い研究員「貴様!部屋へ戻れ!」
若い研究員は武器を構える。
覚醒オーディン「オマエは何者だ?この時代にイルハズモナイ魂ヨ」
オーディンは一瞬の隙をついて研究員を殺すのであった、オーディンの力は遥かに人間の力を超えていた。
一発のパンチっで壁さえも破壊を出来るようになっていた。
子供の力を遥かに凌駕していた。
オーディンは研究所の奥へと進む、扉を破壊する、そこに居たのは。
007「あ!004、どうして、ここに来たの?」
少女は近寄る、だが違和感に気づくのである。
覚醒オーディン「キサマか?邪悪な者ハ、消滅サセル」
オーディンは007の首を掴んで絞め殺そうとするのである。
007「やめ……て0、4……ぐるじぃ」
007は一粒の涙を零す、それがオーディンの手にへと落ちる。
覚醒オーディン?「07!僕から離れるだ!」
オーディンは007を投げ飛ばす、そして隔離されたゲージへと007を閉じ込めさせる。
007「004!ねぇ、どうして、こ、こんな事を」
007は涙を流し号泣するのであった、施設内の人間、実験体、動物はオーディンに無惨にも殺されていた。
オーディンは施設の外へと出る、そして。
覚醒オーディン「我はオーディン、全ての邪悪な者ハ消滅サセルノダ」
こうしてオーディンは覚醒した。
意志を継ぐ者たち。
遡る事、現代2005年7月9日、夜、これはオーディンがサーニャと出会う、前日の物語である。
カリフォルニア州北部、サンフランシスコから離れた場所にオーディンはアースィマとイーナースに会っていった。
二人の女性は神妙な表情っでオーディンを見つめる。
オーディン「待たせタナ、フタリ共」
オーディンは全身にロングフードを被ってる。
イーナース「オーディン様」
イーナースは熱烈なオーディンの信者だ、悲しい表情になる。
アースィマ「何の用事だい!あたいらは忙しいって言うのに!」
アースィマは多少怒ってる、腕を組むのであった。
オーディン「我ガ、プレゼントしたバイクはドウダ?」
オーディンは二人の為にバイクをプレゼントしていたのであった。
イーナース「はい、オーディン様!素晴らしいバイクですわ!」
イーナースは余程嬉しいのか手を胸に当てる、満面な微笑みだ。
アースィマ「あんな、バイクどこで手に入れたのさ?」
アースィマは疑問に思うのであった、バイクは白色統一された珍しいバイクっであった。
オーディン「それは神のみ知ルノダ、アースィマよ」
オーディンは微笑むのであった、そして神妙な表情になる。
オーディン「実ハ、お前達、二人にプレゼントがあるノダ」
オーディンは微笑みながら両手を出して二人に差し出す、手の平を開く。
イーナース「オーディン様?」
イーナースは手を掴もうとした時だった、アースィマが阻止する。
アースィマ「いきなり、あたいらの前から消えて!今度は何をするつもりだい!」
アースィマは怒り心頭っであった。
オーディン「アースィマ、イーナース」
オーディンは仕方なく強引に2人の手を掴むのであった。
イーナース「オーディン様!」
アースィマ「や、やめろ!」
アースィマとイーナースは困惑するのであった、まさかの強引さに戸惑う。
オーディン「お前達、目を閉ジルノダ!」
オーディンは大声で伝えるのである。
イーナースとアースィマは渋々に目を閉じる、すると。
オーディン「いいぞ……目をアケロ」
オーディンは二人の手を離すのであった。
二人は目を見開く、そこに広がっていたのは。
「グランドキャニオン」っであった。
座標はアリゾナ州の北部、コロラド川に添って約446kmも及ぶ壮大な峡谷である、その距離277マイルである。
イーナース「まぁ!何て星空が綺麗なの」
イーナースは感動で涙が溢れ出したのである。
アースィマ「こ、これって……!?」
アースィマも感動したのか、一粒の涙を零すのであった。
時刻は夜、無数の星空が3人を神秘的に照らす。
二人は「乙女」へと戻っていた。
オーディン「我ガ弟子達ヨ、地球を頼むぞ」
オーディンは大きな手の平で2人の頭を包み込む。
アースィマ「や、やめな!髪が崩れるだろ!」
アースィマはオーディンにパンチするのであった、だが力が入ってない。
イーナース「オーディン様?」
イーナースだけが察した。
オーディン「……」
オーディンは2人から距離を置いて離れる。
オーディン「我の活動時間ガ少ナイ」
オーディンは残りの「寿命」を二人に伝えたのである。
イーナース「い、いやぁー!」
イーナースはオーディンに抱きつく。
アースィマ「イーナース!?」
アースィマは驚く、あのイーナースが心を乱れてる。っと。
イーナース「ど、どうしてですか!神様なのに!」
イーナースは一旦離れる、まるで子供に戻ったみたいに大量の涙を流す。
オーディン「イーナース、全テニハ、生命の寿命ガあるノダ」
オーディンは優しくイーナースの頭を撫でる。
アースィマ「なら何故!あたいらを呼んだ、黙って死ねばいいのに!」
アースィマは怒り心頭っであった、だが涙を流してる。
オーディン「人間ノ素晴ラシサ、それを知ったノダ、2人に会っテ」
オーディンは本音を伝える。
オーディン「連中ハ違う!生命ヲもて遊び!実験にスル!止めなければイケナイノダ!」
オーディンは何世紀も戦ってきたのである。
イーナース「オーディン様」
イーナースは涙が枯れていた。
アースィマ「オーディン……」
アースィマも涙が枯れていた。
オーディン「タノムゾ、我が弟子達」
オーディンは最後の力を出し切り、門を開く、その先に見えていたのは。
カリフォルニア州北部、サンフランシスコであった、オーディンは2人の手を掴み、門へと飛ばすのであった。
イーナース「オーディン様ー!」
アースィマ「オーディンー!」
2人は目を見開く、そこはカリフォルニア州北部のサンフランシスコへと元の場所へと戻っていた、バイクが2人を出迎える。
イーナース「オーディン様」
イーナースは膝から崩れて座り込む、放心状態だ。
アースィマ「イーナース!立ちな!行くよ!」
アースィマはイーナースを叩き起すのである。
イーナース「アースィマ!?」
イーナースは手をとり立ち上がる。
アースィマ「連中を倒すんだよ!師匠が言ってたろ、人をもて遊ぶって!」
イーナース「えぇ、そうよ……私達で止めるの!」
イーナースは奮い立つのであった。
こうして二人は「意志」を受け継ぐ事にしたのである、場面はグランドキャニオンへと戻る。
女神マリア。オーディン、力を使いましたね。
女神マリア。何て愚行を!
オーディン。我は我なり、我が名は……。
2人の女戦士。
2005年7月12日、深夜、カリフォルニア州北部、サンフランシスコにて。
道路に2人の大男が立っていた、だが異様な者だ。
大男の弟「げへ〜兄きぃ〜みてみな〜俺達の獲物がこんなに沢山いるぜ〜」
大男の弟は不気味っであった、右腕だけ武器と一体になっていた、身重は雄に2メートルは超えるだろう。
大男「俺達の〜獲物〜♪お・い・し・く・ち・ょ・だい〜♪」
大男は何故かムーンウォークをするのであった、彼も左腕が武器と一体になっていた、身重は雄に3メートル級だろう。
すると遠くからバイクの雑音が聴こえてくる、みるみる大男達の2人に近づいてくる。
どうやら巨大な2台のバイクが近づいてくるのであった。
大男の弟「ひゃーは、兄きぃ、獲物きたぜー!」
大男の弟は飛び跳ねる、右腕に備わってる武器を構える。
大男「いざ♪い・た・だ・き・ま・ず♪」
大男は何故か「日本語」を使う、またしてムーンウォークをする。
バイクはもの凄いスピードっで2人に向かって大ジャンプするのであった、そして次の瞬間。
大男の弟「へ?」
大男の弟は一瞬っで首と胴体が離れる、大男の弟の首が転げ落ちる。
大男「ば、ばかなぁー!」
大男は顔面蒼白っであった、一瞬の隙で理解さえも出来てない、そして次の瞬間……。
大男「な?!」
大男は己の胴体を見つめていた、一瞬の隙に頭が転げ落ちる。
するとバイクに乗ってる一人の者が降りて特殊な油を撒く、ライターっで引火させる。
二人の大男の死体はみるみる燃える。
どうやら女性だ、2人組のライダーだ。
ヘルメット被ってる謎の女性「急ぎな!」
待機してるライダーが急かすのであった。
2人はバイクっで、その場を離れる。
強気な女性ライダー「しっかりと燃やしただろうね!イーナース!」
強気な女性ライダーは、もう一人の女性に対して「イーナース」と呼んだ。
イーナース「えぇ燃やしたわ、それよりもアースィマ、速いわよ!」
イーナースは、もう一人の女性に対して「アースィマ」と呼んだ。
アースィマ「何言ってるんだい!師匠が言ってただろ!短期決戦こそ勝敗を分けるって」
2人は並んでヘルメットのフェイスシールドを開いて越しに会話を進める。
イーナース「師匠の……気配が」
イーナースは悲しい表情だ、ヘルメット越しでも分かるぐらいだ。
アースィマ「どうやら最期を迎えたみたいだねぇ」
アースィマは何故か一点を見つめてる。
アースィマ「イーナース!悲しんでる暇はないよ!あたいらで!意志を引き継ぐんだ!」
アースィマはイーナースの方を向いて活をいれる。
イーナース「えぇ!そうね!」
イーナースは前を向く、二人は闇へと消えいく。
二人の片目から一輪の涙が溢れる落ちる。
赤子、記録一歳児。
遡る事、現代2000年10月9日、アースィマが赤子を引き取り一年が経過しょうとしていた、一歳児だ。
朝方7時頃だろうか、アースィマは自分の自宅に居たのであった。
アースィマは赤ちゃんに離乳食を食べさようとしてる。
アースィマ「ほら食べな、あーん!」
アースィマは離乳食を食べさようとしてるが赤ちゃんは無反応だ。
赤ちゃん「……」
赤ちゃんはベビー椅子に座って目を見開きマジマジっとアースィマを見つめる。
アースィマ「どうして!?食べないんだい!?」
アースィマはどうしていいのか分からないのである、困り果てる、いつもならイーナースが世話をしてるからだ。
すると玄関から何者が入ってくる音が聞こえてくる。
謎の女性「アースィマ、駄目よ!そんな乱暴な食べ方させちゃ!」
謎の女性は驚いた表情っで早足でアースィマに近寄る。
アースィマ「イーナース~!頼むよ、ミルク頂戴!」
アースィマは急に明るくなる、アースィマは赤ちゃんをイーナースに手渡す。
イーナース、アースィマの幼馴染みだ、イーナースは赤ちゃんを持ち上げ優しく抱っこする。
イーナース「まだ離乳食は無理そうねぇ」
イーナースは抱っこしたままミルクを飲ませる。
イーナース「所で赤ちゃんはどう?物に反応したり、立つ練習は出来てる?」
イーナースは赤ちゃんをあやしながらアースィマに質問する。
アースィマ「それがさぁ」
アースィマは急に表情が暗くなる、床を一点に見つめる。
イーナース「きっと大丈夫よ!発達が遅れてるだけよ!」
イーナースは感じ取ったのかアースィマを勇気づける。
イーナース「ねぇ!ちょっと散歩しない?」
イーナースは気分転換に散歩を持ち掛ける。
アースィマ「あたいは構わないよ!?」
2人はアースィマの自宅を出る、イーナースが赤ちゃんを抱っこして2人は並んで移動するのであった。
ここの集落は少数人程度だ、扉の鍵を閉めなくても誰も気にしないのである、それは集落の住んでる住人が全員が顔馴染みであるからだ。
アースィマ「子供はどうしたのさ?」
アースィマはイーナースの子供が気になるのか、歩きながらアースィマはイーナースを見つめる。
イーナース「今うちの子は、お母様の所よ!」
イーナースは赤ちゃんをあやしながら子供の事を伝える、雑談しながら歩く、歩く事5分は経つだろうか。
アースィマとイーナースは長老家の前へ到着していた、アースィマは何かを感じ取ったのか、木製の階段を上がり、長老の玄関へ忍び足で進む。
アースィマ「イーナース!何か聞こえないかい!?」
アースィマはイーナースの方を向いて小声で話す。
イーナース「アースィマ!何してるの、駄目よ!お客様が来てるだわ」
イーナースは小声でアースィマを阻止するがアースィマは。
アースィマ(シッ!静かに!)
アースィマは長老の玄関へ耳を傾ける静かに、すると何やらボソボソ話しが聞こえてくるのである。
謎の声「モハヤ我の力デハ奴らは止められン」
謎の声はまるで不気味な言葉を放つのであった。
長老「残念じゃ、お主の力でも無理とは、もはやどうする事もできまいな」
長老はまるで友人に話すよに語るのである。
謎の声「ム!ナニモノだ!」
謎の人物はアースィマの気配に感じたのか足音がアースィマの方へと向かう。
アースィマ「ちっ!バレたのかい!?」
アースィマは脱兎の如く、イーナースの所に向かう。
謎の人物は一瞬にしてイーナースの所へ移動していたのであった、まるで瞬間移動である。
アースィマ「な、イーナースー!」
アースィマは目を疑ったのである、先程までに玄関にいた者が。
イーナース「いや、こ、こないでー!」
イーナースは余りの恐怖で赤子を抱えたまま膝から崩れ落ちる、尻もちを地面につく。
謎の人物は雄に身長3Mを超える大男っであった、深くフードを被ってるがフードの下から赤色の瞳が睨み、口から小さな牙が見える。
そして腰には剣を背中には盾を背負ってる。
3M超えの大男「……」
3M超えの大男はイーナースに顔を近付けて、まるで動物のように嗅ぐのである、イーナースの次は赤子を嗅ぐのであった。
イーナースは余りの恐れて目を閉じる、顔が拒むのであった。
イーナース(駄目よ!イーナース!目を開けたら殺されるわ!助けてアースィマ!)
イーナースは自分自身に言い聞かせて心の中で呟くのであった。
赤子を嗅いだ次の瞬間に大男は驚いた表情になるのであった。
3M超えの大男(間違イナイ、この匂い、我とドウホウ!)
アースィマ「幼馴染みと、あたいの子供に変な事をするじゃないよ!このコスプレ野郎が」
アースィマは勇敢に大男にパンチやらキックを連打の如く打つ。
イーナースは目を閉じてるがアースィマが攻撃をしてる事だけが分かる。
3M超えの大男はアースィマの攻撃など痛くも痒くもない、大男はアースィマを無視して独り言を呟きながら遅足で長老の所へ戻る。
イーナースはアースィマの声で目を開いたのであった、未だにパンチやらキックをしてるアースィマを見ながら苦笑いする。
イーナース「アースィマ〜先に私を助けて〜」
苦笑いしながらアースィマに声をかけるのであった、それに気付いたアースィマは。
アースィマ「あ!ごめん〜!イーナース!」
アースィマは脱兎の如くイーナースの所へ戻る。
イーナース「お願い〜手を貸して〜腰抜けちゃたのよ〜」
苦笑いした後に笑いが止まらない、イーナース。
アースィマ「イーナース〜」
アースィマも何故か笑いが止まらないのであった。
イーナースの腰抜け状態がおかしいのだろう、アースィマはイーナースに手を差し伸べる。
イーナースは立ち上がり二人は赤子を見つめるのであった。
アースィマ「良かった!赤ちゃんは無事かい!」
アースィマは赤ちゃんを心配するのであった。
イーナース「無事よ!」
イーナースは赤ちゃんを優しく左右に揺らすのであった。
イーナース「それにしても、あんな人がいるのね、驚いたわ、世の中は広いわね」
イーナースは赤子を見つめながらアースィマに話しかける。
アースィマ「そうだね」
アースィマは何かが引っかかるのか、心のモヤモヤが消えないのであった。
イーナース「ねぇ?アースィマ、私の洋服汚れてないわよね?」
イーナースは赤ちゃんを片手で抱っこして、もう片方の手でお尻を叩く。
アースィマ「洋服より!命が助かったから、いいじゃないかい!」
アースィマは洋服の事よりも二人の事を心配していたのだ、アースィマにはオシャレなど無縁だ。
イーナース「そんな事だから、あなたは恋人できないのよ〜」
イーナースは何故か恋愛の方向へと話をずらす、イーナースは毎回アースィマの恋愛話を期待してるのであった。
アースィマはキョトン顔になるが頭を切り替える。
アースィマ「今はそんな事よりも!あのコスプレ野郎に頭を下げさせるのが先なんだからさ!」
アースィマは怒り心頭であった、二人を危険な目に合わせた事に怒りを表す、むしろ無視された対しての怒りも激しいのであった。
アースィマ「あたいが一発、コスプレ野郎に仕返しするから!イーナースはここで待ってな!」
アースィマは怒った表情で脱兎の如く長老の家へと向かう。
イーナース(アースィマ、あなたの好奇心でトラブルを起こしてるのよ)
イーナースは困った顔になりながら苦笑いしながら、アースィマを見届ける。
アースィマ「コスプレ野郎で……!」
アースィマは拳握りで玄関の扉を叩く寸前に玄関から声が聞こえくるのであった、アースィマは好奇心で耳を玄関扉に当てる。
すると微かに声が聴こえくるのであった。
3M超えの大男「我ガ古キ友よ、あの赤子がナニモノか知ってイタナ」
どうやら先程の大男が玄関扉の目と鼻の先にいるようだ、アースィマは目を閉じて耳に全集中させる。
長老「やはり、お主の同胞なんじゃな」
長老は大男の前にいるのだろう、長老の声も微かに聞き取れる。
3M超えの大男「我ガ古キ友よ、あの赤子ハ廃棄処分スル、異論はナイナ」
大男はまるで物を扱うような言い方をするのであった、長老は。
長老「それが運命なんじゃろう」
まさかの長老の返答にそれを聞いてたアースィマの身体はいきなり鳥肌が立つ、アースィマにとって理解が出来ない展開である。
アースィマ(あぁ、い、意味が分からない、あたいの子が、そんな物みたいな)
アースィマは玄関扉から離れて両手で顔を覆う、顔が拒む、いや絶望の顔だ。
アースィマ(違う!違う!違う!違う!あたいの子さね、あたいが守る!)
アースィマは脱兎の如く、イーナースの所へ戻る、アースィマは何やら小声で訴える。
イーナース「あら?アースィマどうしたの?」
イーナースはアースィマの行動が気になったのか、不思議そうな表情でアースィマを見つめる。
アースィマ「イーナース、ここから逃げるよ!」
アースィマはイーナースの手を引っ張る、もはや考える余裕さえもない。
イーナース「痛い〜アースィマ!手が千切れるわ!」
イーナースは何があったのか、よみとれないでいた。
アースィマ「は、はやく、イーナース!」
アースィマは焦っていた、あの会話が嘘であってほしい、心臓の鼓動がはやくなる。
3M超えの大男「何処へ行く、オナゴ達よ」
大男はいつの間にか2人の背後へと立っていたのであった、まるで人間離れした動きであった、砂煙さえもしないのだから。
2人の動きが止まる2人は凍りつく。
3M超えの大男「何処へいく、オノゴ達よ」
大男は2人の背後から紅き瞳が睨みつけてるのであった。
アースィマは後を振り返り、イーナースを自分の後ろへ移動させて庇う。
アースィマ「コスプレ野郎!あんた何かに幼馴染みと子供に指一本触れさせやさせないよ!」
アースィマは大男を睨みつけてつける、それを後ろから見てたイーナースはまったく意味が分からなかった。
イーナース「ねぇ!アースィマ、一体何が起きたの?」
イーナースは困惑した表情でアースィマに疑問を飛ばすのであった、何故アースィマが自分自身を庇うのかを。
アースィマ「イーナース、早く行きな、精一杯走るだよ!」
アースィマはイーナースを軽く押し倒す、イーナースを逃がす為に自分自身を盾にするつもりであった。
イーナース「アースィマ!」
イーナースはアースィマを見つめて、ゆっくりと後退りするのである。
アースィマ「赤ちゃんを頼むよ」
アースィマは後を振り返りチラッとイーナースを見つめて、すぐさま前を向く、アースィマから片眼から一粒の涙が溢れる落ちる。
イーナース(えっ!?あのアースィマが涙を!今まで涙なんか)
イーナースは感の鋭い女性だ、ようやく今の現状を理解したのであった。
3M超えの大男「サァ、ヨコスノダ、赤子を我に!」
大男はゆっくりと右腕を出すのであった、手を開いて要求する、まるで巨大な手である、人間の頭の大きさぐらいあるだろう。
アースィマ「コスプレ野郎に渡すものか!」
アースィマは大男を睨みつける、だが余りの恐怖だろうか明らかに足が震えてる。
3M超えの大男「ワカルゾ、オナゴよ、震えテルナ、ミエルゾ……恐怖ガ!」
大男は出してた手を握り拳にして力を込めて挑発するのであった。
アースィマ「あたいを殺してみな!」
アースィマは分かっていた、勝ち目のない戦いだと涙が溢れて止まらない。
3M超えの大男「ナゼ泣く、死がコワイカのか?死にたくなければ、赤子ヲ、む!?」
大男は目を見開きしてしまう、まったく理解出来ない事が起きたからだ。
先程まで逃げてたイーナースが大男の目の前にいたからだ、イーナースは威風堂々たる姿で大男の前へと立っていた。
アースィマ「えっ?イーナースー?」
アースィマは目を疑った、逃したはずのイーナースが自分自身の前に立ってる。
イーナース「赤ちゃんを殺すのが目的なんですね、なら3人揃って殺してください!」
イーナース「幼馴染みを残して自分だけ逃げる何て!ごめんだわ!」
イーナースは後を振り返りアースィマに平打ちしたのである。
アースィマ「イーナース!?」
アースィマは平打ちされて涙が止まる、頭が真っ白になる、アースィマは膝から崩れ落ちる、地面に座り込む。
イーナース「うぬぼれないで!死ぬ時は一緒よ、赤ちゃんもね!」
イーナースはアースィマを睨みつけて座り込む、そしてアースィマと手を繋ぐ。
二人は目を閉じる、まるで覚悟を決めたかのように、それを見た大男は。
アースィマとイーナースは覚悟を決め、まるで祈るように座り込み「死」を覚悟する。
3M超えの大男(ナゼ、ニゲヌ、死ハオソロシイはずなのだ)
大男は2人を不思議そうに見つめながら心の中で呟く。
すると大男の背後から聞き慣れた声が聞こえてくる。
長老「もういいじゃろう、オーディンよ」
長老はゆっくりと歩きながら大男の事を「オーディン」と呼んだ。
オーディン「我にはワカラヌ!ナゼ?オナゴは逃げヌ?」
オーディンは2人を一点に見つめる、オーディンは顔を近づける。
2人は座り込んだまま未だに目を閉じてるのであった。
長老「これ、お前達、何時まで座り込んでおるか!立たぬか!」
長老は大声っで叫び、2人に対して喝を入れる。
アースィマ&イーナース「長老様!?」
2人は長老の声で立ち上がり、目を見開き驚いた表情で長老を見つめる。
2人は余りの恐怖っで周りが見えなくなっていた、無論「オーディン」の名前さえも耳に入るか訳がないのだ。
長老「愚か者ども好奇心は良いが、下手をしてれば死んでいたのじゃぞ!」
長老は2人を睨みつけて怒りを顕にする。
アースィマ「あたいが悪いのさ!イーナースを咎めないでおくれ!」
アースィマは、すかさず長老にへばり付く、それを見てたイーナースは。
イーナース「アースィマ!?」
3M超えの大男「オナゴよ、お前はイーナースと言うノカ?」
大男は、ゆっくりとイーナースに近寄る。
イーナース「はい」
イーナースは大男から目をそらす、恐怖っで足が震える、だか赤子はしっかりと守ってる。
長老「お前達!守護者オーディンに挨拶せぬか!」
長老は何故怒ってるのか、これは時間を遡る事で理由が分かる事だろう、だがそれは後のお話だ。
アースィマ&イーナース「オーディン!」
アースィマとイーナースは息がピッタリ、お互いハモる、2人は驚いたのであった。
オーディン「我はオーディン」
大男は何故か小声で名前を伝えるのであった。
イーナース「オーディン様!アースィマを、お許しくださいませ!」
イーナースは急に言葉使いが変わるのであった、まるで神に崇めるように、イーナースは座り込む。
オーディンはイーナースに近寄る、するとイーナースを両腕っで軽々持ち上げる。
イーナース「オーディン様!?」
イーナースはいきなり赤子ともに持ち上げられて驚く。
オーディン「イーナースよ、もっとからユルシテおる」
オーディンはイーナースを見つめて微笑む、そしてイーナースをゆっくりと地面へと立たせる。
アースィマ「イーナース!!」
アースィマはイーナースに近寄る、お互い抱き合うのであった、赤子は2人に挟まれる。
イーナース「もう!二度と馬鹿な行動しないでよ」
イーナースは半分は呆れた顔で内心は安心するのであった。
アースィマ「わ!わかってる!誓うよ!」
アースィマは毎回、同じ言葉を並べてるが、イーナースはそれを知ってる、赤子はマジマジとアースィマとイーナースを見つめる。
オーディンは長老に近寄って巨大な体格を膝を曲げて長老の目線に合わせる、そして小声で話す。
オーディン(あの赤子はドウヤラ、魂がないようにミエル)
オーディンは長老の耳元で現実を伝える。
長老「やはりか、うむぅ」
長老は、あの時に赤子を託された時に違和感を感じていた、長老は小声で話しかける。
長老(オーディンよ、意思が芽生え始める事はあるんじゃろうか?)
長老はオーディンに小声で伝える。
オーディン(ワカラヌ、やってミル価値ハあるが)
オーディンは小声で話し終えて、2人の所に近寄る。
オーディン「その赤子ハ」
オーディンは真実を伝えようとするが、オーディンは言葉が詰まる。
オーディンは2人の微笑む姿を見たからだ。
赤子を挟み、和気あいあいと会話してる姿にオーディンは一瞬言葉を無くす。
オーディン(我ハ……我は)
オーディンの赤色の瞳から一粒の涙が溢れ落ちる、まるで輝く水滴のように。
イーナースは違和感を感じたのかオーディンを見つめる。
イーナース「オーディン様!どうかなされたのですか!?」
イーナースは会話を中断してオーディンの所に駆け込む、もはや恐怖は消え、いつの間にか「神」様扱いされていたのである。
アースィマは無論態度は普通であった。
アースィマ「はん!神様も泣くだね!」
アースィマは相変わらずの態度であった。
イーナース「オーディン様?何処か痛むのですか?」
イーナースはもはや信者と化していた……。
オーディン「我ノ事ハ気にスルナ、これからは赤子ヲしっかりと守っていくのだ」
オーディンはイーナースに近寄って赤子を優しく撫でるのである。
イーナース「はい!オーディン様!」
イーナースは微笑む、アースィマはイーナースの横に近寄って赤子を見つめる。
不思議な光景が広がっていた、巨人と女性2人が赤子を一点に見つめるのだ。
それを遠くで見てた長老は。
長老「あの赤子は不思議じゃな、あのオーディンさえも心を奪われるとはな」
長老はオーディンの心の変化に驚いた。
アースィマ、イーナース、オーディン、物語が始まろうとしていた。
神話物語(前編)女神マリアと神オーディン。
これは遥か神々が楽園と謳われてた物語である。
その楽園は何もない無であった、周りは真っ白い風景が広がってるだけだ。
一人の女神が必死で逃げ回っていた。
謎の女神「裏切り者、お前は反逆者だ!よくも神を侮辱したものだ!出てきなさい!」
謎の女神はものすごい剣幕で誰かを探してるように見える、その女神は背中に巨大な羽が生えてた。
そして、もう一人女神が居た、その女神は。
女神マリア「女神アテナ、貴女は哀れな女神です」
女神マリア、人間を唯一無二「愛」してる神であった、人と近い存在であった。
女神マリアには何故か「羽」が無かった。
女神マリアは移動は徒歩であった、移動の最中に思いもよならい人物に出会う。
ものすごいスピードで女神マリアに接触する者がいた。
謎の神「女神マリア、何処に行く」
謎の神はまるで巨大で80メートル級はあるだろう。
謎の神は女神マリアの正面に現れる。
女神マリア「オーディン様」
女神マリアは悲しい顔で謎の神をオーディンと呼んだ。
神オーディン「マリアよ、何故なのだ?神々を裏切ったのだ!?」
神オーディンは女神マリアを睨みつける。
女神マリア「私は人を「愛」してるのです、助けたいのです」
女神マリアは座り込む、まるで祈るように手と手を握る、そして目を閉じる。
神オーディン「人を愛してるだと?人間など愛するに値いなどせんのだ!」
オーディンは座り込んでるマリアに対して怒りを顕にする。
女神マリア「人間は確かに傲慢で野心的であり、争いが好きな生き物です」
女神マリア「ですが人間には「愛」があるのです」
神オーディン「その「愛」にお前は惚れたのか?」
オーディンは睨みつけながら質問するのであった。
女神マリア「オーディン様、お願いします、私にお力をお貸しくださいませ」
女神マリアは座り込んだまま、祈るようにオーディンに力沿いをこう。
神オーディン(何故だ?神々に反逆してまで人間の味方を?我には分からぬ)
オーディンはいつの間にか質問が疑問へと変わる。
女神マリア「人間を愛してます、人間を愛してます」
女神マリアは「人間」に対して祈る。
神オーディン(人間に祈ってるのか!人間とは!?)
神オーディン「我が名においてマリア!汝と共に進むぞ!誓うぞ!我は汝の盾となり剣となろう!」
オーディンは女神マリアの意志を尊重したに違いない、オーディンは片膝をつき、女神マリアに誓を立てる。
女神マリア「あぁ!オーディン様!」
女神マリアは余程、嬉しかったのかオーディンに抱きつくのであった。
神オーディン「ええぃ!離れぬか!」
オーディンは少し戸惑う、余りの身長差にオーディンの足に抱きつかれては踏んでしまいそうで恐れたからだ。
神オーディン「それで?これからどうするのだ?」
オーディンは女神マリアに今後の計画を質問したのであった。
女神マリア「はい、計画は既にあります、オーディン様、人間界へと落ちてください」
女神マリアはとんでもない発言をしたのであった。
神オーディン「うむ、分かった、なぬ!?我が人間界へ行けと申すか!」
オーディンは一瞬マリアが何を言ってるのか整理が出来てない。
女神マリア「オーディン様しか救えないのです!その私が人間界に行っても」
女神マリアは何を言いたいのか、オーディンには理解出来ていたのである。
神オーディン「まぁ、マリアには恩があるからのぅ」
女神マリアとオーディンは言わば「家族」である。
神々は族が分かれていたのである、オーディンは女神マリア派である。
女神マリア「ではオーディン様!異界の門へと向かいましょう」
女神マリアは立ち上がりオーディンの肩へと乗る。
神オーディン「異界の門へ向かって?その後は、どうするのだ?」
オーディンはマリアを肩に乗せて移動するのであった、無論オーディンも巨大な「羽」が付いてるのだ、漆黒の羽。
女神マリア「考えがあります、オーディン様の魂を人間と融合させます」
女神マリアは全ての計画をオーディンに隠す事なく話す。
神オーディン「うぬ!良かろう!」
オーディンは空中を浮遊しながら納得したのであった。
女神マリアと神オーディンは後に「神々の戦い」へ巻き込まるとは想像さえもしないだろう。
女神マリアと神オーディンの別れ。
神々の世界、真っ白な世界だ、女神マリアとオーディンは人間の世界へと繋がる人間界の門へと移動していたのである。
女神マリアはオーディンの肩で乗ってる、2神は無言だ、別れの時が迫ってる事を知ってるからだ。
女神マリアは心の中で願った、いつかオーディン様と会えますようにと。
するとオーディンは空中で止まる、そして着地するのであった。
神オーディン「さぁ、到着したぞ」
オーディンは片膝を着いてマリアを降ろす、目の前に見えるのは。
前方に巨大な門が現れる。200メートル級の門であった、オーディンより巨大である。
女神マリア「オーディン様、もし人間界へ落ちたら」
女神マリアは何故か悲しい顔になる、オーディンは察していた。
神オーディン「世は神だぞ!理解しておる!記憶が消えるのであろう!」
オーディンは知っていた、門を通れば全ての記憶と神では無くなる事を。
女神マリア「オーディン様、人間達に御慈悲を、お助けくださいませ」
女神マリアは目を閉じて祈る。
神オーディン「門を開けるぞ、我は神オーディンなり!我の名の元に門を開けよ!」
オーディンが言葉を放つと同時に門は、ものすごい轟音と共に扉が開く。
人間界、この先は暗闇であり、暗黒しか見えない道であった、いわば時空空間だ。
神オーディン「ではマリアよ、別れの挨拶は無しだ、人間と融合すれば良いのだな?」
オーディンはマリアの計画を再度確認するのであった。
女神マリア「もう融合する人間は決めております、少年です」
女神マリアは「少年」とオーディンを融合させる計画だ。
神オーディン「うぬ、では行ってくるぞ」
オーディンは門を通る寸前で女神マリアは語り始める。
女神マリア「サーニャとアースィムをお願いします」
女神マリアは「サーニャ」と「アースィム」の名を上げる。
神オーディン「何?今?何って言ったのだ?」
オーディンは後を振り返ろうとしたが既に時遅し、オーディンは門へと吸い込まれてしまう。
神オーディン「マリアー!今何と言ったのだー!」
オーディンは余程、気になるのか門が閉じるまで大声っで話しかけたが。
女神マリアには届かなかった。
女神マリア「お許しをオーディン様の力が必要なのです」
女神マリアは門から離れて何処かへ消える。
オーディン、こうして人間界へ。
女神アテナの怒り。
これは血眼になって女神マリアを探す、女神アテナの物語である。
女神アテナ、人間は神のペットであり、家畜しか思ってない、女神であった。
女神アテナ「おのれ!おのれ!女神マリア!よくも裏切りを!」
女神マリアへの憎しみは相当なものであった、握り拳にし遠くを睨みつける。
女神アテナ「神を侮辱した事を悔いるが良い!」
女神アテナはもはや怒りを越えてた、空中で右往左往に飛びながら罵倒するのであった、だが誰もいない。
女神アテナ「どうしてなの?神は完璧なはずよ?なのに何故!人間の信仰が必要なの?」
女神アテナ「なんて罪深いのでしょ〜ララララ〜♪〜ラ〜♪」
女神アテナは急に鼻歌を歌いだす、空中で華麗に宙返りしては着地しては繰り返すのである。
女神アテナ「私は〜神〜♪お前達は家畜よ〜
恥をしりなさい!」
女神アテナはすかざす神の剣を抜刀する、もはや正気の沙汰ではない。
女神アテナ「お前達!集合しなさい!」
女神アテナは何者かを呼びだす。
すると白い靄が発生して白い霧から「エンジェル」が三体が飛び出す。
エンジェルA「……」
エンジェルB「……」
羽が折れたエンジェル「……」
女神アテナ「ん?そこの?羽が折れてるわね?」
女神アテナは羽が折れてるエンジェルに目を向ける、近寄って羽の折れたエンジェルに手を差し伸べる。
すると折れた羽が元に戻ったのであった、女神アテナは折れた羽を回復させたのであった。
女神アテナ「よし、回復、さぁ女神マリアを探すのです!」
女神アテナは神々に対して平等だと思ってる、それは上級神。下級神。だろうと。
エンジェル三体は散って探しだすのであった。
女神アテナ「さてと私はハデス様に報告しないと」
女神アテナは、もの凄いスピードで何処かへ飛んで行ったのである。
二人の女神と少年。
これは亡きオーディン。後の物語、あの少年が何処へ行くのか?神話の世界へ……。
少年は女神マリアと白い霧を進んでいた、霧は一面真っ白で覆われてる世界であった、何も無い「無」である。
少年は女神マリアをじっと見つめるのである、それに気づいた女神マリアは。
女神マリア「どうしましたか?」
女神マリアは少年を見て微笑むのである、その微笑みはまるでこの世の者ではない者の微笑みであった。
少年「マ……」
少年は言葉に出したいが何故か出ない、まるで話す事が許されてないような錯覚に陥る。
女神マリアは少年を見つめて微笑んだまま強く少年の手を握りしめる、強くだが優しさがあるのであった。
少年(マリア様の手、暖かい)
少年は嬉しいのか満面な笑顔になる。
女神マリア。この子には善と純粋な心の輝きがみえます、この子なら。
すると遠くから謎の女神が2人を睨み付けるのであった。
謎の女神は一瞬にして2人の前へと出るのであった、謎の女神はいきなり、罵声を女神マリアに向ける。
謎の女神「女神マリア!神々に対する反逆者!」
謎の女神は女神マリアの道を塞ぐのであった、そして少年を睨み付けるのである。
女神マリア「女神アテナ」
女神マリアは謎の女神を「女神アテナ」と呼んだ。
女神アテナは一瞬の隙に少年の懐に近寄る。
女神アテナ「人間の自らの手で作ったオモチャが、ここに居るだけでも罪!罪!罪なのです!」
女神アテナは少年を睨みつける、もはや少年に対して怒りが収まらない女神アテナであった。
女神アテナの怒りは女神マリアへと向かう。
女神アテナは睨みつけて神の剣を抜刀する、剣は光輝いてる。
女神アテナ「もはや神に反逆した罪は重い!これより罰を下します!」
女神アテナは神の剣を少年に突き刺そうとする。
すると女神マリアが庇うのであった。
女神マリア「なりません!女神アテナ!」
女神アテナの神の剣は女神マリアのギリギリ腰をかすめる、女神マリアの顔が拒む。
少年(マ……マリア様!)
女神マリアは少年を抱きしめる形っで庇ってる、少年は喋る事さえも出来ない。
女神アテナ「人の魂が神の楽園に留まる事が!どんなに罪深い事か!」
女神アテナは怒り心頭っであった。
女神アテナ「罪!罪!罪!罪!罪!」
女神アテナは、もはや怒り心頭だ。
女神アテナ「消えろ!人間!魂は消えるのみ!」
女神アテナは神の剣を向けた時だった、少年が女神アテナの前に飛び出す。
女神マリア「な、なりません!」
女神マリアはとっさの出来事で困惑する。
少年。声を出すんだ!オーディン、力を貸して!
少年「僕には名前があるんだー!」
少年は口を大きく開いて叫ぶ、そして。
バルボ「僕はバ・ル・ボ・だー!!」
少年はバルボっと呼んだ。
女神アテナ&女神マリア「神の楽園っで喋ったって言うの!」
二人の女神は言葉が見事なシンクロだ。
女神マリア(あぁ!オーディン様、これが人間の力なのですね)
女神マリアは「亡きオーディン」の事を想いはせる。
女神アテナ(そ、そんな事が!あ、ありえないわ!)
女神アテナは怯える、神の楽園で人間が決断、対話、思考を持つ事さえも許されてないからだ。
だが、少年は、それを「破った」のである。
女神アテナ(やはり人間は罪深い物!消すのみ!)
女神アテナは神の剣を振り下ろす、次の瞬間ー!
女神マリア「あぁ!いけません!女神アテナ!」
女神マリアは「神」でありながら少年を護る、神の剣が女神マリアの胸を貫通する。
バルボ「ま、マリア様ー!」
バルボは涙を流す、女神マリアは胸を突かれて消えかけてる。
女神マリア「これが……愛なの……ね」
女神マリアは「母性本能」が働いたのだ。
女神マリア「オーデ……ィン」
女神マリアは遂に消えたのである「消滅」した。
女神アテナ「女神マリア!何て愚かな事を」
女神アテナは平然としている。
バルボ「お」
バルボ「ま」
バルボ「え」
バルボ「お前だけは許さない!アテナ!」
バルボは女神アテナを睨みつける、もの凄い気迫っであった。
女神アテナ「な、何様のつもりだ!我は神であるぞ!人間が神に侮辱するなど!」
女神アテナは、もはや怒りが頂点に足していた、言葉が荒くなる。
バルボ「お前は傲慢っで!卑怯者だ!アテナ!僕が仇を打つ!倒す!」
バルボは「神」と戦う、意思表明したのであった。
女神アテナ「あっはは!私を倒す?倒すですってー!」
女神アテナは宙に舞、巨大な翼を展開するのであった。
女神アテナ「さぁ!こい!人間!お前を消滅させやる!」
女神アテナは神の剣を構える、少年と神々の戦いが始まろうとしていた。
次回、第22話。アースィムの物語。




