六月の魔法 ジューンブライドと雨の結婚式
ごきげんよう、ひだまりのねこですにゃあ!
六月になりましたね!!
世間では梅雨でジメジメ憂鬱なイメージで語られがちな六月ですけれど、私は雨が大好きですし、五月のどうにもならない不調が少し和らぐのでむしろ元気になる季節だったりします。
さて、六月と聞いてあなたは何を思い浮かべますか?
特に大きなイベントもないですし……なんといっても唯一祝日が存在しない月!! その点は至急政府に何とかしてもらいたいところですが――――
無理やり挙げるなら、女性の憧れジューンブライドなんていうのがあります。
ジューンブライドは 「June」+「Bride(花嫁)」、そのまま六月の花嫁という意味ですね。
『六月に結婚した花嫁は幸せになれる』『六月の花嫁は永遠に愛される』
日本では、昭和40年代にブライダル業界のマーケティング戦略によって広まったそうです。
梅雨の影響で閑散とする状況を打破するため、だったようですが、欧米の結婚式に対するロマンティックなイメージを利用したのが良かったんでしょうね、言葉の音感も良いですし、今では一定程度浸透しているようです。タイプ的には土用の丑の日キャンペーンと同じ感じかも。
日本におけるマーケティング戦略はともかくとして、ジューンブライドという言葉が生まれた背景には長い歴史と伝統があります。
六月を意味するJuneは、ローマ神話における結婚と家庭の女神ユーノー(Juno)に由来しています。ユーノーは花嫁に加護を与える存在でしたから、その名を冠した六月に結婚することは当然大きな意味があります。なんたってこの女神さま、結婚だけじゃなくて出産、若さ、繁栄も司っていますからね、六月に結婚しないでいつ結婚するんだって気がしますよね。
じゃあ六月に結婚しようかなって思ったそこのアナタ、ちょっと待ってください。
六月ならいつでも良いのかと言えばそうでもないんです。万全を期すならば、6月後半がベストです。
古代ローマでは、五月~六月上旬に結婚することは縁起が悪いと避けられていました。
え? なんで? 六月ってユーノーさまの月だよね、どうなってんのローマって思いますよね?
理由は色々考えられますけど、おそらく一番の要因はイベントスケジュールだと思います。5月は死者を弔うアルゲア祭やレムリア祭、6月前半は国家の安寧を願うヴェスタ祭、と大切な宗教行事が続くんですよ。日本で例えるなら、お盆や年末年始の忙しい時期に結婚式とかふざけんなってところだと思います。
ローマとか日本人だから関係ないとか思うかもしれませんが、ジューンブライドとか言ってる時点で今更ですので、前半は避けるように気を付けましょう。実際、六月後半からは女神ユーノーの加護がどんどん強くなってゆくので。
そういえば、皆さま『ストロベリームーン』ってご存じですか?
野イチゴの収穫時期と重なるので、六月の満月のことをそう呼ぶのですが、好きな人と二人で見ると結ばれるという伝説があります。ちなみにこの時期の満月は地平線近くを通るので、大気の影響で赤っぽく見えることが多いんです。
満月の光に照らされながら、愛を誓うふたり。その瞬間、運命の歯車が静かに回り始める——そんな物語が、このストロベリームーンにはあるのかもしれません。
ちなみに今年のストロベリームーンは、6月11日ですので、急いで夜の式場を予約しましょう。六月の晴天率は3~4割なので運が良ければジューンブライドとストロベリームーンのダブル効果でめっちゃ幸せになれそうです。
え? でも雨が降ったら台無しになるんじゃないかって?
そんなことはないですよ。
「雨の日の結婚式は、涙がすでに流されたため幸せになれる」
ということわざがあります。
アイルランドでは雨は天の祝福で、結婚する二人の過去の悲しみを洗い流し、幸せな未来をもたらしてくれると言いますし、フランスには『雨の結婚は幸せな結婚』という言葉もあります。
ヒンドゥー教では、雨の日の結婚は「子宝に恵まれ、夫婦の絆が強くなる」って信じられています。
それにね、雨の日に結婚すると「濡れた結び目はほどけにくい」ということから、雨の中で結ばれた縁は強くなるっていう考え方は昔からあるんですよ。
どうですか? 六月の結婚良いでしょう?
実はですね、こんなに素敵なジューンブライドなのに、この時期は割安なんですよ、ご利益もたくさんあって、割安なんて逃す手はない、そう思いませんか?
『雨に濡れても良い格好でご来場ください』そんな結婚式もまた――――ロマンティックかもしれませんね。
六月ひだにゃん Illustration by ひだまりのねこ
式場の回し者ではありません。