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第4話 ひとまず帰還





無事に、転移によって僕の部屋に帰ることができたようだ。

金ピカの全身鎧を着たままだけど。

オリハルコンの全身鎧をアイテムボックスに収納しようと念じたところ、鎧が収納され元のスーツ姿に戻った。



「ふう。無事に戻れたか。どうするかな。嫌だけど、予定通り会社に行くか?」



『マスター。そのように嫌なら職を変えられたらどうですか?』



うお!地球でも『全知』イブの声は聞こえるんだな。

まあ、アイテムボックスが使えた時点で今さらか。

イブは転職をすすめてくれるけど、僕の頭では良いところに転職できないぞ?

生活するには収入がいるしな。



『マスターには魔法や「最古のダンジョン」がありますので、それらを生かした会社を起こしたらどうですか?ダンジョンでは回復薬や金などの鉱石、マジックアイテム、運が良ければ魔法の巻物が手に入ります。ダンジョンに入るだけでステータスを取得できますし、モンスターを倒せば強くなります。ダンジョンはマスターの物なのですから入場料を取れば良いのです。』



入場料を高めに設定すれば、ある程度客が少なくてもそれだけで生活できるかもしれないけどな。

でも命の危険とか、場所や施設の準備とかあるだろ?

ダンジョンを置いて、はい終わりって訳にはいかないしさ。

あと、やっぱり目立つ。

騒がれて外も歩けなくなるのは嫌だなぁ。

だいたい僕自身がモンスターと戦ったこと無いぞ?



『命の危険については、マスターがモンスターや罠などの難易度を調整すれば良いかと思います。場所や施設については、すぐには用意できないかもしれません。マスターが持つ金貨を買取りに出しても大金を手にすることは難しいでしょう。』



金貨で大金を手に入れることはできないのか?

通貨としての価値は無いだろうけど、金としての価値があるだろう?

でも金ってどれくらいの価値があるんだろう?



『現在金の価値が上がっており、グラム単位の金の価値は1グラム1万円余です。マスターが金を1キログラム売却した場合、買取業者によっては多少変動しますが、金の譲渡益は取得費や譲渡費用を考慮しても1000万円前後となります。』



それなら余裕で大金を手に入れることができそうだが。

何で無理なんだ?



『1キログラムの金を売却した場合、税金や確定申告が必要です。税務署にも連絡が行くようです。また、まず間違いなく各方面から金の出どころを疑われます。買取の際に身元が割れますし目立ちますよ?』



そう上手くいかないか。

まあ今すぐ生活費に困っているわけでもないし、ぼちぼち考えてみるか。



『会社設立のことを含め、金貨の売却などを肩代りしてくれる協力者がいれば楽なのですが。』



「そうだな。予定より遅れたが会社に行くか。」




いつもより遅いが、それでもまだ午前中に会社に着いた。

僕が勤める会社は、どこにでもある普通の会社だ。

どんな会社かは、そんなに興味ないだろ?

着いて早々、スーツを着こなしスラッとした好青年が声をかけてきた。



「よう、翔!今日は遅かったな。まあ皆が休日出勤だけどね。遅れたと言っても、ほとんどの人は気づいていないと思うよ。」



この男は新庄一太しんじょういちた

僕から見ても頭が良いなと思うのに、何故かうちの会社に就職した変わり者だ。

本人曰く、いろいろ運が悪くうちの会社に就職することになったらしい。

その詳しい経緯は聞いてないけど僕の同期だ。



「いろいろあってな。本当は休みたかったんだが。」



詳細を言うわけにもいかず、軽く流す。



「そんなことより翔。会社の近くで、ひき逃げ交通事故があったみたいだよ。母子が怪我してるみたい。怪我がやばそうな感じ。ネットの速報に載ってたよ。」



事故か。それも会社の近くで。



『マスター。確かに会社から少し離れた場所にある〇〇喫茶店先交差点で交通事故があったようです。母子ともに重傷です。特に男の子は、この世界のいかなる治療を施してもこのままでは死亡するでしょう。』



急にそんなことを言われてもな。

イブ。回復魔法(極)で何とかなるか?



『急げば間に合うでしょう。回復魔法なら問題ありません。ただマスターが気にしていた目立つのは避けたい、という意には反します。』



目立つのはしょうがない。

僕に助けることができる命があるなら助ける!

でも僕が助けたことは隠したいから変装、というかオリハルコンの全身鎧を着ていく。

隠蔽の指輪は着けているしな。

これならどうだ?



『かえって目立ちますが、すぐにマスターの正体が露見することはないでしょう。それでは急いでください。』



「どうしたんだ?翔?スマホを見つめて。」



「あぁ、ちょっとトイレに行ってくるわ。腹が痛くてな。」



僕は一太にそう言うと、トイレに向かった。

ちょうどトイレには誰もいなかったので、すぐにオリハルコンの全身鎧を装備した。

トイレの鏡を見ると、やっぱり目立ちそう。

身バレを防ぐためにも、あまり喋らないようにしよう。

っと、こうしてはいられない。

僕はすぐに事故現場を思い浮かべ、転移した。






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