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※ 採用された者たち





〜〜外園兄妹〜〜


「おばあちゃん!」


一週間くらい前、私のおばあちゃんが住んでいるマンションで火災が発生しました。

燃え盛るマンションの一室のベランダで、うずくまっている祖母を見つけました。

マンションの周囲は規制線がはられ、近づくこともできず私には何もできませんでした。



私の名前は、外園美由紀ほかぞのみゆき

普通のOLで22歳です。


私には両親の他、兄と祖母がいますが、私が上京し、私と祖母の二人で暮らしていました。


私の祖母は癌を患っています。

祖母の癌は、発見が遅れたことでろくな治療ができず、そのうち癌が全身に転移してしまいました。

既に手の施しようがなく、祖母の希望で最期は自宅で迎えたいということで自宅で生活していたのです。


祖母は、体中に痛みがあるはずですが、私の前ではそんな素振りは見せません。

いつも笑顔で昔から優しく、そんな祖母のことを私は大好きです。


そんな中、私が外出中に火災がおきたのです。




「おばあちゃん! 逃げて!」


余命幾ばくも無い祖母。

せめて最期は、心穏やかに過ごしてもらいたかったのに!

神様!どうか祖母を助けてください!

でも、ベランダからは逃げ道がありません。

どう見ても絶望的な状況です。


さらに悪いことに、小さい女の子も別のベランダに取り残されていました。


「そんな!?」


周りの野次馬からも悲鳴が上がります。

火災の勢いが強くなってきました。


そして、…『黄金の騎士』が現れたのです。



それからは、『黄金の騎士』が現れては消え、あっという間に祖母と小さい女の子を助けてくれました。


それだけでなく、『黄金の騎士』や祖母、小さい女の子が淡い光に包まれていました。


そして『黄金の騎士』は、どこへともなく消えてしまったのです。



後から分かったことですが、祖母と小さい女の子の健康状態には全く問題は無く、それどころか祖母の癌が完治していたそうです。


『黄金の騎士』のことを、世間では悪く言う人もいるようですが、私達家族にとっては恩人です。


そして、あの西園寺財閥の会社で『黄金の騎士』が関係していると噂の会社の採用募集を知りました。


私は一も二もなく、その募集に応募し、ついでに私の兄、外園和成ほかぞのかずなりも誘いました。

そして後日二人宛てに採用通知が届いたのです。

かなりの競争率だったようですが、何故私達が揃って採用されたのかは分かりません。

ですが、採用されたからには『黄金の騎士』様に恩を返したい、そう思っています。





〜〜清水大生しみずたいき〜〜


俺は清水大生。

先日、俺の妻と息子である勇がひき逃げ事故に巻き込まれたと知った。

妻からの電話でそのことを知ったが、その割には妻も勇にも怪我が無く元気だった。


しかし、ニュースを見て本当のことだと分かり、妻からは勇に命の危険があったことを聞き、激しい怒りを覚えた。


逃げた奴には、妻と息子以上の苦しみを与えてやりたい。

そんなクソ野郎が目の前にいたら、間違いなくぶん殴ってやるところだ。


妻と息子を助けてくれたのは、最近世間を騒がせている『黄金の騎士』という人物らしい。

どんな人か知らないが、不思議な力があるようだ。


『黄金の騎士』に助けられてから、勇は『黄金の騎士』が大好きになったようで、毎日『黄金の騎士』の話をしている。

勇にとってはヒーローだからな。

あまりにも熱中具合に少しやけるくらいだ。


そんな中、『黄金の騎士』の会社が設立される、と妻や勇から聞いた。

何でもダンジョンという物から資源を回収し、利益をあげる会社のようだ。


それに、上手くいけば『黄金の騎士』のような不思議な力が手に入るらしい。

今では世間に大注目されているようだ。


妻や勇にすすめられ、俺はその会社の採用募集に応募した。


今度は俺が妻と勇を守り抜く、そう強く思いながら。





〜〜徳田沙也加とくださやか〜〜


私は両親と3人暮らしをしています。

私の父は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病を患っています。

この病気は、体を動かすのに必要な筋肉が徐々にやせていき、力が入らなくなる病気です。

次第に悪化する父は寝たきりとなり、自発呼吸すらままならない状態です。


難病指定されていることからも、今のところ回復の見込みは低いそうで、私も母も不安な毎日を送っています。

何よりも苦しんでいる父を見ていられないのです。


そんな中、ネットニュースに載っていた『黄金の騎士』のことを知りました。


その『黄金の騎士』は、何でも瀕死の重症を一瞬で治したとか、末期癌患者を完治させたという話です。

それだけでなく、宙に浮いたとか一瞬で消えたという話までありました。


そんな魔法のような不思議な力が有るのでしょうか?


でも、そんな魔法のような不思議な力なら、もしかしたら父の病気を完治させることができるかもしれない、と思いました。


私は、父の病気を治してもらいたかったのですが、『黄金の騎士』がどこにいるのかも分かりませんし、『黄金の騎士』は正体不明のようです。


どうしようかと思いながら、ネットで毎日『黄金の騎士』を追っていたところ、『黄金の騎士』が会社を設立するらしいと分かりました。


私は一縷の望みをかけ、その面接会場に向かいました。


面接会場では、残念ながら『黄金の騎士』には会えませんでしたが、すごい競争率にもかかわらず私に採用通知が届きました。


母も『黄金の騎士』のことは知っていましたが、私が『ダンジョン・サーチ』に採用されたことは言っていません。

まだ父の病気が完治する見通しがたったわけではなかったからです。

ただ採用通知が届いたことで、母から、


「あなた、転職するの?」


と聞かれたくらいです。

どうやら母は『ダンジョン・サーチ』を知らないみたいです。


私が転職の準備をしていると『ダンジョン・サーチ』から、返信用封筒とともに封書が届きました。

内容は『家族に病気を患っている者がいれば申告するように』とのことでした。


家族に病気を患っている者がいた場合、採用を取り消されるのかしら、と不安に思いながらも私は正直に申告しました。



後日、私が父の世話をしようと父の寝室に向かうと、部屋に『黄金の騎士』がいました。


「あっ、あの!」


目の前に、金色の鎧を着た『黄金の騎士』です。

『黄金の騎士』は私に向かって、


「父親の病気を、私が治しても良いか?」


その言葉を聞き、私は『黄金の騎士』が、父の病気を治しに来てくれたのだと分かりました。


「お願い……します。父の病気を治してください!」


私の返事に『黄金の騎士』は頷き、


「この治療は、お前の家族を想う気持ちがあるからこそ行うものだ。礼は不要だ。」


と言って父に手をかざし、『黄金の騎士』と父が淡い光に包まれました。

『黄金の騎士』は、要は済んだとばかりに消えてしまいました。


「沙也加、さっきのは現実のことか? 何が起こった?」


私は、何年も聴いていなかった父の声と元気そうな姿を見ることができたのです。


私は、父の言葉に「うんっ、うんっ」と頷くことしかできませんでした。




『黄金の騎士』様、私は貴方にまだお礼を言っていませんよ? これからもよろしくお願いしますね?




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