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第12話 何でも?





一週間ぶりに異世界『グレンダ王国』の王都にきた。

あちらこちらで『黄金の騎士』の噂を聞く。

どうやら、第2王女ルミエールの快気祝いで賑わっているようだ。

通りを歩く皆も、心なしか表情が明るい。



「さあて、どこに行くかな? そう言えば僕、冒険者の仕事をやっていないな。」



まあ、こっちに来てまであまり仕事をしようとは思えないんだけども。

ほどほどに、のんびり依頼をこなすか?

王都以外のところにも行ってみたいな。

この世界の、転移できる場所も少ないし、いろいろ巡ってみるのも良いかもしれない。

取り敢えず一度、冒険者ギルドに顔を出しておくか。



冒険者ギルドに来ると、朝の混雑が終わったところなのかそれほど人は多くない。

それでもカウンターに列ができていたので、一番短い列に並ぶ。



「お早うございます。本日はどのようなご要件ですか?」



受付嬢に尋ねられ、簡単な依頼を選んでもらう。

どうやら薬草が不足している様で、常設依頼の薬草採取をすすめられた。

他にも魔物を討伐した場合も別途買取してくれるらしい。

やっぱり、魔物いるのか。

気をつけて行こう。



今は皮の鎧、鉄棍、隠蔽の指輪を身につけている。

王都の門から外に出ると、街道沿いには人の姿がちらほら見られる。



イブ。薬草の群生地で、ここから近い所はどこだ?



『マスター。街道から外れ、森に入ってください。その後は方向を案内します。』



イブに言われるまま、街道から外れて森に入る。

森は、徐々に緑が深くなってくる。

森に入って30分程度経った頃、イブが言ってくる。



『マスター。薬草の群生地は、ここからさらに森の奥になります。ついでに、この辺りなら魔法の練習には良いでしょう。』



今までぶっつけ本番というか、転移などの空間魔法を使っていたからな。

それでもイメージで何とかなっていたけど。

少しだけ練習しておくか。

今まで使ったことがない空間魔法の『切断』を中心に練習をしてみた。



一通り、魔法の練習をした後、薬草の群生地を何か所か周った。

薬草採取のために、あらかじめナイフを購入したんだが結局使わず、空間魔法の『切断』で事足りた。

こっちの方が簡単だったし、早いからな。

もちろん群生地の薬草は根こそぎ採取はしていないぞ。

イブのアドバイスで、残しておいたほうが、また育つらしいし。



薬草採取の途中、猪みたいなモンスター『ワイルド・ボア』をイブが見つけたので、空間魔法で仕留めた。

何でも冒険者ギルドで売却できるらしい。

ちゃんと血抜きのため、首を半分くらい切ってあるぞ。



王都に帰ると、冒険者ギルドに顔を出し、買取カウンターで薬草やワイルド・ボアを出す。

薬草も不足気味で喜ばれたし、ワイルド・ボアも高く買い取ってくれたみたいだ。

どうやら買取価格というか、ギルドへの貢献度でランクが上がるようで、今回だけで冒険者ランクがDランクに上がった。

買取価格から手数料などが引かれ、ギルドに納められるらしい。

今日はこれくらいで良いだろう。

何か美味しい物でも食べて帰ろうかな。

ギルドを出たところで、



「探しましたよ。カケル様。」



笑顔のアイリスを含む美女3人、いや、4人に声をかけられた。



アイリス達のパーティ『オリハルコン』の3人と、一人、僕が会ったことない人がいる。

その人は長い黒髪の日本人の様に見えるが、この人もすごい美人でスタイルが良い。

しかしこの子、どこか思いつめたような顔をしているんだが。

すっごい嫌な予感がする。

すごく逃げたい。

僕が思わず後ずさると、



「待って下さい、カケル様。」

「今回は逃げないでください。大事な話があるのです。」



アイリスの言いように、僕はため息をつく。



「今回はって何だ? 僕はアイリスから逃げたこと無いけど?」



「カケル様としては無いかもしれませんが。お分かりでしょう? それよりも彼女のことで、どうしてもカケル様に相談したいことがあるのです。何卒、お付き合い願えませんか?」



そう言ってアイリスが、黒髪の女性を示す。

確かに、日本人っぽい彼女のことは気になる。

思いつめたような顔が気になるし。

まあ、話を聞くだけは聞いた方が良いか?



今回も、アイリス達『オリハルコン』の面々と黒髪の女性と共に食事処『雅亭』に行く。

席につくと、おもむろに黒髪の女性が話し出す。



「お願いします! 何でもしますから助けてください!」



一瞬にして、周りの視線がこちらに集まる。

正直勘弁してほしい!

これでは僕が黒髪の美女に、ゲスな要求をしたように思われるのじゃないか?



「取り敢えず、落ち着いて。いきなり助けてと言われても分からないだろう?」



黒髪の女性は、ここで若干注目を集めていることに気づき、幾分声をひそめる。



「私は、西園寺麗華と申します。日本の都内に住んでいましたが、一週間前に何故かこの世界にいました。」

「アイリスさん達に助けてもらいながら、この一週間は生活してきましたが、私は日本に帰りたいのです。カケル様なら日本に帰ることができるかもしれないと聞き、こうしてお願いしています。」



西園寺麗華という名前からも日本人ということに信憑性がある。

日本に帰りたいという言葉にも嘘はないと分かる。

助けてあげたいという気持ちはあるが、ここで安易に承諾すると、僕が『黄金の騎士』であると認めることになる。

迷うが、どうするかな。

どちらにしろ、ここでは誰が聞いているか分からないし、



「西園寺麗華さん。宿はとっているか? そこで二人きりで話がしたい。 他の人には聞かれたくないんだ。」



西園寺さんに、そう提案する。

異世界間を行き来できること、何より『黄金の騎士』と言われていることを、まだバレたくないしな。



「……分かりました。お待ちしています。宿はこの雅亭です。」



何やら、一層、思いつめた表情で西園寺麗華がそう言ったのだった。







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