幸せと心配
中学生3年生15歳の天音雫です。
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。
「体調は大丈夫ですか、母上、」
寝台に横たわっている母、稲荷 凛に向き合うようにして、渚冬と湊は揃って床に座っていた。
「渚冬に、湊……?」
その声に、凛はゆっくりと体を起こす。
「母上!!どうかご無理なさらずにーーーー」
「おかえりなさい、渚冬。
湊も、わざわざごめんなさいね。」
焦りで思わず立ち上がった渚冬と湊に凛は優しく微笑んだ。
凛の横にはベビーベッドが置いてあり、そこでは幸せそうな顔で桜が眠っている。
つい2ヶ月前に、生まれたばかりの桜は、兄二人の心配を余所に、あどけない顔で眠っていた。
「お、大声を出してしまいすみません、母上、お加減は大丈夫、ですか?」
「えぇ、湊がつきっきりでいてくれるお陰で。頼りがいがあるお兄ちゃんが二人もいるなんて、桜は幸せ者ね?」
上半身を起こしたまま会話を続ける母に湊はついに心配の限界を迎えた。
「母上、本当に、無理をーーしないでほしい、です。
喉の調子だって、良くないんだよね?」
思わず敬語が抜けた湊に凛は声を立てて笑った。
「ふふっ、こんなに心配をかけちゃうなんて、不甲斐ない母親ね。でも、これ以上心配させたくないから、また横になるわね?」