こわいだけ
中学3年生15歳の天音雫です。
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。
家族を心配する心優しい弟に渚冬は安心させるように笑いかけた。
任せておけ、と湊の頭をポンと叩く。
「ーーーーうん!」
満面の笑顔で湊は勢いよく頷いた。
「わざわざ玄関まで来てくれてありがとう。眠かったんじゃないかい?」
「平気だよ!!渚冬兄みたいになるために努力は惜しまないっ!!」
「すごいな、湊は。」
「えへへっ、渚冬兄の双子の弟の名に恥じないように生きたいからね!!」
凄まじい覚悟を見せる湊に渚冬は感嘆した。
そして、続く一言にさらに言葉を失った。
「だから、渚冬兄、母上と桜のところに行ってあげて。
ーーーー俺じゃまだ、足りないから。」
「みな、と」
「俺じゃ、まだ、桜のことも」
「ーーーーーーー」
「母上のことも」
「ーーーーーーー」
「安心させられない、から」
儚げに笑う湊の澄み切った蒼い瞳には切なさが滲んでいた。己の力では足りないと、感じてしまっているのだろう。
否、感じさせてしまっているのだろう。兄が。渚冬が。
「分かった。今、会いに行ってくる。でも、」
母と桜がいる2階へと続く階段に向かいながら湊の手を引っ張る。同じく、2階へと。
「僕も、母上のこと、桜のこと、安心させられない。」
「え、?でも、いつも渚冬兄は凄くて、安心感あって、」
慕う兄への信頼、言葉を重ねる湊に渚冬は情けなさに自嘲の笑みを浮かべた。
「僕だけじゃどうしょうもないことなんてこの世にたくさんあるんだ。でも、二人いれば大丈夫なんだ。」最愛の弟、その手を握り2階へと向かう。
「一人で足りない部分を補うためにもう一人が存在するんだよ」
癒えぬ病を患わった母の元へと、向かう。
本当は、一人で母の元に向かうのが怖いだけ、なんて本心は言えずに。