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氷漬けの魂

中学3年生15歳の天音雫です。


何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。

「ーーーーーっ!!」


夕星の方に思わず伸ばしたその手から、いくつもの氷柱が穿たれた。


氷柱は、闇を、地面を貫き、“星彩の魔女”の肉体をも貫いた。


氷柱に、貫かれた星彩の魔女は串刺しになり地から足が浮く。


あちこちを貫通した氷柱は闇を切り裂いた。


耳鳴りのような音がして、一瞬にして闇が弾ける。


黒い羽のように散り散りになって舞う闇の破片を全て無視し、渚冬は夕星に、駆け寄った。


「夕星、夕星、夕星っーーー!」


「そんな、顔すんなって……」


渚冬の肩にもたれかかり途切れ途切れに紡がれる言葉があまりにもか弱くて、涙が溢れる。


「あなたが渚冬ですか」


突如、上から響いた無機質な声。


貫かれてもなお、戦闘意欲を失わず捕食者の目を向けるのは星彩の魔女。


その身からは一滴の血も溢れていない。


操られている。


そんなこと、どうでも良かった。


夕星を、傷つけた。


それだけで、十分な理由だった。


「あなたに用事がーーーー」


「黙れ」


何の損傷もなく、平然と言葉を紡ぐ星彩の魔女に渚冬の歪められた権能が暴発した。


渚冬の周りで無数の氷矢が、ひらめく。


地面から氷の牙が、生え、渚冬と夕星の周りを守るようにして取り囲む。


闇が晴れた空からは氷柱が降った。


そしてーーーー


「なぎと、もう、やめろ」


その声で渚冬は我に返った。


辺りは一面、氷鬼の住んでいた紫乃宮のように銀世界だった。


しかし、それよりも恐ろしく氷があちこちに敵対するように突き刺さり、牙のように生えていた。


星彩の魔女が串刺しにされたままま氷漬けになっている。


渚冬が乗っていた狼車の狼が、周辺の木々が、全てが氷漬けになっている。


「なぎ、…………」


渚冬は腕の中に倒れ込んできた友を見下ろし、息が止まりかけた。


夕星が、凍っていく。


渚冬が夕星に触れている部分から、じわじわと氷が夕星の体を侵食していく。


「嘘、だっ……!!!」


慌てて夕星から手を、離すが氷の侵食は止まらない。


「待っ……、何、で!!」


「なぎと」


パニック状態になる渚冬に夕星は凍りかけている手を伸ばし、渚冬の涙を拭った。


「湊、と、桜と、母上の、こと、」


太陽のような、でも、弱々しいようなかすかな笑みを浮かべる。


「守って、やれ、よ、長、男」


全てが、凍る。夕星が、氷漬けになる。


渚冬の周り、半径3メートル圏内にある全てが凍っている。


今自分が目にしているものが信じられなかった。


氷像となった夕星を抱く。


体温も、呼吸も、心拍も、何一つ感じられない。


涙が止めなく流れ続ける。そして、渚冬の周りに避難途中だった神々が集まってくる。


狼車から続々と、周りを伺いながら出てくる神々は全員口を押さえ、目の前の光景に絶句した。


そこにあるのは、時雨夜では有り得ない雪景色だった。


一人の少女が、氷漬けになっていて、その眼の前に白髪の少年が氷漬けになった少年を抱いて泣き叫んでいる。


神々は、口を揃えて言った。


「氷鬼だ!!氷鬼が時雨夜に解き放たれたんだ!!」


ある一人の神が光の縄を唸らせ、遠隔から渚冬を縛る。


「づっ……!」


夕星から引き離され、膝をつき両手を後ろ手に縛られ体もきつく拘束される。


突如として訪れた痛みに渚冬は思わずうめき声を上げた。


あまりの痛みに涙目になる。


身体的にも、精神的にも、何もかも、痛くて痛くて壊れてしまいそうだった。


「っ、僕のことは好きにしてくださいっ!!だから、夕星を、夕星を助けてください!!」


自らの手で凍らせてしまった親友の名を、叫ぶ。


この歪められた権能で、夕星がどうなってしまうのか、考えたくもなかった。


「な、何てことだっ!」


「早くその子を治療師のもとへ!」


「氷漬けじゃないか!!」


「ーーーーこの子が、やったの?」


浴びせられる、言の葉が増える。続々と神々が集まる。


そこに、一際大きな声が響いた。


「嫌だ!!行かせてください!」


「待ちなさいっ…!見ないほうが、あなたのためにっ……」


「そんなん俺が決めることです!」


遠くから二人の神が揉み合い、口論しながらこちらに向かってくるのを渚冬は視界の端で捉えた。








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