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一縷の望みと希望の光

中学3年生、15歳の天音雫です。


何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。

「………っつ!!」


宙に投げ出され全身を強く打ち付けた渚冬は呻きながら意識を取り戻した。狼車は横転していた。


「うっ、夕、星……?、」


応答はない。


「夕星……?夕星?どこ?!」


夕星がいない。それに気づいた瞬間、渚冬は戦慄を覚えた。


一体どのくらい意識を失っていたのだろうか。


自己嫌悪に唇を強く噛む。


外から何かが聞こえる。

何かが、爆ぜているような、そんな音が。


「っ、火……!」


遅まきにして気づく。炎が渚冬しか乗せていない狼車の周りを取り囲むようにして燃えさかっているのだ。


横転し前後不覚になった狼車の窓は割れ、いたるところに亀裂が走っている。


その割れた窓から、細い亀裂から、炎のヴェールのようなものがチラチラと見える。


夕星を探すため、渚冬は自分の周りに氷のバリアを築き、意を決して燃える炎の中へと身を投げた。


炎のヴェールは渚冬の想定よりも薄く、たやすく切り抜ける事ができた。


しかし、切り抜けた先にあるのは、散々になっていた狼車の中が可愛く思えるほど残酷な光景が広がっていた。


辺りは黒かった。影のようなものがすべてを覆い尽くしている。地面も影のようなものが覆い、渚冬を飲み込もうとするかのように蠢く。


そして、この黒さの中であちこちに見える光は、すべて炎だった。


地獄のような光景、暗闇を切り裂くようにあちこちで火の手が上がっている。


そして、渚冬の数メートル前方で一際明るく輝いているところにーーーーー


「夕、星…………」


夕星の周りには血の華が咲いていた。


片膝をつき荒い息をしているのが離れていてもわかる。


当たり前だ。夕星はまだ十分に権能を使いこなせないはずだ。


それなのにあちこちに火の手が上がり、先程の狼車の周りも炎で囲まれていた。ーー恐らくは渚冬を守るために。


直感する。権能を使いすぎていると。


恐らく自己制御ができていない。このままでは夕星の命が危険だ。


夕星を見下ろすようにして夕星の間近に、長い金髪の少女が立っている。恐らくあれが”星彩の魔女“なのだろう。


その手の中で刀が鈍い光を放つ。


夕星に、二つの危険が迫っている。


「もう一度、聞く

“渚冬”は、どこだ」


無機質な声が響く。ここまで聞こえる。


しかし相手の目に渚冬の姿は映っていない。

気づいて、いない。


夕星が笑う声が聞こえた。


いつもの陽気なあの声じゃなくて、虚勢を張るような、何処か、相手を見下しているような、


「言うかよ。俺は今まで散々渚冬に救われたんだよ。

俺の大親友のこと捕まえてどうする気が知らねぇけどな、今回ばかりは俺が渚冬のこと守んなきゃ、なんねぇん、だ、よっ!!」


再び立ち上がろうとする夕星。


それを見た少女ーー“星彩の魔女”が振りかざした刀を見た瞬間、ナニカが渚冬の中で音を立てて切れた。

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